■短時間労働者の社会保険加入を支援する制度

パート・アルバイトなどの短時間労働者について、今後、健康保険・厚生年金保険の適用拡大が段階的に進んでいきます。
これに伴い、新たに社会保険へ加入する従業員の手取り額が減少することを心配される会社もあるのではないでしょうか。

そこで設けられるのが「保険料調整制度」です。

この制度は、対象となる短時間労働者の社会保険料について、本人負担分の一部を事業主が一時的に負担することで、従業員の保険料負担を通算3年間軽減する仕組みです。
事業主が一時的に追加負担した分は、一定期間経過後に調整されるため、最終的に事業主が納付する保険料は増えないとされています。
また、従業員が将来受け取る年金額にも影響はありません。

■対象となる事業所と従業員を確認

対象となる事業所及び従業員は、次のとおりです。

【令和8年10月1日以降対象となることができる事業所】
令和8年10月1日以降、任意特定適用事業所になると、保険料調整制度の対象となります。
なお、令和8年9月30日以前に任意特定適用事業所となった事業所は、対象外です。

【令和9年10月1日以降、順次対象となる事業所】
原則として、令和9年10月1日以降の短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大により、短時間労働者が新たに加入対象となる事業所が、保険料調整制度の対象になります。
さらに、令和9年10月1日以降は、短時間労働者に対する社会保険の適用拡大により、段階的に対象事業所が広がっていく予定です。

  • 令和9年10月~ 厚生年金保険の被保険者数36人以上50人以下の事業所
  • 令和11年10月~ 厚生年金保険の被保険者数21人以上35人以下の事業所
  • 令和14年10月~ 厚生年金保険の被保険者数11人以上20人以下の事業所
  • 令和17年10月~ 厚生年金保険の被保険者数10人以下の事業所

【制度の対象となる従業員(被保険者)】
以下の1および2にすべて該当する被保険者が制度の対象となります。

  1. 短時間労働者として健康保険・厚生年金保険に加入する被保険者。
  2. 標準報酬月額が126,000円以下の被保険者。

すべての短時間労働者が対象になるわけではないため、事前確認が大切です。

■会社が今から準備しておきたいこと

保険料調整制度を利用するには、事業所が制度の対象となった日から2年以内に、事業主から申し出を行う必要があります。
届書様式や具体的な手続きは今後示される予定ですが、会社としては早めの準備が必要です。

まずは、現在勤務しているパート・アルバイトの労働時間、賃金、社会保険加入の見込みを確認しましょう。
そのうえで、対象となる従業員に対して、社会保険加入のメリット、保険料負担、制度利用による軽減内容を丁寧に説明することが重要です。

社会保険の適用拡大は、単なる手続きの問題ではなく、人材確保や働き方にも関わります。
制度を正しく理解し、従業員が安心して働き続けられる環境づくりにつなげていきましょう。

【まとめ】

  • 保険料調整制度は、短時間労働者の社会保険料負担を通算3年間軽減する制度
  • 対象となる事業所や従業員には要件があり、標準報酬月額126,000円以下の方が対象
  • 制度利用には事業主からの申し出が必要なため、早めに対象者の確認を行う

【関連リンク】
"保険料調整制度のご案内|日本年金機構"