Q.退職金の相場を調べる方法はありますか?

A.退職金には全国一律の「相場」があるわけではありません。全国統計だけで判断せず、「会社規模」「地域」「業種」「勤続年数」など、自社に近い条件の資料をいくつか組み合わせて確認することをお勧めします。

■国の統計で「全国的な水準」を確認する

最初に確認したいのが、厚生労働省の「就労条件総合調査」です。

令和5年調査では、退職給付制度の有無や退職一時金・企業年金の状況のほか、学歴や職種、退職理由などによる退職給付額が公表されています。
全国的な水準を知るには有効な資料です。
ただし、この調査の対象は原則として常用労働者30人以上の民営企業です。そのため、社員10人、20人程度の会社が、その金額をそのまま自社の基準にするのは注意が必要です。

まずは「全国ではこれくらい」という大きな目安として利用するとよいでしょう。

■「退職金+地域名+業種」で探す

次に調べたいのが、自社の地域に近いデータです。

例えば東京都では、従業員10~299人の中小企業を対象とした「中小企業の賃金・退職金事情」を公表しており、令和6年版には退職金制度やモデル退職金のデータが掲載されています。

地域によっては、都道府県の労働・産業部門、中小企業団体中央会、商工会議所などが賃金や労働条件の調査を行っています。インターネットで、例えば「地域+業種+退職金」で検索してみるのも一つの方法です。

■「平均額」ではなく自社と条件が近い会社を見る

退職金を比較するときに最も注意したいのが、単純に「平均○○万円」だけを見ないことです。

例えば、同じ勤続30年でも、会社規模、学歴、職種、賃金水準、自己都合か定年退職かによって金額は変わります。

できれば、「従業員規模・業種・勤続年数・年齢・職種・退職理由」が自社に近いデータを探してください。

また、中退共を利用している会社であれば、掛金月額と加入期間から退職金額を試算できます。中退共自身も、退職金の水準は業種・規模・地域などによって異なるため、統計資料は参考として利用するよう案内しています。

大切なのは「相場と同じ金額にすること」ではありません。
相場を参考にしながら、自社が長期間負担できる金額、採用・定着への効果、社員にどの程度報いたいかを考えて制度を設計することです。

まとめ

  • 全国水準は厚生労働省「就労条件総合調査」で確認する
  • 地域・業種別は自治体、中小企業団体中央会、商工会議所などの調査を探す
  • 相場をそのまま採用せず、自社に近い条件と支払能力を踏まえて退職金制度を決める