Q.最低賃金を確認するとき、住宅手当は賃金に含めるのに、家族手当は除外すると聞きました。同じ手当なのに、なぜ扱いが違うのでしょうか?

A.最低賃金では、毎月支払われる基本的な賃金を対象とし、その中から法律上「除外する」とされた賃金を差し引いて判定する仕組みになっているからです。家族手当は除外対象ですが、住宅手当は除外対象に挙げられていないため、原則として最低賃金の計算に含めます。

■最低賃金に、すべての手当は入れない

最低賃金を確認するときは、給与の総支給額をそのまま使うわけではありません。

厚生労働省では、最低賃金の対象となる賃金を「毎月支払われる基本的な賃金」としています。
そのうえで、賞与、時間外・休日・深夜の割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などは除外して計算します。

【除外して計算する賃金】
①臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
②1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
④所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
⑥精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

一方、住宅手当は、この除外対象には挙げられていません。そのため、毎月支給される住宅手当については、原則として最低賃金の対象となる賃金に含めます。

つまり、「手当だから入らない」のではなく、最低賃金制度上、除外することになっている賃金かどうかがポイントです。

■家族手当が除外されるのはなぜ?

家族手当は、一般的に「配偶者がいる」「扶養する子どもがいる」といった労働者の家族状況をもとに支給されます。

例えば、同じ仕事をする人がいたとして、「Aさん扶養家族なし 家族手当0円」、「Bさん扶養家族1名あり 家族手当5,000円」ということがあります。
家族手当まで最低賃金の計算に入れると、同じ仕事、同じ基本給であっても、扶養家族がいる人だけ最低賃金をクリアするという結果になりかねません。

家族手当は、家族構成という個人的事情によって支給額が変わる性質のものです。
そのため、最低賃金制度では、施行規則において家族手当を最低賃金の計算から除外する賃金として明示しています。

■住宅手当も個人的事情では?

それなら、賃貸住宅に住んでいる人だけに支給する住宅手当も、個人的事情ではないか、と疑問に思うところです。

最低賃金制度は、「個人的事情による手当をすべて除外する」というルールにはなっていません。家族手当、通勤手当、精皆勤手当など、具体的に除外する賃金が定められており、住宅手当はその中に入っていません。

したがって、家族手当 は原則として最低賃金から除外、住宅手当は原則として最低賃金に算入となります。

なお、「家族手当」「住宅手当」という名称だけでなく、実際にどのような条件で支給しているかを確認することも大切です。労働局も、手当については名称だけでなく実質によって取り扱う必要があると注意喚起しています。

まとめ

・最低賃金の対象は、原則として毎月支払われる基本的な賃金
・家族手当、通勤手当、精皆勤手当などは最低賃金から除外する
・住宅手当は除外対象ではないため、原則として最低賃金に含める

最低賃金が改定されたときは、基本給だけでなく、自社のどの手当を最低賃金の計算に含めることができるのかまで確認しておくことが重要です。

【参考】

厚生労働省リンク「最低賃金の対象となる賃金」