2025年の労働安全衛生法改正により、これまで努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場でも、ストレスチェックの実施が義務となります(施行は令和10年4月1日)。厚生労働省は、小規模事業場向けの実施マニュアルと、そのポイントをまとめた「スタートガイド」を公表しました。
今回は、その要点をご紹介します。
■義務化の内容とストレスチェックの目的
ストレスチェックは、労働者が選択式の質問票に回答し、自身のストレスの状態を知るための簡単な検査です。事業者は1年ごとに1回実施し、次の取組みにつなげます。
- 本人への結果通知によるストレスへの気付きとセルフケアの促進(義務)
- 高ストレス者の申出による医師の面接指導と就業上の措置(義務)
- 集団分析による職場環境の改善(努力義務)
制度の目的は、不調者の発見ではなく、メンタルヘルス不調の未然防止です。不調による病休は平均約3か月、復職後に再び休む人も約半数とされ、小規模事業場ほど人材面・経営面の損失は大きくなります。
■準備は「方針表明・社内ルール・外部委託」から
導入にあたっては、事業者が実施責任者として方針を表明し、実施体制や方法について労働者の意見を聴いたうえで、社内ルールを作成・周知します。プライバシー保護の観点から、実施は原則として外部機関への委託が推奨されています。
- 委託先との調整を行う実務担当者を指名する
- 外部機関から「サービス内容事前説明書」の説明を受け、内容や料金体系を比較する
- 医師の面接指導の依頼先を決める(無料で利用できる地域産業保健センターも選択肢)
■実施後の対応とプライバシー保護
調査票の配布・回収や個人結果の通知は委託先から直接行われ、個人結果が事業者に提供されることはありません。高ストレス者から申出があれば、医師に面接指導を依頼し、意見を聴いて必要な就業上の措置を講じます。
集団分析結果は職場環境の改善に活用しますが、集団が10人未満の場合は個人が特定されるおそれがあるため、原則として提供を受けてはいけません。
また、結果を理由とした不利益な取扱いは禁止されています。
【まとめ】
- 令和10年4月から、労働者数50人未満の事業場もストレスチェックの実施が義務となる
- 導入には方針表明、労働者の意見聴取、社内ルールの整備、外部委託先の選定が必要である
- 個人結果は事業者に提供されず、プライバシー保護と不利益取扱いの禁止の徹底が求められる
施行まで時間があるように見えても、社内ルールの作成や委託先の比較検討には一定の期間がかかります。早めに実施体制の検討を始め、労働者が安心して受検・申出できる環境づくりを進めましょう。
