事業所では、労働条件通知書や賃金台帳、出勤簿、タイムカードなど、さまざまな労務関係の書類を作成・保存しています。「これらの書類は何年間保存すればよいのですか?」というご質問をいただくことがありますが、実は「何年間保存するか」だけでなく、「いつから保存期間を数えるのか」も重要です。
厚生労働省の「改正労働基準法等に関するQ&A」をもとに確認してみましょう。
■「労働関係書類」は、どのようなものが対象か
労働基準法では、会社に対して労働関係の重要な書類を保存することを義務づけています。
代表的なものには、次のような書類があります。
- 労働者名簿
- 賃金台帳
- 労働条件通知書や雇用契約書
- 履歴書など雇入れに関する書類
- 解雇に関する書類
- 賃金の決定、昇給・減給に関する書類
- 出勤簿、タイムカード
- 労使協定
- 残業命令書や労働時間の記録
- 退職、休職、出向に関する書類
また、年次有給休暇管理簿などについても保存が必要です。
厚生労働省の資料では、これらの保存期間は法律上「5年」に延長されていますが、経過措置として当分の間は3年とされています。
■注意したい、「いつから」を数えるか
書類を保存するときに意外と見落としやすいのが、保存期間の「起算日」です。
改正前の労基則では、記録の保存期間の起算日について、「当該記録の完結の日等」であることが規定されています。
改正省令では、記録の保存期間の起算日について、「当該記録に係る賃金の支払期日が当該記録の完結の日等より遅い場合には、当該支払期日が起算日となる」ことが明確化されます。
つまり賃金台帳やタイムカードなどについては、書類が完結した日よりも、その記録に対応する賃金の支払日の方が後になる場合、賃金支払日から保存期間を数えることになっています。
例えば、
賃金計算期間:6月1日~6月30日
給与支払日 :7月10日
6月分のタイムカードは6月30日で完結しますが、保存期間を6月30日から数えるわけではありません。このタイムカードをもとに計算した給与の支払日は7月10日ですから、7月10日から3年間保存する必要があります。
「給与の締日から3年」と覚えていると、多少かもしれませんが、法的には保存期間を短く計算してしまう可能性がありますので注意しましょう。
■「書類保存ルール」を決めましょう
事業所には、紙のタイムカードだけでなく、勤怠システムのデータ、給与計算ソフトのデータ、Excelの出勤簿など、さまざまな形で労務情報が保存されています。
そのため、「古いから削除しよう」と担当者の判断だけで処分するのではなく、「どの書類を、いつまで、どこに保存するのか」を会社のルールとして整理しておくことをお勧めします。
とくに勤怠記録や賃金台帳は、未払い残業代などの労使トラブルが発生した際に、会社側が実際の勤務状況や給与計算を説明するための重要な資料にもなります。
まとめ
- 労働者名簿、賃金台帳、労働条件通知書、出勤簿などは保存が必要
- 法律上の保存期間は5年に延長されているが、経過措置として当分の間は3年
- タイムカードなどは、給与締日ではなく給与支払日から3年間となる場合がある
書類の保存というと、どうしても「何年保存するか」に目が向きますが、実務では「その3年をいつから数えるのか」まで確認することが大切です。
