個人のニーズが多様化する中、労働者とのミスマッチの防止や人手不足の解消に向けて、職場情報を適切に開示・提供いただくことが有効です。
このたび、よりよい採用活動の参考となるよう厚生労働省から「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」が公開されました。
入社前後の職場に対する印象のギャップを可能な限り解消することで、労働者の離職率低下やエンゲージメント向上が期待できます。
このためには、企業側が職場に関する情報を発信して、求職者等が就職前に収集する情報の充実を図ることが重要です。
以下、厚生労働省策定「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」から、企業が求職者へどのように職場情報を発信していくとよいかをご紹介します。
■なぜ職場情報の提供が重要なのか
この手引の大きな目的は、入社前後のギャップを減らすことにあります。資料によれば、求職者の6割超が入社後に「不都合なギャップ」を感じているとされています。求人時のイメージと実際の働き方が違えば、早期離職につながりやすくなります。
逆に言えば、企業が職場の実態に近い情報を事前に発信することで、離職率の低下や社員のエンゲージメント向上が期待できます。
職場情報の開示は、採用後のミスマッチを防ぐための重要な取組なのです。
■求職者が本当に知りたい情報
求職者が求めている情報は、大きく4つに整理できます。
- 企業・業務に関する情報 ……事業内容や会社の安定性、身につくスキル、入社後のキャリアパスなど
- 職場環境に関する情報 ……テレワークの可否、男性育休取得率、職場の雰囲気、社員の定着率など
- 労働条件・勤務条件 ……賃金、残業時間、有給休暇取得率、副業・兼業の可否、転勤の有無など
- その他 ……転職者の場合:経験者採用等割合、経験者採用等の離職率、研修制度、過去に同部署に入社した人の経歴など
- その他 ……非正規雇用労働者の場合:就職後のキャリア形成(昇給制度および教育訓練の有無等)、正社員転換制度の有無および転換実績
特に注目したいのは、会社全体の情報だけでなく、在宅勤務、転勤の有無、男性育休取得率など、最近注目の施策が入っていることで、これらの取組は重要な応募条件になりつつあることです。
■企業が情報提供で気をつけたいこと
情報提供は、採用サイトや求人票、企業説明会、面接などさまざまな場面で行われます。
ただし、情報は多ければよいというものではありません。
重要な情報はわかりやすく示し、詳細は別ページへ誘導するなどの工夫が有効です。
また、提供する情報は正確で最新であることが大切です。
制度の有無だけでなく実際の利用状況まで伝えると、求職者にとって判断しやすくなります。
実績が十分でない項目も、隠すのではなく、改善に向けた取組や今後の方針とあわせて伝えることが望ましいとされています。
「両面提示」といって、労働者にとって都合のよいことだけでなく、不都合なこと(仕事を覚えるまでの苦労や職場環境)の両方を伝えることで、逆に誠実な企業として映り、また、入社後のミスマッチ(ギャップ)も少なくなるのではと、思います。
【まとめ】
- 求職者の6割超が入社後にギャップを感じており、事前の職場情報開示が早期離職防止につながる
- 求職者は会社全体だけでなく、配属部署や採用区分ごとの具体的な働き方の情報を求めている
- 実績が乏しい項目も隠さず、改善の取組とあわせて誠実に発信することが、結果的に採用力の向上につながる
