Q.当社には、正社員より所定労働時間が短い「短時間正社員」がいます。給与や賞与などの処遇は正社員と同様です。この職員にもパートタイム・有期雇用労働法が適用されるのでしょうか?
A.正社員としての実態を備えた「短時間正社員」であれば、原則としてパートタイム・有期雇用労働法の対象となるパートタイム労働者には該当しません。単に「正社員より労働時間が短い」という理由だけで、パートタイム労働者になるわけではありません。
■そもそも「短時間正社員」とは
厚生労働省のパンフレットでは、短時間正社員について、「フルタイム正社員と比べ、1週間の所定労働時間が短い正規型の社員」と説明しています。
さらに、次の2つに該当する社員とされています。
① 期間の定めのない労働契約(無期労働契約)を締結している
② 時間当たりの基本給や、賞与・退職金等の算定方法などがフルタイム正社員と同等である
そして、このような働き方を就業規則などで制度化したものが「短時間正社員制度」とされています。
したがって、短時間正社員は「パート」ではなく、正社員の働き方の一つとして位置付けられています。
■名称だけ「短時間正社員」にしても対象外にならない
注意したいのは、会社が「短時間正社員」と呼んでいればよいわけではないことです。
厚生労働省のパンフレットにも、短時間正社員という呼称であっても、待遇が正社員としての実態を伴っていない場合には、パートタイム・有期雇用労働法の適用対象となると明記されています。
そのため実務では、名称だけでなく、
- 無期雇用となっているか
- 就業規則上、正社員の一類型として位置付けられているか
- 賃金・賞与・退職金などの制度が正社員と同等か
- 人事評価、昇給、昇格なども正社員として運用されているか
といった実態を確認することが大切です。
なお、「短時間正社員もフルタイム正社員と月給がまったく同額」という会社もあります。この場合、厚労省の定義は「時間当たりの基本給」が同等としているため、月給額だけで判断せず、賃金制度全体を確認しておく必要があります。
■2026年10月からの労働条件明示にも関係する
2026年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる際の労働条件明示事項に、通常の労働者との待遇差について説明を求めることができる旨が追加されます。
しかし、正社員としての実態を備えた無期雇用の短時間正社員であれば、パートタイム・有期雇用労働者には該当しないため、この追加明示義務の対象にも原則としてなりません。
一方、「短時間正社員」という名称であっても有期契約であったり、正社員としての処遇の実態がなかったりする場合には、同法の対象となる可能性があります。
まとめ
- 所定労働時間が短いだけで、パートタイム労働者になるわけではない
- 無期雇用で、賃金や賞与・退職金等が正社員と同等の「短時間正社員」は、正社員の一類型として整理される
- 名称ではなく、就業規則や賃金制度、人事制度など「正社員としての実態」を確認することが重要
育児や介護、治療との両立など、働き方が多様化する中で、短時間正社員制度を設ける会社は今後さらに増えていくと思われます。制度を導入している会社では、「短時間勤務のパート」と「短時間正社員」の位置付けを就業規則上でも明確に区別しておくことが重要です。

