Q.令和7年(2025年)6月から、企業に義務付けられた熱中症対策とは何ですか?

A.労働安全衛生規則の改正により、令和7年6月1日から、熱中症を発症するおそれのある作業を行う企業に義務付けられた熱中症対策とは「報告体制の整備」「手順の作成」「関係者への周知」の3項目になります。
厚生労働省が取りまとめた、令和7年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)によると、令和7年における職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は、統計開始以来最多となりましたが、熱中症による死亡者数は前年比約39%減でした。死亡者数が減少したことは、昨年度の熱中症対策により、事業場における熱中症の重篤化防止対策が進み、死亡災害の防止が一定程度図られたためと考えられます。
今年の夏も暑さが予測されます。法令に則り熱中症対策を行っていきましょう。

※熱中症とは

高温多湿な環境下において、体内の水分と塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻したりするなどして、発症する障害の総称。めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐(おうと)・倦怠(けんたい)感・虚脱感、意識障害・痙攣(けいれん)・手足の運動障害、高体温などの症状が現れる。

■義務化の背景と対象となる作業

厚生労働省の公表によると、令和6年(2024年)の職場における熱中症の死傷者数は1,257人、うち死亡者数は31人でした。こうした死亡災害を防ぐため、昨年度の義務化が行われました。

ちなみに、令和7年における職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は、1,803人(前年比546人・約43%増)であり、統計開始以来最多となりました。また、熱中症による死亡者数は19人(前年比12人・約39%減)でした。

対象となるのは、暑さ指数(WBGT値)28度以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超えて実施が見込まれる作業です。屋内・屋外を問わず対象となり、従業員以外でも同一の場所で作業する人には同様の措置が必要です。

※WBGT値とは

気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数。

■義務化された3つの項目

  1. 報告体制の整備:熱中症の自覚症状がある従業員や、そのおそれがある従業員を見つけた人が報告できる体制を整え、責任者の氏名・連絡先・連絡方法を定めて周知します。職場巡視やバディ制度なども有効です。
  2. 手順の作成:熱中症のおそれがある従業員を把握した際に、迅速かつ的確に対応できるよう実施手順を作成します。緊急連絡網や搬送先の医療機関の連絡先も記載することが望ましいとされています。
  3. 関係者への周知:整備した体制と手順は、掲示・メール・文書配布・朝礼での伝達などにより、関係する従業員へ確実に周知します。

■日常的な予防対策も重要です

義務化された項目に加え、日頃からの予防も欠かせません。冷房を備えた休憩場所の確保、気温の高い11時~15時台の屋外作業の回避、通気性のよい衣服の着用、水分と塩分のこまめな補給などが有効です。

また、体調不良や睡眠不足は発症リスクを高めるため、朝礼時のチェックリスト活用や、暑さを感じにくい高年齢の従業員への声掛けもおすすめします。

■まとめ

  • 2025年6月1日から、WBGT値28度以上または気温31度以上の環境で一定時間の作業を行う企業に熱中症対策が義務化され、違反には罰則がある
  • 義務化されたのは「報告体制の整備」「手順の作成」「関係者への周知」の3項目である
  • 義務への対応に加え、休憩場所の確保や水分・塩分補給、従業員の健康観察など日常的な予防対策も重要
【出典・参考】

・厚生労働省「職場における熱中症予防情報」

 https://neccyusho.mhlw.go.jp

・厚生労働省「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」(ダウンロードページ)

 https://neccyusho.mhlw.go.jp/download