Q.10月1日からカスタマーハラスメント対策が義務化されます。就業規則に何か規定しなければならないのでしょうか?
A.必ずしもカスタマーハラスメントについて独自の規定を就業規則に設ける必要はありません。厚生労働省の資料では、既存の服務規律や懲戒規定などによって必要な対応ができる場合には、就業規則を改定してカスタマーハラスメント独自の規定を設ける必要はないとされています。ただし、「就業規則を改定しなくてもよい」から「何もしなくてもよい」ということは別です。令和8年10月1日からは、事業主にカスタマーハラスメント対策として、必要な雇用管理上の措置を講じることが求められています。
■就業規則の改定そのものは必須ではない
厚生労働省資料のQ&Aでは、自社の労働者が取引先などに対してカスタマーハラスメントを行った場合について、「就業規則を改訂し、カスタマーハラスメント独自の規定を設ける必要があるのか」という質問が示されています。
これに対して、信用失墜行為や服務規律違反など、既存の懲戒規定によって必要な措置を講じることができるのであれば、必ずしも新たな規定を設ける必要はないとされています。
したがって、まずは現在の就業規則に、
- 暴言や威圧的な言動を禁止する規定
- 会社の信用を害する行為を禁止する規定
- 服務規律違反に対する懲戒規定
など他人に対する行為が整備されているかを確認するとよいでしょう。
■必要なのは「会社としての対応方針」と「相談体制」
一方で、カスタマーハラスメント対策そのものは必要です。
会社として、「カスタマーハラスメントには毅然と対応する」「従業員をカスタマーハラスメントから守る」という方針を明確にし、従業員へ周知することが求められます。
また、実際にカスタマーハラスメントが発生したときに備えて、相談窓口や対応方法を決めておくことも重要です。
例えば、
- まず誰に相談するのか
- 上司や責任者が対応を交代するのか
- 長時間の電話や繰り返しの要求にどう対応するのか
- 必要な場合に警察へ相談する基準
などをあらかじめ決めておきます。
なお、相談窓口については、セクハラやパワハラの相談窓口と同じ窓口を利用する方法も考えられます。
■実務上は就業規則+社内方針の整備がお勧め
法律上、「カスタマーハラスメント」という文言を必ず就業規則に入れなければならないわけではありません。
ただ、会社としての姿勢を明確にするためには、就業規則のハラスメント規定にカスタマーハラスメントを追加しておく方法も有効です。
あわせて、
- カスタマーハラスメント対応方針
- 社内通達文
- 相談窓口
- 現場での対応マニュアル
などを整備しておくと、実際に問題が発生したときにも対応しやすくなります。
とくに大切なのは、規程を作るだけで終わらせず、「困ったときに誰に相談すればよいのか」「会社はどこまで従業員を守ってくれるのか」を従業員に伝えておくことです。
まとめ
・カスタマーハラスメント独自の規定を就業規則に設けることは必須ではない
・ただし、会社としての対応方針、相談体制、具体的な対応方法を整備する必要がある
・実務上は、既存の就業規則を確認したうえで、必要に応じてハラスメント規定の見直しや社内通達の作成を行うとよい
「就業規則を改定するかどうか」だけに目を向けるのではなく、実際にカスタマーハラスメントが発生したときに、従業員を守ることができる体制になっているかを確認しておきましょう。
※参照:厚生労働省「ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について」

