令和8年10月1日から、社会保険に関する制度改正が行われます。

今回の改正では、短時間労働者の社会保険加入要件の見直しのほか、住宅を社宅などとして提供している場合の現物給与価額や、外国籍従業員の資格取得時の本人確認方法なども変更されます。

事業所によっては、10月以降の社会保険手続きに直接影響するため、主な変更点を確認しておきましょう。

■いわゆる「106万円の壁」が撤廃

現在、短時間労働者が健康保険・厚生年金保険に加入するためには、一定の事業所について、次の要件があります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上
  • 学生ではないこと

このうち、「所定内賃金が月額8.8万円以上」といういわゆる「106万円の壁」の賃金要件が令和8年10月1日から撤廃されます。

今回の改正で、影響が大きいのは短時間労働者を多く雇用している事業所です。
そのため、従業員数51人以上の企業では、これまで月額8.8万円未満で社会保険に加入していなかったパート・アルバイトについても、週20時間以上など他の要件を満たせば、新たに社会保険の加入対象となる可能性があります。

なお、最低賃金の減額特例許可を受けている一定の方については、「特定減額特例対象者」として原則加入対象外となる新しい制度も始まります。本人が希望する場合は、申出により加入することもできます。

■社宅などの「住宅の現物給与価額」が変更

会社が従業員に住宅を提供し、その利益を社会保険上の報酬として計算する場合の「住宅の現物給与価額」も変更されます。

令和8年10月1日からは、これまでの「居住面積1畳当たり」から「住宅の総面積1㎡当たり」の価額による計算に変更されます。
また、計算対象についても、居間や寝室などの居住用の室だけではなく、住宅の床面積全体を基準とする取扱いになります。

注意したいのは、この現物給与価額の変更が「固定的賃金の変動」に該当することです。
変更後の報酬によって標準報酬月額が2等級以上変わるなど、随時改定の要件を満たした場合には、月額変更届の提出が必要になります。

■外国籍従業員の本人確認方法も変更

外国籍の方について、健康保険・厚生年金保険の資格取得や被扶養者認定を行う際の本人確認方法も変わります。

令和8年10月1日以降は、住民基本台帳の情報と「フリガナ氏名」だけが一致しない場合でも、添付書類に記載されたアルファベット表記の氏名が一致していれば本人確認ができる取扱いとなります。

【まとめ】

  • パート・アルバイトについて、現在「月額8.8万円未満のため社会保険には加入しない」としている場合は、週の所定労働時間や企業規模などを改めて確認する
  • 社宅を提供している事業所では現物給与価額の見直しを確認する
  • 外国籍従業員を採用する事業所では資格取得時の取扱いについて確認