Q.歩合給に対する割増賃金(法定時間外)は、なぜ「1.25倍」ではなく「0.25倍」で計算するのでしょうか?
A.歩合給は、所定労働時間だけでなく時間外労働を含む総労働時間の成果に対して支払われる賃金です。そのため、時間外労働分の通常賃金「1.00」は、すでに歩合給本体に含まれていると考えます。会社が追加で支払う必要があるのは、割増部分である「0.25」のみとなります。
1.歩合給の考え方
まず、「歩合給(制)」とは、売上高や契約成立件数等の一定の成果に対して、定められた金額を支払う賃金制度のことです。「出来高払(制)」「請負給(制)」とも呼ばれます。歩合給は、賃金算定期間中の総労働時間(所定内・所定外・時間外・休日労働を含む実労働時間)で得た成果に対して支払われます。
したがって時間外労働中の成果分の通常賃金も、すでに歩合給に含まれている扱いになります。
2.固定給との違い
固定給は所定労働時間分の対価のため、時間外労働には「通常賃金1.00+割増0.25=1.25」が必要です。一方、歩合給は通常賃金分が支払済みのため、必要なのは割増分の0.25のみです。
- 固定給部分=時間単価×1.25×法定時間外時間
- 歩合給部分=時間単価(※)×0.25×法定時間外時間 ※歩合給の時間単価=歩合給の総額÷総労働時間
両者を併給している場合は区分して計算したのち、合算します。
3.「常に0.25」ではない点に注意
- 月60時間超の時間外:合計0.50以上
- 法定休日労働:0.35以上(時間外25%は重複させない)
- 深夜労働(22時〜5時):0.25以上を加算
時間外と深夜が重複すれば0.50以上、休日と深夜が重なれば0.60以上となります。
歩合給だからと一律0.25で計算すると誤りが生じる場合があります。
■まとめ
- 残業の場合の歩合給の時間外割増賃金は「時間単価(歩合給総額÷総労働時間)×0.25×法定時間外時間(残業時間)」で計算が原則
- 60時間超・法定休日労働・深夜労働が絡む場合は割増率が異なるため区分計算が必要
- 賃金規程での計算方法の明記と、給与明細での歩合給・割増賃金の区分表示がトラブル防止につながる

