労災かくしは、大別すると次の2つのケースがあります。
意図的に隠すこと
意図せず労災かくしを疑われる
労災事故を意図的に隠すことは、当然違反です。
「社内で処理したから分からないだろう」と思っていても、労災かくしはバレます。
発覚のきっかけとして多いのは、労働者本人や家族からの申告。
事故直後は会社に遠慮していても、治療が長引いたり、退職後に冷静になったりしてから相談につながることがあります。
また、医療機関での受診内容と会社の説明が食い違うことで判明することもあります。
業務中のけがなのに健康保険で受診していた場合、後から整合性が問われることがあります。
さらに、労基署の調査、内部通報など発覚ルートは一つではありません。
労基署の監督官は“プロ”ですので、隠そうとしても見つかります。
仕事をしている人は誰もがその道のプロです。プロから見れば、素人がしている出来栄えにはすぐに気づきますよね。
逆を考えれば、すぐにわかることです。
それでも、なぜ意図的に隠そうとするのでしょうか。
会社として怖いのは、「事故そのもの」よりも「隠したい事実」の方が大きな問題だからです。
・取引先への対面(影響)を考慮した結果から
・自分自身の保守(プライドや地位)のため
・労災保険料が増えるから(※メリット制が適用されている場合のみ)
被災した本人の今後のことは一切考えずに対応した結果が、意図的な労災かくしとなり、隠蔽することで一気に深刻化します。
また、意図せず労災かくしを疑われるケースとしては、被災した本人が会社へ報告せず、後日、症状が悪化してから「実は仕事中に……」ということから労災かくしと疑われることもあります。
これは実務では、よくあるケースです。
・外傷のない転倒で、当日はさほど痛みがなかったが日毎に痛みが増し、診断をしたら骨折をしていた
・足にモノが落下したが、すぐ病院に行かず仕事をしていたら、治療が長期化してしまった
上記は、いずれも会社への報告が遅れ、対応が遅くなり労災かくしを疑われるケースです。
会社としては、日頃から風通しのよい職場づくり(最近では心理的安全性と言われます)を心掛け、相談しやすい雰囲気や体制(フロー)を作っておくことが大切です。
労災かくしが発覚した場合の影響は、法令違反にとどまりません。
採用面、取引先との関係、社内の信頼関係にも影響が及びます。
「安全よりも隠すことが優先される会社」という印象は、企業にとって大きな損失です。
事故が起きたときに本当に会社を守るのは、「隠すこと」ではなく「早く正しく動くこと」です。
初動の数時間、数日の対応が、その後のリスクを大きく左右します。
次回は、発覚したときに企業にどのようなリスクが生じるのか、また予防のために何を整えておくべきかをまとめます。
