【はじめに】

●「なんとなく雇う」から「考えて雇う」へ

私が最初に人を採用をしたきっかけは、事務所業務の補助をしてくれていた妻の妊娠・出産でした。
当時、少しずつ顧客が増えており、妻の手助けがなければ業務が滞る状態でした。

未経験でもよいので、給与計算等の補助、業務ソフトへの入力、顧客への成果物の送信などをしてくれる人を採用したいと思ったことが、採用における最初の一人でした。

私には前職の人材派遣会社で採用面接を行っていた経験がありましたので、面接から定着までのイメージはできていましたが、いざ、自分で人を採用をし業務ができるよう育成するまでとなると、結構、たいへんなことでした。

人材派遣会社のときも、派遣社員の給与計算を数名のスタッフとともに計算していたため、給与計算等の業務を教えていく手順等はわかっていましたが、給与計算以外のその他の業務をしながら育成していくことは、“皿回し”のように様々なところに注意を払う必要があります。

業種にかかわらず5名以下の小規模の事業所の育成では、そこで働く一人あたりのウェイトが高いく、それぞれのスタッフがいろいろなことをしており、教え方はOJT(仕事をしながら教えていくこと)となることが多いことが特長としてあげられます。

そのため5名以下の小規模事業所の採用は常に「採用と育成」がセットであり、採用の次にくる育成まで考えた雇用が必要になります。

つまり

-「なんとくなく雇う」から「考えて雇う」への視座の転換をもつ

小規模事業所の「初めての採用」ではこれがとても重要です。

私の場合、幸い(といってよいのでしょうか)最初の一人目が早期退職があったことで面接と育成手法を見直すことができ、次に採用した方は長く事務所で勤めてくれました。
今でこそ、自分なりの募集や面接手法を確立し、私の代わりに丁寧に業務を教えてくれるスタッフもいますので、一人目を採用するほど不安はありません。

それでも、人を採用するということは、どんな人が来るのか(そもそも応募があるのか)から始まり、育成・指導や雇用後の管理として、給与計算や契約内容はどこまできちんとすればよいか不安は拭えません。

ましてや初めて人を採用する方は、経験していないことを行いますので、余計不安に思われることでしょう。
ですが最初の一人目の採用が成功すれば、次の二人目、三人目の採用につながっていきます。

これから続くコラムでは、次のような人に宛ててお話ししていきます。

-これまで一人または家族で事業をやってきたが、忙しくなってきたので人を雇いたい

-採用の流れや法律的な手続きがまったくわからない

-「どんな人を雇えばいいのか」「どこで募集すればいいのか」も不安

-雇った後にトラブルにならないか心配

次回は「第1章 なぜ『最初の採用』は特別なのか?」です。
最初の採用の重要性についてお話しします。

お楽しみにお待ちください。