アプリを通じて短時間・単発で働く「スキマバイト」(スポットワーク)の利用が広がっています。履歴書や面接が不要で、人手不足に悩む企業と柔軟に働きたいワーカーの双方にメリットがある仕組みです。
一方で、東京商工リサーチが2026年10月に実施したアンケート調査では、活用企業の約半数が雇い入れ時の安全衛生教育を実施しておらず、企業側の義務への理解不足が課題として浮かび上がりました。
■調査で見えたスキマバイト活用の実態
調査は2026年10月1日から8日にかけて行われ、有効回答5,334社のうち、スキマバイトを「活用している」と答えた企業は4.6%でした。産業別では次のような業種で活用が目立ちます。
- 農・林・漁・鉱業(12.7%)
- 運輸業(12.1%)
- サービス業他(8.6%)
活用する理由は「繁忙に合わせてフレキシブルな雇用が可能なため」が72.9%で最多でした。日雇派遣が原則禁止されている中、短時間・単発で人手を確保できる点が評価されています。
■スポットワーカーも「直接雇用の労働者」です
スキマバイトで受け入れたワーカーは、派遣ではなく受け入れ企業との直接雇用になります。そのため、正社員やパートと同じく労働関係法令が適用されます。
- 労働安全衛生法に基づく雇い入れ時の安全衛生教育
- 就業時間や期間に応じた雇用保険・社会保険の加入
- 要件を満たした場合の年次有給休暇の付与
ところが調査では、安全衛生教育を「実施していない」企業が49.2%にのぼりました。
大企業の実施率73.3%に対し、中小企業は48.9%にとどまり、規模による差が大きくなっています。また、保険加入や有給付与の対象になり得ることを「知らない」企業も25.7%ありました。
■見落としがちなトラブルと企業の責任
スキマバイトを巡っては、ほかにもさまざまな課題が指摘されています。
- 直前キャンセルや早上がりの際の休業手当の未払い
- 現場での事故と労災・通勤災害の取り扱い
- 同じワーカーを繰り返し受け入れる場合の労務管理
労働契約が成立した後に会社都合で仕事をなくした場合、休業手当の支払いが必要になることがあります。また、業務中のけがは受け入れ企業の労災保険で対応することになります。
「単発だから」「アプリ経由だから」と考えず、通常の雇用と同じ意識で管理することが大切です。
【まとめ】
- スキマバイトの活用企業は4.6%であり、繁忙期の人手確保手段として広がっている
- スポットワーカーは直接雇用であり、安全衛生教育や社会保険・有給休暇のルールが適用される
- 休業手当や労災など、単発就労特有のトラブルへの備えが必要である
スキマバイトを活用する際は、作業内容に応じた安全衛生教育の手順を整え、同じワーカーの就労日数・時間を記録しておきましょう。キャンセル時の取り扱いもあらかじめ社内で決めておくと安心です。
出典:東京商工リサーチ TSRデータインサイト「『スキマバイト』活用企業の49%が『安全衛生教育を未実施』 直接雇用の労務管理『知らない』25%、法令順守に課題残る」(2026年10月23日)
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1203365_1527.html
