「人手不足だから有給休暇は認められない」「パート・アルバイトには有給休暇はない」と思っていませんか。
有給休暇には、会社が知っておくべき基本的なルールがあります。知らないまま運用していると、思わぬ労務トラブルにつながることもあります。
今回は、経営者の方に押さえていただきたい7つのポイントをご紹介します。
※本稿は、東京労働局「しっかりマスター 労働基準法―有給休暇編―」をもとに作成しています。
1.入社6か月後から有給休暇が発生する
「本人から希望がなかったから与えていない」という扱いにはできません。
原則として、入社から6か月継続して勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した従業員には、10日の有給休暇を与える必要があります。その後も継続勤務年数に応じて日数が増え、6年6か月以上になると年間20日となります。
2.パート・アルバイトにも有給休暇はある
有給休暇は正社員だけの制度ではありません。パート・アルバイトでも要件を満たせば対象となります。
週5日以上勤務する人や週30時間以上勤務する人は原則として常時雇用する労働者(正社員)と同じ日数が付与され、それより勤務日数が少ない場合には、週の所定労働日数などに応じた日数が付与されます。
かりに、1日3時間のパート・アルバイトであり、所定労働日数が週5日以上の場合は、正社員と同じ日数が付与されます。
3.会社の「許可制」にはできない
有給休暇は、会社が承認して初めて与えるものではありません。従業員が取得日を指定して申し出れば、原則としてその日に取得させる必要があります。
ただし、その日に休まれると「事業の正常な運営を妨げる」場合には、会社が別の日への変更を求める「時季変更権」があります。単に「忙しいから」「代わりの人がいないから」というだけで当然に変更できるものではありません。
4.年10日以上付与される人には「年5日」の取得が必要
年10日以上の有給休暇が付与される従業員については、会社は毎年5日について確実に取得させる必要があります。
従業員が自ら5日以上取得している場合や、労使協定による計画的付与で取得している場合には、その日数分を会社が改めて指定する必要はありません。会社としては「誰が何日取得しているか」を管理しておくことが重要です。
5.有給休暇には2年間の時効がある
付与された有給休暇をその年に使い切らなかった場合、翌年度へ繰り越すことができます。ただし、有給休暇の権利は付与された日から2年間で時効となります。
そのため会社では、従業員ごとに「付与日」「付与日数」「取得日数」「残日数」を「年次有給休暇管理簿」で整理しておく必要があります。
6.有給休暇を取ったことを理由に不利益な扱いをしない
有給休暇を取得した従業員について、手当を減らしたり、賞与の査定を低くしたり、昇進で不利に扱ったりするなど、有給休暇の取得を抑制するような扱いは禁止されています。
「有給休暇を取得せず働いた人を評価する」という評価基準はわかりやすく思えますが、年次有給休暇を取得しながら成果を出す人の生産性と比較すると、いかがでしょか。評価基準の「物差し」に何を用いているか確認しましょう。
7.会社独自の運用をする場合も法定基準を下回らない
会社によっては、有給休暇の付与日を4月1日などに統一する方法を採ることがあります。ただし、一斉付与など会社独自のルールを設ける場合でも、法律上の付与時期や日数を下回ることはできません。
また、労使協定を締結すれば、年5日を限度として時間単位で有給休暇を取得できる仕組みを導入することもできます。
