「育児・介護休業法」とは、労働者が育児や家族の介護を理由に離職することなく、仕事と家庭生活を両立できるよう支援する法律です。2025年12月作成の厚生労働省資料「育児・介護休業法のあらまし」より、制度の全体像と2025年の改正ポイントを中心にまとめています。

1.育児休業に関する主な制度

育児休業

労働者は、原則として子が1歳になるまで、育児休業を取得できます。
保育所に入れないなど一定の事情がある場合は、1歳6か月まで、さらに2歳まで延長できます。

通常の育児休業は、子が1歳になるまでの間に、原則として2回に分けて取得できます。

また、両親がともに育児休業を取得する場合には、「パパ・ママ育休プラス」により、一定の要件のもと、子が1歳2か月になるまで休業期間を延ばせます。

産後パパ育休

「産後パパ育休」は、正式には出生時育児休業といいます。子の出生後8週間以内に、通算4週間まで取得でき、2回に分割することも可能です。

申出期限は原則として休業開始日の2週間前です。通常の育児休業とは別の制度であるため、産後パパ育休を取得した後に、通常の育児休業を取得することもできます。

労使協定を締結している場合は、労働者本人の同意を前提として、一定の範囲内で休業中に就業することも認められています。

子の看護等休暇

病気やけがをした子の看護、予防接種、健康診断などのために取得できる休暇です。2025年4月からは、対象となる子の範囲が、従来の「小学校就学前」から小学校3年生修了までに広がりました。また、感染症による学級閉鎖や、入園式・卒園式・入学式への参加も取得事由に加わり、名称も「子の看護休暇」から「子の看護等休暇」に変更されています。

取得日数は、対象となる子が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日です。

その他の育児休業に関する制度

育児を行う労働者には、次のような制度も設けられています。

  • 所定外労働、いわゆる残業の免除
  • 時間外労働を月24時間・年150時間までに制限する制度
  • 午後10時から午前5時までの深夜業を制限する制度
  • 3歳未満の子を養育する労働者に対する短時間勤務制度

2025年4月からは、所定外労働の制限を請求できる労働者の範囲が、3歳未満の子を養育する労働者から、小学校就学前の子を養育する労働者まで広がっています。

2.介護休業に関する主な制度

介護に関する制度は、長期間休み続けることだけを目的としたものではありません。介護サービスの手配や、家族間の役割分担、今後の働き方を整えるための準備期間として活用することが大切です。

介護休業

要介護状態にある対象家族1人につき、通算93日まで取得できます。一度にまとめて取得する必要はなく、3回まで分割して取得できます。

対象家族には、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫が含まれます。

なお、ここでいう「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体・精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。

介護休暇

対象家族の介護や通院の付き添い、介護サービスの手続などのために、年次有給休暇とは別に取得できる休暇です。対象家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日まで取得できます。

2025年4月からは、労使協定によって除外できる労働者のうち、「継続雇用期間6か月未満」という要件が廃止されました。そのため、入社間もない労働者であっても、原則として介護休暇を取得できるようになっています。

その他の介護休業に関する制度

対象家族を介護する労働者には、次の制度があります。

  • 所定外労働の制限
  • 時間外労働を月24時間・年150時間までに制限する制度
  • 深夜業の制限
  • 短時間勤務、フレックスタイム、時差出勤、介護サービス費用の助成など

短時間勤務等の措置については、介護休業とは別に、利用開始から3年以上の期間に、2回以上利用できる制度を会社が設ける必要があります。

3.会社に求められる主な対応

育児・介護休業法は、「休業の申出があったら認めればよい」という法律ではありません。制度を利用しやすい職場環境を、あらかじめ整備することも会社の義務です。

育児休業を取得しやすい環境整備

会社は、育児休業や産後パパ育休の申出が円滑に行われるよう、研修、相談窓口の設置、取得事例の提供、会社方針の周知などの措置を講じる必要があります。

また、本人または配偶者の妊娠・出産の申出を受けた場合は、育児休業制度などを個別に周知し、取得意向を確認しなければなりません。

介護離職を防ぐための対応

2025年4月から、介護に直面したと申し出た労働者に対し、会社は介護休業や両立支援制度を個別に周知し、利用意向を確認することが義務になりました。さらに、労働者が介護に直面する前から制度を知っておけるよう、40歳前後の一定の時期に情報提供を行う必要があります。

研修の実施や相談窓口の整備など、介護休業を利用しやすい雇用環境の整備も求められています。介護は突然始まることが多いため、「相談があってから説明する」だけでは対応が遅れがちです。
制度一覧や相談先を事前に社内周知しておくと、労働者も会社も安心できますね。

4.2025年10月からの重要な法改正

2025年10月からは、3歳から小学校就学前までの子を養育する労働者に対して、会社が「柔軟な働き方を実現するための措置」を設けることが義務になりました。

会社は、次の5つの中から2つ以上を選択します。

  1. 始業・終業時刻の変更
  2. 月10日以上利用できるテレワーク等
  3. 保育施設の設置・運営等
  4. 年10日以上の養育両立支援休暇
  5. 短時間勤務制度

労働者は、会社が用意した制度の中から1つを選んで利用できます。

会社が導入する措置を選ぶ際には、過半数労働組合または過半数代表者から意見を聴く機会を設ける必要があります。
また、子が3歳になる前の適切な時期に、会社は対象となる制度を個別に周知し、利用意向を確認しなければなりません。

本人または配偶者の妊娠・出産の申出時や、子が3歳になる前には、勤務時間帯、勤務地、制度の利用期間、業務量などについて、労働者の意向を個別に聴き、可能な範囲で配慮することも求められます。

5.不利益な取扱いとハラスメントの禁止

育児休業や介護休業を申し出たこと、取得したことなどを理由として、解雇、雇止め、降格、不利益な配置転換、減給などを行うことは禁止されています。また、上司や同僚による育児・介護休業等に関するハラスメントを防止するため、会社には方針の明確化、相談窓口の設置、相談後の適切な対応などが求められます。

制度の利用によって周囲の負担が増えることもありますが、その負担を利用者本人の責任にしてしまうと、制度が使えない職場になりかねません。業務の属人化を見直し、引継ぎや応援体制を整えることが、会社にとっても重要です。

■まとめ

育児・介護休業法は、単に「休む権利」を定めた法律ではありません。休業、休暇、残業の免除、短時間勤務、柔軟な働き方、個別周知、意向確認などを組み合わせて、仕事と家庭の両立を支える仕組みです。

特に2025年の改正では、子育て期の柔軟な働き方と介護離職防止に向けた会社の対応が強化されました。

まずは、育児・介護休業規程が改正内容に対応しているかを確認しましょう。あわせて、申出書、個別周知書、意向確認書、相談窓口、管理職向けの対応手順まで整備しておくと、実際に申出があった際にも安心できますね。

《参考・法的根拠》

育児・介護休業法第5条以下、第9条の2以下、第11条以下、第16条の2以下、第21条、第22条、第23条、第23条の3、第25条ほか。

資料:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし(2025年12月版)