第6章(最終章):選ばれる会社になるために
――「人を選ぶ」前に、「選ばれる会社」になる
「求人を出しても応募が来ない」
「面接まで来ても辞退されてしまう」
「うちみたいな小さな会社じゃ、いい人は来ないのでは…」
そんな声を、私たちはこれまで何度も聞いてきました。
でも、実は「会社の規模」や「知名度」だけが、応募の決め手ではありません。
求職者が本当に知りたいのは――
「この会社で、どんな人たちと、どんな想いで働けるのか?」
「自分の人生にとって、ここで働くことに意味があるのか?」
つまり、会社の“中身”です。
そしてその“中身”を、きちんと伝えられる会社こそが、選ばれるのです。
この章では、中小企業でも実践できる「会社の魅力づくり」と「伝え方」の工夫をご紹介します。
●「選ばれる会社」になるための3つの視点
では、どうすれば「この会社で働きたい」と思ってもらえるのでしょうか?
そのヒントとなるのが、以下の3つの視点です。
- 求職者が会社に対して持つ期待・印象
- 応募動機に現れる価値観の共有
- 求職者の属性から見える「魅力の要素」
それぞれの視点を少し掘り下げてみましょう。
① 求職者が会社に対して持つ期待・印象
これは、いわば「第一印象」にあたる部分です。
求人票・ホームページ・SNS・口コミなどを通じて形成される“外から見た会社像”が、応募の意思決定に大きく影響します。
たとえば――
- 「この会社、なんか雰囲気が良さそう」
- 「社員の人たちが楽しそうに働いている」
- 「自分でも活躍できそうな気がする」
こうしたポジティブな印象があればあるほど、応募のハードルは下がります。
逆に、情報が少なかったり、無機質な印象を与えてしまうと、求職者は不安を感じてしまいます。
次のような情報を自社ホームページや求人票等で発信してみましょう。
- 写真や動画で“リアルな職場”を見せる
- 社員の声やストーリーを発信する
- 求人票に自社の「想い」や社長の「人柄」が伝わる言葉・エピソードを入れる
② 応募動機に現れる価値観の共有
求職者が「なぜこの会社を選んだのか?」という動機には、その人の価値観が色濃く表れます。
たとえば――
- 「地域に根ざした仕事がしたい」
- 「人とのつながりを大切にしている会社に惹かれた」
- 「小さな会社でも裁量を持って働きたい」
こうした価値観が、会社の理念や文化と重なっていれば、入社後のミスマッチも少なくなります。
そのために次のような取り組みを行ってみましょう。
- 会社の「理念」や「大切にしていること」を明文化し、発信する
- 面接で「なぜこの会社を選んだのか?」を丁寧に聞く
- 既存社員インタビューなどで、価値観を可視化する
「自社の考え方に共感できるか?」という“内面的な一致”の部分はとても大切です。
③ 求職者の属性から見える「魅力の要素」
既存の社員が応募した理由を分析することで、自社の“どこに魅力を感じているのか”が見えてきます。
たとえば――
- 子育て中の女性が多く応募してくる → 柔軟な働き方が魅力
- 地元出身の若者が多い → 地域密着の安心感が魅力
- 異業種からの転職者が多い → 未経験でも挑戦できる環境が魅力
このように、求職者の属性を分析することで、自社の“強み”や“選ばれている理由”を客観的に把握することができます。
次のような取り組みは行い、求人票等に反映しましょう。
- 求職者の属性(年齢・性別・前職・志望動機など)を記録・分析する
-「なぜうちに応募してくれたのか?」を面接で聞き、データ化する
- 既存社員にインタビューし、魅力の要素を求人票や採用ページに反映する
●3つの視点を整理すると…
要 素 | 視 点 | 目 的 |
---|---|---|
1. 求職者が持つ期待・印象 | 外から見た“会社の顔” | 興味・応募のきっかけをつくる |
2. 応募動機に現れる価値観の共有 | 内面的な“共感” | ミスマッチを防ぎ、定着につなげる |
3. 求職者の属性から見える魅力 | 客観的な“強みの分析” | 自社の魅力を再発見し、発信に活かす |
この3つの視点を意識することで、単なる「人集め」ではなく、“共感でつながる採用”が実現できます。
そしてそれこそが、長く活躍してくれる人材との出会いにつながるのです。
《まとめ》
選ばれる会社は「自分たちの魅力」に気づいている
- 「選ばれる会社」になるには、まず自社の魅力に気づくことから
- 求人票は「条件」ではなく「共感」を伝えるラブレター
- 写真・動画・社員の声で、リアルな職場の雰囲気を伝える
- 求職者の視点・価値観・属性を分析し、魅力を“見える化”する
- 発信しなければ、魅力は“存在しない”のと同じ
中小企業でも、特別な制度や大きな投資がなくても、
「らしさ」や「想い」を丁寧に伝えることで、選ばれる会社になることは十分に可能です。
いかがでしょうか?
今回は3つの視点を加えることで、「選ばれる会社」になるための実践的なヒントが一層明確になったかと思います。
今回を持ちましてすべての内容が終了しました。
いかがでしたでしょうか。
これまに何かお役に立ちそうな箇所がありましたか。
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今後とも皆さまのお役に立てるようなブログを発信をしていきます。
お楽しみにお待ちください。