厚生労働省は、令和8年9月14日、「勤務時間が短い正規型の労働者として事業所に使用されている個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて」という通知を公表しました。
今回の通知は、個人事業主やフリーランス等を、勤務時間が極端に短い「正社員」として雇用し、健康保険・厚生年金に加入させているケースについて、社会保険の被保険者資格の判断方法を明確にしたものです。
■契約書だけではなく「実際の働き方」で判断
社会保険の被保険者となるかどうかは、「正社員」という名称や雇用契約書の内容だけで決まるものではありません。労働日数、労働時間、就労形態、勤務内容などを確認し、事業所と労働者との間に「常用的使用関係」があるかどうかを、実際の働き方に照らして総合的に判断します。
今回の通知では、勤務時間が短い正規型労働者について、次の2つのいずれにも該当する場合には、原則として社会保険の被保険者資格を有しないものとして取り扱うとしています。
- 受け取る報酬が、業務の対価として経常的に支払われているとは認められない
- 行っている業務が、経常的な労務の提供とは認められない
なお、どちらか一方だけに該当する場合には、それだけで資格が否定されるのではなく、就労実態を踏まえて個別に判断されます。
■「給与をもらう一方で会費を支払う」ケースなどに注意
今回、特に問題となっているのが、個人事業主等を短時間の正社員として雇用して給与を支払う一方、その労働者から「会費」などの名目で給与を上回る金額を徴収しているようなケースです。
会費等には、勉強費、広告費、掲載料、参加料、コンサルタント料、協力金、委託費なども含まれ、名称ではなく実態で判断されます。会費が給与を下回っている場合でも、給与の大部分を占める状態が常態化していれば、労働時間や仕事内容なども含めて慎重に判断されます。
また、勤務時間が常態的に極端に短い場合や、仕事の内容が勉強会への参加、アンケートへの回答、情報共有、個人事業主同士の仕事の紹介などにとどまり、実質的な労務提供とは言い難い場合にも、社会保険の資格が認められない可能性があります。
■通常の「短時間正社員」を否定するものではない
注意したいのは、今回の通知が「勤務時間の短い正社員は社会保険に加入できない」というものではないことです。厚生労働省も、今回の取扱いについて、主として個人事業主等から会費等を徴収しており、不適切な社会保険加入が疑われるケースを想定したものとしています。
したがって、実際に会社の指揮命令のもとで継続的に業務を行い、その労働の対価として適切に給与が支払われている短時間正社員について、直ちに問題になるものではありません。
個人事業主やフリーランスの方を短時間勤務で雇用している事業所では、今一度、勤務時間、仕事内容、指揮命令関係、給与の支払い状況、本人から会社への会費等の支払いの有無を確認しておくことをおすすめします。
【参考】
厚生労働省リンク:厚生労働省「勤務時間が短い正規型の労働者として事業所に使用されている個人事業主等に係る被保険者資格の取扱いについて」

