社会保険の適用拡大により、パート・アルバイトの方が新たに社会保険へ加入する場面が増えています。その際、従業員の方が最も気にされるのが「手取りがどれくらい減るのか」という点です。
厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトでは、加入前後の手取り額の違いを示した事例と、月給を入力するだけで手取りの目安がわかる「手取りかんたんシミュレーター」が公開されています。今回はその内容をご紹介します。
■加入前後で手取りはどう変わるか
特設サイトでは、月額給与98,000円の場合の手取り額(概算)を、働き方別に比較しています。
- 国民年金・国民健康保険に加入している場合:手取り約76,300円
- 社会保険の扶養の範囲で働く場合:手取り約97,500円
- 社会保険に加入して働く場合:手取り約83,500円
社会保険に加入すると、健康保険料約5,000円、厚生年金保険料約9,000円が給与から控除されます。扶養の範囲で働く場合と比べると手取りは減りますが、国民年金・国民健康保険に自分で加入している方にとっては、かえって手取りが増えることになります。
■「手取りかんたんシミュレーター」の概要
シミュレーターは、月額給与88,000円以上210,000円未満の方を対象に、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・所得税と、手取り月額の目安を表示します。保険料率は2026年4月時点のもので、健康保険料は協会けんぽの全国平均保険料率に子ども・子育て支援金率を加えた率で計算されています。
なお、住民税は前年の所得で決まるため計算に含まれていないこと、結果はあくまで大まかな目安であることに注意が必要です。
■従業員へ説明するときのポイント
健康保険料や厚生年金保険料などは労使折半のため、従業員と同じ額を会社も負担しています。また、配偶者などご家族の勤務先から家族手当が支給されている場合、社会保険への加入によって手当が支給されなくなることがあります。
手取り額だけでなく、将来受け取る年金が増えることや、病気・けがの際の保障が手厚くなる点もあわせて伝え、ご家族とも相談しながら働き方を考えてもらうことが大切です。
【まとめ】
- 月額給与98,000円の事例では、社会保険加入後の手取りは約83,500円となり、扶養の範囲内より減る一方、国民年金・国民健康保険加入時よりは増える。
- 厚生労働省の「手取りかんたんシミュレーター」では、月給88,000円以上210,000円未満の手取りの目安を試算できるが、住民税は含まれていない。
- 従業員への説明では、労使折半の仕組みや家族手当への影響、保障の充実もあわせて伝えることが重要である。
適用拡大の対象となる従業員がいる場合は、早めにシミュレーターで手取りの目安を示し、個別に説明の場を設けましょう。家族手当や扶養の状況は家庭ごとに異なるため、本人がご家族と相談できるよう、時間に余裕をもって進めることをおすすめします。
