Q.船員として働く場合、労働時間や賃金のルールは、一般的な会社員(陸上労働者)と同じなのでしょうか。

A.いいえ、異なります。船員は労働基準法ではなく「船員法」という独自の法律が適用される対象であり、労働時間の上限や賃金の最低額についても、海上労働の特殊性を踏まえた専用のルールが定められています。

■「船員」に該当するかどうかがまず重要

船員法上の「船員」とは、実際に船舶に乗り組んでいる「船長・海員」と、乗船のために雇用されている下船中の「予備船員」を指します。
総トン数5トン未満の船舶や、湖・川・港のみを航行する船舶などは対象外とされ、こうした船舶に乗船していても船員法は適用されません。また、継続的に陸上の事務作業に従事する場合は「予備船員」に当たらず、いわゆる「陸転」として陸上労働のルールが適用される点にも注意が必要です。

■労働時間には独自の上限規制がある

船員の労働時間は原則1日8時間以内、基準労働期間を通じた週平均40時間以内とされています。
時間外労働を行う場合でも、1日14時間・1週間72時間という絶対的な上限があり、これにより1日あたり最低10時間の休息時間の確保が義務付けられています。令和5年4月からは、当直交代作業や操練の時間も労働時間規制の対象に含まれるようになりました。

■陸上とは異なる最低賃金の基準

船員の報酬は最低賃金法に基づく最低額を下回ることができませんが、海上労働の特殊性を考慮し、陸上とは異なる最低賃金月額が別途定められています。
歩合制を採用する場合でも、雇入契約で一定額を定め、生活の糧として最低限の報酬を保障する仕組みになっています。

【まとめ】

  • 船員法は労働基準局とは別の独自の法体系であり、適用対象となる「船員」の範囲には例外規定がある
  • 労働時間は1日8時間・週40時間が原則だが、1日14時間・週72時間という絶対的上限と10時間の休息確保が必須
  • 最低賃金は陸上とは異なる船員専用の基準が設けられている

《参考》
船員の働き方改革
船員労働ハンドブック