Q.様式第5号療養補償給付請求書など労災の書類に出てくる「現認者」とは、事故を実際に見た人のことですか?
A.必ずしも、事故の瞬間を目撃した人だけを指すわけではありません。事故直後に被災者から報告を受け、その内容を具体的に確認した上司・同僚などが現認者として記載される場合もあります。
労災の手続きでは、災害発生の事実を確認した人として「現認者」を記載することがあります。
「現認」という言葉から、「事故の瞬間を実際に見ていた人でなければならない」と思われがちですが、実務上はそれだけではありません。
必ずしも目撃者に限定されるものではなく、事故直後に被災者から報告を受け、その内容を具体的に確認した上司・同僚などが現認者として記載される場合もあります。
■現認者とは「災害発生の事実を確認した人」
現認者とは、簡単にいうと、その労災事故が発生した状況や災害発生の事実を確認できる人です。
最も分かりやすいのは、事故の瞬間を目撃した同僚などです。
たとえば、工場内で従業員が転倒したところを同僚が見ていた場合、その同僚が現認者となります。
一方で、一人作業や外出先での事故などでは、目撃者がいないことも珍しくありません。
その場合でも、事故直後に本人から報告を受けた上司や責任者が、「いつ、どこで、どのような事故があったのか」を確認していれば、現認者として記載できる場合があります。
そのため、「現認者=目撃者」とだけ考えないことがポイントです。
■報告を受けた上司が現認者になる場合も
たとえば、従業員が倉庫で一人で作業中に転倒し、その直後に上司へ電話で、「荷物を運んでいる途中に転んで足を痛めました」と報告したとします。
上司は事故の瞬間を見てはいませんが、事故直後に本人から報告を受けています。
このような場合、上司が災害発生の事実を確認した人として、現認者になることがあります。
ただし、事故を見ていないのであれば、「事故を実際に目撃した」と証明するものではありません。
「本人のみ」「現認者なし」「目撃者なし」などといった形で現認者がいない旨を記載し、本人の申告内容をもとに状況を記録する運用が一般的です。
このような記載方法は、現認者の有無を明確にしておくことで、後日の確認をしやすくするための実務上の取扱いであり、法令上、特定の文言を記載することが義務付けられている趣旨ではありません。
会社としても、事故が発生したときは、本人から誰が、いつ、どのような報告を受けたのかを記録しておくとよいでしょう。
■現認者がいない場合でも労災申請はできるが
訪問介護、営業、出張、一人作業などでは、事故を見た人も、すぐに報告を受けた人もいないケースがあります。
だからといって、現認者がいないだけで労災申請ができないわけではありません。
現認者がいない場合には、事故の発生場所、作業内容、負傷した経緯、事故後の行動などを具体的に説明できるようにしておくことが重要です。労働基準監督署は、提出された書類だけではなく、必要に応じて本人や会社への確認などを行ったうえで、労災に該当するかを判断します。
会社としては、事故発生後できるだけ早く上司へ報告するルールを決め、社内の事故報告書を残しておくことが大切です。
まとめ
- 現認者とは、必ずしも事故を直接目撃した人だけではない
- 事故直後に本人から報告を受けた上司や責任者が現認者になる場合もある
- 現認者がいない場合でも労災申請は可能だが、事故の状況を具体的に記録しておくことが重要
労災事故が発生したときは、誰が、いつ、どのように事故発生の事実を確認したのかも記録しておきましょう。

