「従業員の家族を、健康保険(協会けんぽ)の被扶養者に追加したいのですが、どのような要件が必要ですか?」というご質問をいただきました。

A 従業員の家族を、健康保険の「被扶養者」として新たに認定されるためには、4つの要件すべてを満たす必要があります。
①続柄が被扶養者の範囲、②収入要件、④被保険者の収入で生計維持されている、④国内居住(海外特例あり)です。

1.協会けんぽの被扶養者認定要件

  1. 日本国内に住所(住民票)があること(※一部、海外特例あり)
  2. 被保険者(従業員)の収入で主として生計を維持していること
  3. 収入要件を満たしていること
  4. 続柄が「被扶養者の範囲」に入っていること(同居要件のある親族は同居していること)

2.扶養にできる家族の範囲(続柄要件)

協会けんぽの「被扶養者」として認められるのは、おおむね次の親族です。

  • 配偶者(内縁関係含む)
  • 子、孫、兄弟姉妹
  • 本人の父母・祖父母など直系尊属
  • 上記以外の3親等内の親族(伯父母、甥姪など)は「被保険者と同居していること」が条件
  • 内縁配偶者の父母・子も、同居していれば対象

※配偶者の父母・祖父母は、「同居」の3親等内親族として扱われます。

3.収入要件

被扶養者となる家族の年間見込み収入が、次の基準未満であることが必要です。

  • 原則:年間収入 130万円未満(月額108,333円以下)
  • 60歳以上または一定の障害がある方:年間収入 180万円未満(月額150,000円未満)
  • 19歳以上23歳未満(配偶者以外)の場合:
    年間収入 150万円未満 ※令和7年10月1日以降の被扶養者認定から適用

加えて、

  • 同居の場合:その家族の収入が、被保険者本人の収入の「半分未満」
  • 別居の場合:その家族の収入が、被保険者からの仕送り額より少ないこと

「年間収入」は、過去の実績ではなく「今後1年間の見込み」で判断します。
そのため現在の1か月の収入を基準に、今後1年の収入額を算出しますので注意が必要です。
基準内の例:月額10万円×12か月=120万円<130万円

また、給与・賞与・通勤手当のほか、公的年金、失業給付、傷病手当金、家賃収入なども含めて判定します。

4.国内居住要件と海外特例

原則として、被扶養者は日本国内に住所(住民票)があることが必要です。

例外として、次のようなケースでは「海外特例要件」として扶養認定が可能です(留学生、海外赴任同行の家族など)。
この場合は、通常の書類に加え、

  • 被扶養者現況申立書
  • ビザ・在学証明・赴任辞令 等

を添付して届出を行います。

5.手続きの流れ(会社としての対応)

5-1.従業員から必要な情報を集める

まず、従業員から次のような「扶養情報」を書面や社内フォーマットで提出してもらうと、手続きがスムーズです。

  • 扶養追加日(事由発生日:入籍日、出生日、退職日の翌日など)
  • 扶養追加の理由(結婚、出産、配偶者の退職・収入減 等)
  • 追加したい家族の氏名・生年月日・性別
  • 被保険者との続柄
  • 同居/別居の別、別居なら住所・仕送り額等
  • 職業と年間見込み収入、収入の種類
  • 共働きの場合は、配偶者の年間見込み収入
  • マイナ保険証の利用可否/資格確認書の要否
  • 家族のマイナンバー

5-2.提出する届書

  • 使用様式:「健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」
  • 提出期限: 扶養の事実が生じた日(結婚・出産・退職等)から5日以内
  • 提出先:事務センターまたは管轄年金事務所(協会けんぽの場合)
  • 提出方法:郵送・持参、または電子申請

5-3.原則必要となる添付書類

1)続柄確認書類

  • 戸籍謄(抄)本(90日以内・原本・コピー不可)
  • または、住民票(被保険者が世帯主で同一世帯の場合に限る、90日以内・原本)

2)収入要件の確認書類

  • 給与収入:直近3か月の給与明細、雇用契約書 など
  • 事業収入(自営業・不動産等):直近の確定申告書
  • 年金・失業給付・各種手当:年金額通知、雇用保険受給資格者証、支給決定通知書、課税(非課税)証明書 など

3)別居の場合の仕送り確認書類

  • 通帳の写し(名義・振込日・金額がわかるページ)
  • 振込明細書
  • 現金書留控えの写し 等

※16歳未満または16歳以上の学生の場合、仕送り証明の添付は省略可能な取扱いがあります。

5-4.添付書類が不要になるケース

次の双方の条件を満たす場合は、原則として添付書類を省略できます。

  • 【収入要件書類が不要】 被保険者と被扶養者が同居しており、事業主が「所得税法上の扶養親族(年収103万円以下)」であることを確認している場合
  • 【続柄確認書類が不要】被保険者と被扶養者双方のマイナンバーを異動届に記載し、「届書の続柄記載と相違ないことを事業主が確認した」旨を届書に記載している場合

※この条件に該当する場合には、不要な書類をわざわざ集めないように留意していただくと負担軽減になります。

6.被扶養者認定後の取扱い

  • 毎年1回、協会けんぽから「被扶養者資格再確認」が行われ、現在も扶養要件を満たしているかを確認する必要があります。
  • 別居や海外在住の被扶養者がいる場合は、仕送り証明・ビザ等の追加書類が求められます。

7.その他実務上の留意点

  • 事実発生日から手続きが遅れると、その期間の医療費について本人負担が増える可能性があるため、できるだけ早めに従業員から情報を集めてください。
  • 追加する家族が19歳~23歳(配偶者以外)の場合は、認定日が令和7年10月1日以降かどうか、12月31日時点の年齢が何歳かを確認し、収入基準(130万円/150万円)を誤らないようにしてください。