Q.日本年金機構から「70歳到達に伴う厚生年金保険被保険者資格喪失届等の提出について」という書類が届きました。従前と同じ給与で引き続き雇用する予定です。「届出不要」とありますが、何もしなくてよいのでしょうか?
A.はい。70歳到達時の「標準報酬月額相当額」が、それまでの標準報酬月額と同じであれば、原則として会社から70歳到達届を提出する必要はありません。
日本年金機構が厚生年金保険の資格喪失と70歳以上被用者への切替えを行います。ただし、「給与がまったく同じ」ということではなく、70歳到達時の標準報酬月額相当額が同じかどうかを確認することがポイントです。
■70歳になると厚生年金保険はどうなる?
厚生年金保険に加入している従業員が在職中に70歳になると、70歳到達日、つまり70歳の誕生日の前日に厚生年金保険の被保険者資格を喪失します。
その後も同じ会社で働き続ける場合は、「70歳以上被用者」として取り扱われます。70歳以上被用者の期間については厚生年金保険料は徴収されず、その期間が新たに年金額へ反映されることもありません。
なお、70歳になったからといって健康保険まで資格喪失するわけではありません。健康保険については、原則としてそのまま加入を続けます。
■「届出不要」になるのはどんな場合?
70歳到達届が必要かどうかは、70歳になった時点の報酬から算出した「標準報酬月額相当額」と、70歳になる直前の「標準報酬月額」を比較して判断します。
たとえば、70歳になる前の標準報酬月額が30万円で、70歳到達時の給与から計算した標準報酬月額相当額も30万円であれば、会社から70歳到達届を提出する必要はありません。日本年金機構が自動的に資格喪失処理と70歳以上被用者該当処理を行います。
一方、70歳を機に正社員から嘱託社員へ変更し、給与を引き下げるなどして、標準報酬月額相当額が30万円から28万円に変わる場合などは、「厚生年金保険被保険者資格喪失届・70歳以上被用者該当届」の提出が必要です。届出が必要な場合の提出期限は、70歳到達日から5日以内です。
ここで注意したいのは、基本給だけで判断しないことです。
標準報酬月額相当額は、基本給だけではなく、各種手当や現物給与などを含めた報酬月額をもとに算出します。
■届出不要でも、後から届く通知は確認すること
今回のご質問のように、70歳になった後も従前と同じ条件で勤務し、標準報酬月額相当額も変わらないのであれば、「何もしない」という理解で基本的には問題ありません。
ただし、手続きが終わると日本年金機構から事業主へ「厚生年金保険被保険者資格喪失確認通知書」と「厚生年金保険70歳以上被用者該当および標準報酬月額相当額のお知らせ」が送付されます。
届出不要だからといって書類をそのままにするのではなく、後日届く通知書について、標準報酬月額相当額などに間違いがないか確認しておくことです。
もし金額等に誤りがあれば、70歳到達届を提出して訂正することになります。
まとめ
- 70歳到達時の標準報酬月額相当額が従前と同じなら、70歳到達届は原則として提出不要
- 70歳を機に給与などが変わり、標準報酬月額相当額が変わる場合は、70歳到達届の提出が必要
- 届出不要の場合でも、日本年金機構から後日届く資格喪失確認通知書等の内容は確認しておく
70歳前後は、定年後の再雇用や勤務時間の変更などによって給与条件が変わることも少なくありません。「給与はほとんど変わっていないから大丈夫」と判断するのではなく、70歳到達時点の報酬から標準報酬月額相当額を確認することが大切です。

