Q.労働基準監督署から「一般労働条件等にかかる調査」の通知が届きました。どのように対応すればよいですか?
A.まずは通知文書の内容を確認し、記載されている日時・場所・対象期間・持参書類を整理してください。
多くの場合は、毎年度の監督計画に基づいて実施される定期的な調査(定期監督)ですので、特別な事情がない限り、何らかの違反を前提として実施されるものではありません。
通知に従い、必要な書類を落ち着いて準備し、当日は事実に基づいて誠実に対応することが重要です。
■ 調査の種類と今回の位置づけ
労働基準監督署による調査(臨検監督)には、主に次の種類があります。
- 定期監督(定期調査): 毎年度、労働局・労基署の監督計画に基づいて実施されるもの
- 申告監督: 労働者等からの申告(未払賃金、解雇、長時間労働等)を契機として行われるもの
- 災害時監督: 一定規模以上の労働災害が発生した場合に、原因究明や再発防止の観点から行われるもの
- 再監督: 是正勧告や指導後も報告がない、又は改善が不十分な場合に、改善状況の確認のために行われるもの
通知文書に「一般労働条件等にかかる調査」等と記載されている場合、実務的には、年間の監督計画に基づく定期監督であることが多いと考えられます。
この場合、労働時間・割増賃金・最低賃金の遵守、各種帳簿書類の整備状況、安全衛生(健康診断など)を含め、労働関係法令全般について広く確認が行われます。
もっとも、通知文書の記載のみから調査種別を断定できないこともありますので、必要に応じて、通知に記載されている担当監督官へ確認することも考えられます。
■ 事前に準備すべき書類
通知文書に記載されている「対象期間」および「持参書類」のとおりに準備することが基本です。
一般的に求められる主な書類は次のとおりです。
- 出勤簿またはタイムカード、残業申請書等の労働時間の記録
- 賃金台帳
- 労働者名簿
- 雇用契約書または労働条件通知書
- 36協定届(時間外・休日労働に関する協定届)
- 変形労働時間制に関する協定届
- 賃金控除に関する協定
- 就業規則、賃金規程、諸規程
- 年次有給休暇管理簿
- 健康診断関係書類(実施記録、結果の一覧等)
これらの書類は、労働基準監督署の調査の有無にかかわらず、法令に基づき常時整備・保存しておく必要があるものです。
今回の調査を契機として、記載内容や保存状況、法定項目の網羅性などをあらためて点検しておくことが望ましいといえます。
■ 当日の対応と注意点
調査当日は、以下のような流れで進むのが一般的です。
- 監督官による調査目的・調査範囲等の説明
- 事前に依頼のあった帳簿書類の確認(必要に応じて追加資料の求め)
- 人事労務担当者や経営者へのヒアリング
- 必要に応じて従業員への個別ヒアリング
- 法令違反が認められた場合の指摘および今後の対応方法の説明 等
所要時間は、事業場の規模や指摘事項の有無にもよりますが、定期調査であれば概ね1時間程度を目安と考えておくとよいでしょう。
対応にあたっては、次の点が特に重要です。
- 事実に基づき、分かることは正確に回答し、不明な点はその場で無理に断定せず、後日の資料提出等とすること
- 帳簿書類の偽造や改ざん、実態と異なる説明は行わないこと
- 従業員に対し、特定の回答をするよう誘導したり、「こう答えるように」と指示しないこと
監督官の尋問に対して虚偽の陳述をした場合や、帳簿書類を偽造・改ざんした場合には、30万円以下の罰金を含む罰則の対象となり得ます。
また、悪質と判断された場合には、司法警察権限に基づく捜査・送検に至る可能性もあります。
日程の都合がつかない場合や、書類準備が物理的に間に合わない場合には、通知文書に記載されている担当監督官へできるだけ早めに連絡し、日程変更や対応方法について相談することが可能です。
調査の結果、法令違反が認められた場合には、「指導票」または「是正勧告書」が交付されますので、記載内容を確認し、指定された期限までに改善措置を講じたうえで、改善報告書を提出することになります。
改善が期限までに完了しない見込みとなった場合には、その時点で状況と理由、今後の対応計画を整理し、労働基準監督署に早めに相談することが望ましいとされています。
■ まとめ
- 「一般労働条件等にかかる調査」は、年間計画に基づく定期的な調査として実施されることが多く、直ちに法令違反を疑われていると考える必要はない。
- 通知文書に記載された対象期間・持参書類を確認し、出勤簿・賃金台帳・36協定届・就業規則・年休管理簿・健康診断関係書類などを漏れなく準備することが重要。
- 調査当日は、事実に基づき誠実に対応し、書類の偽造や虚偽説明、従業員への回答誘導は行わないようにすること。
- 指導票・是正勧告書が交付された場合には、内容を踏まえて必要な改善を行い、指定された期限内(間に合わない場合は事前に相談)に改善報告書を提出する必要がある。
