「給与明細書に年次有給休暇の残日数を見せるのは、会社の義務ですか?」というご質問をいただきました。

A 結論からいうと、年次有給休暇の残日数を給与明細書に表示・通知することは、法律上の義務ではありません。
ただし、会社には、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存する義務があります。

この管理簿には、付与日、取得した日、取得日数を記載します。
つまり、会社としては「誰に何日の年休があり、いつ取得したか」をきちんと把握しておく必要があります。

一方で、この管理簿を従業員本人に渡したり、残日数を明示したりするところまでは、法律で義務づけられていません。
また、給与明細書に年休の残日数や取得日数を記載することも、法的には任意です。

もっとも、実務では残日数の“見える化”をしている会社が多く見られます。

たとえば、給与明細に残日数を載せたり、勤怠システムの本人画面で確認できるようにしたりする方法です。

なぜそこまでした方がよいのでしょうか。

理由はシンプルで、年休の残日数が見えないと、労使双方にとって行き違いが起こりやすいからです。

・従業員は「あと何日あるのか分からない」と不安になりやすく、会社側も問い合わせのたびに確認が必要になる

・退職時の年休消化などで、残日数が不明による認識のずれがトラブルにつながることもあります。

そう考えると、残日数の表示は義務ではなくても、実務上はとても有効な対応です。
「義務がないから表示しない」というより、労使が安心して運用するために見えるようにしておくという方が、労務監理としてはスムーズです。

残日数表示の義務はありませんが、管理簿の整備は必要ですし、見える化は取得促進やトラブル防止に役立ちます。
この機会に、自社の年次有給休暇の管理が分かりやすい仕組みになっているか、一度見直してみてはいかがでしょうか。