暑い季節になると、建設業、製造業、運送業、介護・福祉、清掃、厨房業務など、さまざまな職場で熱中症のリスクが高まります。厚生労働省の「職場における熱中症予防情報」では、中小企業の事業主、安全衛生管理担当者、現場作業者向けに「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」などの資料が公開されています。現場掲示や朝礼、従業員教育に使いやすい内容です。(熱中症予防情報)
■「いつもと違う」に早く気づくことが大切
熱中症は、急に重症化することがあります。ふらつき、吐き気、頭痛、異常な汗、ぼんやりしている、呼びかけへの反応が弱いなど、少しでも「いつもと違う」と感じたら、早めに作業を止めることが大切です。
特に、本人が「大丈夫です」と言っていても、周囲から見て様子がおかしい場合は注意が必要です。熱中症対策では、本人任せにせず、上司や同僚が気づき、声をかけ、必要に応じて休ませる体制が欠かせません。
■予防は「前日・作業前・作業中」の確認から
熱中症予防では、当日の水分補給だけでなく、前日からの体調管理も重要です。睡眠不足、朝食抜き、二日酔い、体調不良は熱中症のリスクを高めます。
作業前には、睡眠、食事、体調、飲酒の影響などを確認し、作業中は、こまめな休憩、水分・塩分補給、単独作業を避けることが求められます。また、尿の色や爪押しによるセルフチェックなど、従業員自身が体調変化に気づきやすくする資料も公開されています。(熱中症予防情報)
■令和7年6月からは、事業者の対応がより明確に
令和7年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行され、一定の暑熱環境で作業を行う場合、事業者には熱中症の重篤化を防ぐための対応が義務づけられています。具体的には、①報告体制の整備、②重篤化を防ぐ手順の作成、③関係作業者への周知の3つです。
対象となるのは、WBGT28度以上または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間を超えて実施が見込まれる作業です。屋外作業だけでなく、風通しの悪い屋内作業、厨房、倉庫、工場内作業なども確認が必要です。
■まずは職場でできることから
熱中症対策は、単に「水分を取りましょう」と呼びかけるだけでは十分ではありません。誰に報告するのか、体調不良者が出た場合に誰が判断するのか、救急搬送が必要なときにどう動くのかを、あらかじめ決めておく必要があります。
まずは、厚生労働省の資料を活用し、現場への掲示、携帯カードの配布、朝礼での注意喚起、管理者への手順説明から始めてみてください。暑くなってから慌てるのではなく、今のうちに「わが社の熱中症対応ルール」を整えておくことが、従業員の命と会社を守ることにつながります。
