(2)介護施設の人手不足の原因とは?
①定着率の改善
介護職員の離職者のうち、全体の約6割が勤続年数3年未満というデータがあります。
3年未満である理由として、次の5つがあげられます。
・体力が求められる仕事であり、夜勤やシフトによる精神的負担も大きい
・ともに働くスタッフとの人間関係だけでなく、利用者やその家族との関係がストレスに
・他の職種と比べ賃金が低い、まだまだ処遇改善が進んでいるとはいえない
・キャリアパスが明確ではないため、将来に不安がある
・リテンションマネジメント(人材定着)が不足しているため、新入社員の早期退職が多い
②未経験で介護業界に転職する人が少ない
令和4年度の産業別の入職者と離職者を比較すると、宿泊業、飲食サービス業では入職率20.3%に対し、離職率15.0%とあります。
一方で、医療、福祉では入職率9.8%に対して、離職率9.9%とほぼ同率です。
入職率と同じだけ離職率があるということは、医療、福祉全体の労働者数は変わらないということです。
他産業からの介護業界への入職率を高めなければ、慢性的な人手不足は解消しないということになります。
③年齢とともに体力が必要である
①で3年未満の離職理由に記載しましたが、介護職は体力が求められる職種です。
とくに入浴介助は、とても負担が大きい業務です。
入浴介助をしないというわけにはいきませんので、少しでも身体的な負担が減るよう介護施設全体での取り組みが必要です。
《まとめ》
介護施設における人手不足の原因について考察してみました。
データとしてだけではなく、私たちが日頃、クライアント事業所と関わっている実感として、介護職員の3年未満の離職率は高いといえます。
介護に限ったことではありませんが、新しく入職した方へのオンボーディング(定着のための支援策)が不足しているように思います。
次回は「人手不足解消に向けた解決策」について掲載いたします。