労働安全衛生法では、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場に対し、「安全衛生推進者」または「衛生推進者」の選任を義務付けています。中小規模の事業場でも、従業員の安全と健康を守る担当者を置く必要があります。

今回は、平塚労働基準監督署のリーフレットを基に、対象となる業種、職務の内容、資格要件と周知の方法についてご紹介します。

■業種によって「安全衛生推進者」か「衛生推進者」かが決まります

どちらを選任するかは、事業場の業種によって決まります。

  • 安全衛生推進者:林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業・小売業、家具・建具・じゅう器等の卸売業・小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業
  • 衛生推進者:上記以外の業種(社会福祉施設、飲食店、食料品小売業、教育研究業など)

衛生推進者の業種であっても、労働災害防止のために「安全推進者」を配置することが望ましいとされています。なお、常時50人以上の事業場では、衛生管理者や産業医などの選任が必要になります。

■安全衛生推進者・衛生推進者の主な職務

推進者は、社長や工場長など安全衛生業務の権限と責任を持つ人の指示を受けて、次のような職務を担当します。

  • 施設、設備、保護具などの点検と、その結果に基づく措置
  • 作業環境や作業方法の点検と、その結果に基づく措置
  • 健康診断や健康の保持増進のための措置
  • 安全衛生教育や、異常な事態における応急措置
  • 労働災害の原因調査と再発防止対策
  • 安全衛生情報の収集、統計の作成、行政機関への報告・届出

衛生推進者の場合は、このうち衛生に関する職務を担当します。

■資格要件と氏名の周知

推進者には、次のいずれかの要件を満たす人を選任します。

  • 大学または高専を卒業後、1年以上安全衛生の実務に従事した人
  • 高等学校または中等教育学校を卒業後、3年以上安全衛生の実務に従事した人
  • 5年以上安全衛生(衛生推進者は衛生)の実務に従事した人
  • 安全衛生推進者養成講習または衛生推進者養成講習を修了した人
  • 安全管理者、衛生管理者、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントの資格を持つ人

実務経験で要件を満たす人にも、養成講習の受講が勧められています。選任後は、作業場の見やすい場所に氏名を掲示する、腕章や名札を着用するなどして、従業員に周知してください。

【まとめ】

  • 常時10人以上50人未満の事業場では、業種に応じて安全衛生推進者または衛生推進者を選任する義務がある。
  • 推進者は、事業者の指示のもと、設備の点検、健康診断、安全衛生教育、労働災害の再発防止などを担う。
  • 選任には実務経験や養成講習の修了などの要件があり、選任後は氏名を従業員に周知する必要がある。

まずは自社の常時使用する労働者数と業種を確認し、選任が必要かどうかを判断しましょう。適任者がいない場合は養成講習の受講を計画し、選任後は氏名の掲示を忘れずに行いましょう。従業員が50人に近づいている事業場は、衛生管理者等の準備も早めに進めることが大切です。

出典:平塚労働基準監督署「常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場の皆様へ-安全衛生推進者・衛生推進者を選任していますか-」