Q.育児休業から復帰した従業員について、給与計算や社会保険の手続きで注意すべき点を教えてください。
A.はい。復帰月の給与は日割り計算や時短勤務による減額の取扱いを確認する必要があり、社会保険料も免除終了のタイミングや標準報酬月額の見直しなど、複数の手続きが重なります。順番に見ていきましょう。
1.復帰月の給与計算
月の途中で復帰した場合、休業期間分を無給として日割り計算するのが一般的ですが、計算方法は法律で一律に定められていません。月給者の場合、「月給÷暦日数」とする会社もあれば「月給÷当月所定労働日数」「月給÷月平均所定労働日数」とする会社もあるため、賃金規程の定めを確認しましょう。
また、時短勤務による給与減額は認められますが、実際の短縮時間を超えて減額するなど、育児休業等を理由とした不利益取扱いはできません。
固定残業代を支給している場合は、算定根拠の見直しが必要になることもあります。
2.社会保険料の免除終了と月額変更
社会保険料の免除は、原則として育児休業終了日の翌日が属する月の前月分までとなります。
例えば、6月10日終了、6月11日復帰なら、5月分まで免除され6月分から発生します。
※給与からの保険料控除が、当月分給与から控除か翌月分給与から控除かは、事業所により異なるため、これまでの運用と統一しましょう。
また、時短勤務等で給与が下がった場合は、本人の申出により「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出でき、復帰月から3か月間の報酬平均をもとに4か月目から標準報酬月額が改定されます。こちらは月額変更届のように強制ではなく、本人からの申出を受けての届出(任意)となります。
3.年金額を守る特例
標準報酬月額が下がると、毎月の保険料は下がる一方、将来受け取る厚生年金額にも影響しうるため、「養育期間標準報酬月額特例(養育期間中の従前標準報酬のみなし措置)」についても案内しておきましょう。
この特例は、3歳未満の子を養育している期間、実際の標準報酬月額が下がっても、将来の年金額を計算する際は原則として養育開始前の標準報酬月額を用いる仕組みです。本人からの申出が必要で、会社が自動で手続きするものではない点に注意が必要です。
4.給付金の確認
2歳未満の子を養育するために時短勤務を行い、賃金が低下した場合は、雇用保険の「育児時短就業給付金」の対象となる可能性があります。要件を満たす場合、原則として時短勤務中に支払われた賃金の10%相当額が支給されます(賃金水準や支給限度額による調整あり)。
給与を減額して終わりにするのではなく、給付金の対象になるかどうかもあわせて確認しておきたいところです。
■まとめ
- 復帰月の給与は、日割り計算方法と時短勤務による減額ルールを賃金規程で確認する
- 社会保険料の免除終了時期と控除タイミングを正確に把握する
- 月額変更届や養育期間特例、育児時短就業給付金の案内も併せて行う
※参考
「育児休業給付等について」(厚生労働省リンク)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html

