「近々、年に1回の定期健康診断があるため、採用予定者の採用時の健康診断を、定期健康診断のときに行うことはできますか」というご質問をいただきました。
まず「採用時に健康診断を行わなければならないか」ということですが、採用時の健康診断は「雇入時(やといいれじ)の健康診断」といわれ、労働安全衛生規則(以下、「安衛則」といいます)第43条にもとづき常時使用する労働者を雇入れるとき、実施するものとされています。
一方、「定期健康診断」は安衛則第44条にもとづき常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、実施するものです。
結論から言いますと、「雇入時の健康診断」(すなわち採用時の健康診断のこと)を「定期健康診断」に変えることはできません。
なぜなら「雇入時の健康診断」と「定期健康診断」の健康診断項目が異なるからです。厳密にいうと、「定期健康診断」は健康診断項目について医師が必要でないと認めるとき、省略することができますが、「雇入時の健康診断」では省略できないため。
「定期健康診断」で実施すべき健康診断項目は、次のとおりです。
- 既往歴及び業務歴の調査
- 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- 身長(※)、体重、腹囲(※)、視力及び聴力の検査
- 胸部エックス線検査(※)及び喀痰検査(※)
- 血圧の測定
- 貧血検査(血色素量及び赤血球数)(※)
- 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)(※)
- 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド)(※)
- 血糖検査(※)
- 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
- 心電図検査
「※」は、医師が必要でないと認めるとき、「定期健康診断」において省略が可能な項目です。
「雇入時の健康診断」の健康診断項目は、「定期健康診断」と「4.喀痰検査」を除き、同じ項目です。ただし、前述したとおり、省略することができませんので、この違いにより「雇入時の健康診断」を「定期健康診断」の実施時に行なうことはできないのです。