Q.当社は従業員20名の会社で、産業医はいません。毎年の定期健康診断で「要経過観察」「要精密検査」などの結果が出た従業員がいますが、本人に結果を渡して受診を勧めるだけで終わっています。会社として、ほかに何かしなければならないことはありますか?
A.健康診断で異常の所見があった従業員については、事業場の規模にかかわらず、健康を保持するために必要な措置について医師の意見を聴くことが法律で義務付けられています。産業医がいない50人未満の事業場は、地域産業保健センターを無料で利用できます。
■健康診断後の「医師の意見聴取」は事業主の義務
労働安全衛生法第66条の4では、健康診断の結果、異常の所見があると診断された従業員について、就業上の措置に関して医師の意見を聴かなければならないと定めています。
意見聴取は健康診断を行った日から3か月以内に行い、医師の意見は健康診断個人票に記載します。
そのうえで、必要に応じて就業場所の変更や労働時間の短縮などの措置を検討します。
「異常の所見」に明確な定義はありませんが、地域産業保健センターでは、医師の判定が「異常なし」以外の者を有所見者として扱っています。
- 要経過観察
- 要精密検査
- 要治療
いずれも対象になると考えておきましょう。
■産業医がいない事業場は地域産業保健センターを活用
従業員50人未満の事業場には産業医の選任義務がないため、「相談できる医師がいない」という声をよく聞きます。そのような事業場では、地域産業保健センター(地さんぽ)を利用できます。地さんぽでは、健康診断結果についての医師からの意見聴取のほか、次のサービスを無料で提供しています。
- 長時間労働者に対する面接指導
- 高ストレス者に対する面接指導
- 医師や保健師による健康相談・保健指導
岡山県内には7か所のセンターがあり、事業場の所在地を担当するセンターにWEBフォームなどで申し込みます。
■利用にあたって知っておきたい注意点
地さんぽを利用する際は、次の点に注意が必要です。
- 利用は年度2回が限度で、企業規模が大きい場合などは断られることがある
- 健康情報を扱うため、従業員の同意を得るか、取扱い方法を説明しておく必要がある
- 意見聴取の対応者は、勤務状況を説明でき、就業上の措置を判断できる責任者が適当
また、人間ドックの結果を使う場合、法定外の項目について意見を聴くには本人の同意が必要です。期限を過ぎると断られる場合もあるため、健診結果が届いたら早めに申し込みましょう。
【まとめ】
- 健康診断で異常の所見があった従業員について医師の意見を聴くことは、事業場の規模を問わず会社の義務である
- 産業医のいない50人未満の事業場は、地域産業保健センターで医師の意見聴取を無料で受けられる
- 利用には回数制限や従業員の同意などの条件があり、健診日から3か月以内に意見聴取を行う必要がある
健診結果を本人に渡して終わりにせず、有所見者の有無を確認し、医師の意見聴取から就業上の措置までの流れを社内で決めておきましょう。健康情報の取扱いルールも、あわせて整備しておくと安心です。
出典:地域産業保健センター|岡山産業保健総合支援センター
https://okayamas.johas.go.jp/chisanpo/
