Q.当社は店舗で接客業を営んでいます。最近、お客様からの長時間の苦情や大声での威圧的な言動があり、従業員が一人で対応して疲れ切っています。カスタマーハラスメントの実務的な対策として、何を準備すればよいでしょうか?
A.まずは「エスカレーションルール」を定めることをお勧めします。どのような状況になったら、誰に、どの順番で報告し、誰が対応の責任を持つのかを決めておくことで、従業員を孤立させず、組織として早い段階で対応できるようになります。
カスハラ対策は、従業員を一人にしないことが出発点です。自社で起きやすい場面を洗い出し、報告基準・報告先・責任者を文書化したうえで、エスカレーションルールとしておくことがお勧めです。
■エスカレーションルールとは
エスカレーションルールとは、通常とは異なる事態が起きたときに、どの段階で、どのルートを通じて、どの役職まで報告するか、また誰が責任者となるかを決めておくルールです。リスクマネジメントの分野では、緊急時に備えて平常時から準備しておくべき対策の一つとされています。
カスハラも、最初は小さな苦情だったものが、対応の遅れによって大きなトラブルに発展することが少なくありません。
現場の従業員は「上司の手を煩わせたくない」と抱え込みがちです。報告の基準がないと、管理職が知ったときにはすでに深刻化している、ということになりかねません。
■報告の基準はできるだけ具体的に
ルールを実効性のあるものにするには、報告すべき状況を具体的に示すことが大切です。カスハラであれば、例えば次のような基準が考えられます。
- 同じお客様への苦情対応が30分を超えた場合
- 大声、威圧的な言動、土下座の要求などがあった場合
- 同一人物から短期間に繰り返し連絡がある場合
数値や具体的な行為で示しておけば、パート・アルバイトを含め、誰でも迷わず判断できます。
また、報告先は「店長→副店長→本部担当者」のように優先順位を付けて複数用意し、責任者が不在でも報告が止まらないようにしておきましょう。
■報告した従業員を責めない
もう一つ大切なのは、報告後に「カスハラではなかった」と分かった場合でも、報告した従業員を責めないとルールで定めておくことです。「大げさだと思われるのでは」という不安があると報告がためらわれ、会社の対応が遅れる原因になります。
第一報は情報が不十分でも早く上げる、という方針を周知し、報告を歓迎する雰囲気をつくることが従業員を守ることにつながります。判断基準を「その場の空気」に委ねず、平常時のうちに明文化しておくことがポイントです。
【まとめ】
- エスカレーションルールは、誰に、どの順で報告し、誰が責任者となるかを定めるものである
- 報告基準は時間や行為などで具体的に示し、報告先は優先順位を付けて複数用意する
- 報告が結果的に誤りだった場合でも報告者を責めないことを、ルールとして明記する
