Q.本社と支店が異なる都道府県にあるとき、最低賃金は本社・支店それぞれの都道府県で確認するのですか?
A.はい、そのとおりです。最低賃金は「本社か支店か」で決まるのではなく、従業員が所属する各事業所の所在地ごとに確認・適用します。本社が東京都、支店が大阪府・福岡県であれば、それぞれの従業員に対し、東京都・大阪府・福岡県の最低賃金を確認することになります。
■どこの最低賃金を見るか?
地域別最低賃金は、原則として「従業員が所属する事業所(就業場所)の都道府県」で確認します。
ただし例外があり、その場所が極めて小規模で、事務機能・管理機能を持たず、独立した事業所とみなせない場合には、本社など上位事業所の所在地の最低賃金を適用します。
したがって、東京本社所属の従業員は東京都、大阪支店所属の従業員は大阪府、福岡支店所属の従業員は福岡県、というように、所属先ごとに分けて管理するイメージになります。
派遣労働者については、派遣元ではなく派遣先の事業場所在地の最低賃金が適用されます。
■在宅勤務・小規模拠点の取扱い
誤解が生じやすいのが、在宅勤務者や小さな営業所・出張所などのケースです。
これらの場所が「独立した事業所」として機能していない場合(人事・経理を本社で行い、責任者も常駐せず、単なる作業場所に過ぎないなど)には、上位事業所の最低賃金を適用します。
たとえば、管理機能を持つ事業所が大阪府にあり、従業員が沖縄県の自宅でテレワークしている場合、自宅は独立した事業所とはみなされないため、大阪府の最低賃金が適用される取扱いとなります。
■複数県に拠点がある場合に行うべき確認
複数都道府県に事業所がある場合は、次の2点を整理しておくと運用しやすくなります。
- 各従業員の「所属事業所」の都道府県を、労働条件通知書、雇用契約書や辞令、人事マスタなどで明確にしておくこと
- 都道府県ごとに地域別最低賃金を毎年確認すること
地域別最低賃金は都道府県ごとに毎年改定されます。
さらに該当産業の場合は「特定(産業別)最低賃金」も確認し、地域別と特定の両方があるときは高い方を適用します。
なお、最低賃金法第8条で、使用者は、最低賃金の概要を「常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法」で労働者に周知しなければならないとされています。
周知すべき内容は、最低賃金法施行規則第6条により、次の3点です。
- 適用を受ける労働者の範囲と最低賃金額
- 最低賃金に算入しない賃金
- 効力発生年月日
【まとめ】
- 最低賃金は本社・支店の区別ではなく、従業員が所属する各事業所の所在地ごとに確認・適用する
- 在宅勤務や独立性のない小規模拠点は、本社など上位事業所の最低賃金が適用される場合がある
- 従業員の所属を明確にし、地域別(必要に応じ特定)最低賃金を毎年確認・社内周知することが重要
