Q.衛生管理者は「常時50人以上の労働者を使用する事業場」で選任が必要と聞きました。この50人には、パートや派遣社員も含まれるのでしょうか?
A.はい。正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員なども含めて判断します。また、派遣労働者についても、事業場の規模を算定するときは、派遣先・派遣元の双方で「常時使用する労働者数」に含めるのが原則とされています。なお、安全管理者や安全委員会の要否判断については、派遣先事業場のみが派遣労働者を含めて人数を算定します。
衛生管理者の選任義務を判断するときに注意したいのが、「常時50人以上」という言葉の意味です。「正社員が50人いるか」「毎日50人以上出勤しているか」で判断するものではなく、パートタイマーや日雇労働者等を含めた「常態として使用している労働者の数」で判断します。
以下、実務上のポイントを3つに分けて確認します。
■「事業場」ごとの判断
衛生管理者は、原則として常時50人以上の労働者を使用する「事業場」ごとに選任します。
ここでいう事業場とは、工場、店舗、営業所、事務所など、一定の場所で継続して事業が行われている単位をいい、会社全体ではなく事業場単位で労働者数をカウントします。
たとえば会社全体では80人いても、本社30人、A営業所25人、B営業所25人という場合、それぞれが独立した事業場であれば、会社全体80人ではなく、各事業場ごとの人数で衛生管理者の要否を判断します。
ただし、小規模な出張所などで人事・労務管理などの独立性が低い場合には、上位の事業場と一体の事業場とみなされることもあります。
まずは「どこまでを一つの事業場として扱うのか」を整理したうえで、常時使用する労働者数を把握することが重要です。
■パート・アルバイトのカウント
「常時使用する労働者」には、「正社員」や「フルタイム勤務者」に限らず、パートタイマー、アルバイト、契約社員、日雇労働者等も含まれます。
厚生労働省は、日雇労働者やパートタイマー等を含めた常態として使用している労働者の数で判断するとしており、勤務時間による「0.5人」などの換算は行いません。
したがって、正社員45人、パート8人を通常雇用している事業場であれば、
45人+8人=53人
として人数を算定するのが基本です。
また、シフト制で「1日に出勤する人数は40人程度」という場合でも、名簿上の通常使用労働者が50人以上であれば、衛生管理者の選任義務が生じる可能性があります。
「ある日の出勤人数」ではなく、通常の事業運営において何人を継続的に使用しているかを基準に判断します。
■派遣労働者のカウント
衛生管理者の選任義務については、派遣労働者を派遣先・派遣元の双方で「常時使用する労働者数」に含めて人数を算定します。
たとえば派遣先の事業場に、自社従業員46人、派遣労働者5人がいる場合、46人+5人=51人となり、原則として当該事業場に衛生管理者を選任し、労働基準監督署へ届出を行う必要があります。
「派遣社員は自社の雇用ではないから人数に含めない」という扱いはできません。
また、派遣元事業場側でも、派遣中の労働者を含めて「常時使用する労働者数」を算定しますので、同じ派遣労働者が派遣元・派遣先双方の人数に算入されることになります。
なお、安全管理者の選任義務や安全委員会の設置義務については、派遣労働者の人数を含めた算定を行うのは派遣先事業場のみである点に留意が必要です。
まとめ
- 衛生管理者の選任義務を判断するとき、「50人以上」は会社全体ではなく、原則として事業場ごとに判断する
- 正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員・日雇労働者なども含めて「常時使用する労働者数」を数える
- 派遣労働者は、衛生管理者の人数要件を判断する際には、派遣先・派遣元の双方で常時使用労働者数に含める
とくに従業員数が50人前後の事業場では、「正社員だけなら50人未満だから大丈夫」と判断すると、衛生管理者や産業医の選任、衛生委員会の設置、ストレスチェックの実施義務などを見落とすおそれがあります。パート・アルバイト・派遣労働者を含め、実際に常態として使用している人数と事業場の範囲を整理したうえで、衛生管理体制を確認することが重要です。

