令和7年(2025年)の定時決定手続きが受付されています。
本年の定時決定の届出期限は7月10日(木)です。
●定時決定とは
定時決定とは、毎年1回、全ての社会保険被保険者の標準報酬月額を見直す手続きです。
1年の間において賃金に変動があると、実際の賃金と社会保険料の基準となる標準報酬月額に差が生じることがあります。
そのため年に1回見直しを行い、実態に合った標準報酬月額を決定します。
定時決定で決まった標準報酬月額は、その年の9月から翌年8月まで適用されます。
社会保険料の計算や傷病手当金などの保険給付の計算、将来受け取る年金額の計算の基礎となります。
●対象者
定時決定の対象となるのは、原則として7月1日時点で社会保険の被保険者資格を有する全ての方です。
ただし、以下の方は対象外となります。
- 当年の6月1日以降に資格取得した方
- 6月30日以前に退職した方
- 7月改定の月額変更届を提出する方
- 8月または9月に随時改定が予定されている旨の申出を行った方
●標準報酬月額の決定方法
(1)基本的な算定方法
4月、5月、6月に支払われた賃金の平均額から報酬月額を算定します。
この報酬月額をもとに標準報酬月額を決定し、9月から翌年8月までの社会保険料が決まります。
(2)支払基礎日数による算定方法
支払基礎日数(賃金の支払対象となった日数)によって、以下の方法で算定します。
①一般の被保険者(常勤)の場合
- 4月、5月、6月の支払基礎日数が3カ月とも17日以上ある場合:3か月の報酬月額の平均額で算定
- 17日以上の月が1か月または2か月ある場合:17日以上の月の報酬月額の平均額で算定
- 3カ月とも17日未満の場合:従前の標準報酬月額で決定
②短時間就労者(パート・アルバイトなど)の場合
短時間就労者とは、週の所定労働時間と月の所定労働日数が常時勤務者の4分の3以上の方です。
- 4月、5月、6月の支払基礎日数が3カ月とも17日以上ある場合:3か月の報酬月額の平均額で算定
- 17日以上の月が1か月以上ある場合:17日以上の月の報酬月額の平均額で算定
- 3カ月とも17日未満の場合:15日、16日の月の報酬月額の平均額で算定
- 3カ月とも15日未満の場合:従前の標準報酬月額で決定
③短時間労働者の場合
短時間労働者とは、特定適用事業所等に勤務し、週20時間以上勤務などの要件を満たす方です。
- 4月、5月、6月の支払基礎日数が3カ月とも11日以上ある場合:3か月の報酬月額の平均額で算定
- 11日以上の月が1か月または2か月ある場合:11日以上の月の報酬月額の平均額で算定
- 3カ月とも11日未満の場合:従前の標準報酬月額で決定
(3)支払基礎日数のカウント方法
支払基礎日数は、給与形態によってカウント方法が異なります。
月給制・週給制:公休日を含めた「暦日数」をカウント
時給制・日給制:「実際の出勤日数」をカウント(休日出勤、年次有給休暇、会社都合の休業日も含む)
(4)特殊なケースの取扱い
①賃金計算期間の途中から資格取得した場合
1か月分の賃金が支給されない月を除いた月を対象とし、報酬総額を算出します。
②年間平均での算定
業務の性質上、季節的に報酬が大きく変動する場合で、4月~6月の平均報酬額と前年7月~当年6月の平均報酬額に2等級以上の差がある場合は、年間報酬の平均で算定できます。この場合は「事業主の申立書」と「被保険者の同意」が必要です。
●提出方法
- 電子申請(推奨)
- 電子媒体(CD・DVD)
- 届出用紙
●期限後の提出
期限を過ぎても提出は可能ですが、できる限り期限内の提出をしてください。
●決定通知と社会保険料の変更
届出後、「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」が会社に届きます。
この通知書に基づいて9月分の保険料(給与からの控除は事業所により異なる)から新しい標準報酬月額による社会保険料に変更します。
●従業員への通知
標準報酬月額の決定や変更があった場合は、従業員に通知する必要があります。これは標準報酬月額に変更がない場合でも必要です。
通知方法は給与明細書の備考欄への記載や個別の通知書配付などで構いません。
●届出期限
令和7年(2025年)の定時決定の届出期限は7月10日(木)です。
●その他
日本年金機構のホームページからExcel(エクセル)形式の算定基礎届ファイルがダウンロードできます。
健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険 70歳以上被用者算定基礎届(エクセル 163KB)
※こちらも参考としてください。
日本年金機構のホームページ
4-1:定時決定のため、4月~6月の報酬月額の届出を行うとき
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/hoshu/20141225.html