【ご質問】

「2026年度の税制改正で通勤手当の非課税限度額が変わったと聞きました。当社の通勤手当も変更しなければなりませんか?」


【回答】

「今回の改正は「支給義務の変更」ではなく「非課税の範囲の拡大」です。通勤手当の支給額そのものを変更することを会社に義務付けるものではありません。ただし、就業規則や賃金規程等の定め方により、支給額の変更が生じることもあります。」

■今回の改正の内容

令和8年(2026年)度税制改正により、マイカー通勤など自動車等の交通用具を使用している従業員への通勤手当について、非課税限度額が以下のとおり改正されました。令和8年(2026年)4月1日以後に支給する通勤手当から適用されています。

①自動車等の交通用具を使用している従業員について、片道65km以上の距離区分が細分化され、それぞれの非課税限度額が引き上げられた

②一定の要件を満たす駐車場等を利用し、その料金を自己負担することを常例とする従業員については、通勤距離の区分に応じた非課税限度額に、1ヶ月あたりの駐車場料金相当額(上限5,000円)を加算した金額が非課税限度額となる

なお、「一定の要件を満たす駐車場等」とは、勤務先周辺や利用する交通機関の駅・停留所などの周辺にある、通勤用車両のための駐車場を指します。

■通勤手当の規定や金額を変更する義務はあるのか?

結論から申し上げると、今回の改正は「非課税限度額」の引き上げであり、通勤手当の支給額そのものを変更することを会社に義務付けるものではありません。

通勤手当を支給するかどうか、またその支給水準については、就業規則や賃金規程等に基づき、各社で任意に定めることができます。

例)賃金規程に「通勤手当は、非課税限度額を上限とする」と記載されていた場合

  →非課税限度額の改正により、通勤手当の支給額が今までの増える可能性があります。

非課税限度額とは、所得税において課税されない上限額のことです。

支給額がこの限度額を超えると、超過分は給与として課税対象になります。
逆に言えば、限度額の範囲内で支給している場合は、今回の改正による影響はありません。

■実務上の対応が必要なケース

以下に該当する従業員がいる場合は、対応を検討する余地があります。

・片道65㎞以上の長距離通勤者がおり、現在の支給額が旧限度額に合わせて設定されている場合

・駐車場料金を実費負担している従業員がおり、その費用を通勤手当に上乗せすることを検討する場合

後者については、新たに駐車場料金分を加算して支給することで、その分を非課税として扱える可能性があります。
就業規則や賃金規程の見直しを検討してもよいでしょう。