~過半数代表者の選出を“労使の信頼づくり”の機会に~
時間外や休日労働を行うには、いわゆる「36(さぶろく)協定」を事前に締結し、
事業場を管轄する労働基準監督署へ届出を行う必要があります。
起算日が4月1日の場合、原則として3月31日までに提出しておく必要があります。
4月1日を起算日とする事業所も多いかと思いますので、準備を始められていることと思います。
ところで、経営者の皆さまの中には、
「とにかく提出しておけばいいんでしょ?」
「顧問社労士に任せてあるから…」
と、書類面の提出だけに意識が向いてしまいがちかもしれません。
ですが、本当に大切なのは、その手続きを通じた「労使コミュニケーション」ではないでしょうか。
過半数代表者の選出こそ、対話の入り口です
36協定は、「誰と協定を結ぶのか」が法律上しっかり決められています。
従業員の過半数が加入する労働組合がない事業所の場合、
「過半数代表者(従業員代表)」を従業員の皆さんによる民主的な手続きで選出する必要があります。
このとき、よく見かけるのが…
- 法律上の管理監督者を代表者にしてしまう
(※労働者代表としては不適格) - 使用者側が“この人でいいよね”と選んでしまう、もしくは“我が社は昔から、係長が署名することに決まっている”
(※いずれも民主的手続きとはいえません)
といったパターンです。
確かに手間をかけずに済むように思えますが、
これは法律上も問題があり、場合によっては協定そのものが無効とされるリスクもあるのです。
なぜ「きちんと選ぶ」ことが大切なのか?
過半数代表者をきちんと選出するということは、従業員自身が「私たちは職場を作る一員である」
と感じられることにつながります。
選出の際に、従業者間で候補者を公示し、投票や挙手といった民主的な手続きを実施することが求められていますが、
それ以上に過半数代表者をきちんと選ぶことは、従業員自身が自分たちの職場を意識する機会になるのではないでしょふか。
「説明のしかた」が信頼を左右します
36協定を結ぶ際、ただ書類を提示して署名を求めるのではなく、たとえばこのような言葉を添えてみてはいかがでしょうか。
「今後、繁忙期に備えてこのような協定を結びたいと考えています。
皆さんのご意見を聞かせていただきたいと思います。」
こうした声かけをすることで、従業員の受け取り方は大きく変わります。
36協定とは、「会社が一方的に決めた残業ルール」ではなく、労使が協力して“働き方のルール”をつくるための文書である。
そのようなメッセージが、しっかりと伝わるのです。
単に形式を整えるということではなく、従業員との信頼関係を築くきっかけにもなるのです。
おわりに 36協定を「信頼協定」に
書類としての36協定届を適正に整えることはもちろん大切です。
しかし、それ以上に大切なのは、その背景にある“信頼の土台”をつくることだと、私たちは考えています。
過半数代表者の選出から協定の締結まで、その一つひとつのプロセスを通して、
「この会社で働くことに安心感がある」と感じてもらえるような環境づくりに、ぜひ取り組んでみてください。
