Q.これまで妻の健康保険の扶養に入れていた子どもがいます。今回、妻が育児休業を取得することになり、その期間中は夫である私の方が収入が多くなる見込みです。この場合、子どもの扶養を一時的に私(夫)の側へ移す手続きが必要でしょうか?
A.育児休業等による「一時的な」収入の逆転であれば、被扶養者を夫婦間で入れ替える手続きは通常、必要ありません。公的な通知等においてもそのような取扱いが明示されています。
■夫婦共働き世帯における被扶養者の原則
夫婦ともに収入がある場合、子どもなどの被扶養者は、原則として「年間収入の多い方」の扶養に入ることとされています。
ここでいう年間収入は、過去の収入、現時点の収入または将来の収入などから今後1年間の収入を見込んだ額を算出してください。
被扶養者の人数にかかわらず、この考え方が基本となります。
ただし、夫婦の年間収入の差が「収入の多い方の1割以内」に収まる場合には、届出により「主として生計を維持している方」を扶養者とすることが認められています。この「主として生計を維持している方」に該当するかどうかは、収入の多少だけでなく、世帯の生計維持の実態(生活費の負担状況等)を総合的に見て判断されます。
このように、被扶養者の認定は単純に金額だけで決まるものではなく、世帯の生計維持の実態を踏まえて判断される仕組みになっています。
夫婦ともに収入がある場合、子どもなどの被扶養者は原則として「年間収入の多い方」の扶養に入ることとされています。
被扶養者の人数にかかわらずこの考え方が基本となります。
■育児休業中の「一時的な収入逆転」は手続不要
ポイントは、育児休業等による収入減は「一時的な事情」とみなされる点です。
通達では、主として生計を維持していた被保険者が育児休業等を取得したことにより一時的に夫婦の年間収入が逆転した場合等においても、当該休業期間中の被扶養者の異動にかかる手続きは不要とする旨が明記されています。
これは、育休による収入減少は、世帯の生計維持の中心が恒常的に変わったわけではない、という考え方に基づくものです。
したがって、育休のたびに子の扶養先を夫婦間で行き来させる必要はありません。
■恒常的な収入構造の変化があった場合は再判定を
一方で、育休終了後も配偶者側の収入が継続的に高い状態が続き、世帯の生計維持の中心が明らかに移ったといえる場合は別です。
たとえば復職後に時短勤務を継続し、その結果として夫婦の「今後1年間の年間収入の見込み」が長期的に逆転したまま安定すると見込まれるようなケースでは、その事実が確定した時点で改めて扶養者の判定を行い、必要に応じて被扶養者の異動を検討します。
このような場合、実際の手続要否や必要書類は、加入している健康保険の保険者の判断によるため、具体的な異動が生じる際には保険者の案内に従ってください。
【まとめ】
- 育休等による一時的な収入逆転では、被扶養者の異動手続きは不要
- 夫婦共働き世帯の被扶養者は、原則として年間収入の多い方の扶養に入る
- 育休後も収入構造の変化が恒常的に続き、年間収入の見込みが逆転した状態が定着すると考えられる場合は、その時点で扶養者を再判定する
