第3章 求人の出し方・選び方

「人を雇おう」と決めたあなたが、次にやるべきこと。
それは、「どこで、どんなふうに求人を出すか」を考えることです。

でも、いざ求人を出そうとすると、こんな疑問が出てくるのではないでしょうか?

  • どこに(どうやって)出せばいいの?
  • 求人案内には何を書けばいいの?
  • 応募が来る求人案内の書き方とは?

この章では、求人の出し方と選び方について、実践的に解説していきます。

1 どこで求人を出す?

求人を出す場所(媒体)には、いくつかの選択肢があります。

  • ハローワーク(無料)
  • 求人サイト(有料・無料)
  • SNS(ブログ、Instagram、Twitter、Facebookなど)
  • 自社のホームページ(採用ホームページ)
  • 知人からの紹介(社内紹介制度)
  • 看板、店舗張り紙

それぞれに特徴があります。

たとえば、ハローワークは無料で出せるうえ、雇用関係助成金の要件にもなっていることがメリットです。
一方、求人サイトは掲載料がかかるものの、広く募集できるのが強みです。

SNSは、あなたの人柄や会社の雰囲気を伝えやすいので、最近では「共感採用」に向いている手段として注目されています。

どこに求人を出したらよいかと迷った場合は、まずはお金がかからない媒体から始めましょう。
ハローワーク、SNSは、無料でかつ、すぐに求人を出せるため必須です。

「最初の一人」の採用時は、まだまだあなたの事業(会社)自体の知名度が低い状態である可能性が高いため、とにかく複数の媒体を使い、どんどんアピールすることがポイントです。

今まで、私がクライアントに提案した求人方法で効果があったものをご紹介しましょう。

一つは店舗の外に求人募集の看板を設置したり、入り口に求人の張り紙を出すことです。

あなたの事業を知っている人が来る可能性が高いため、仕事への理解や事業に対する価値観の共有が速やかに図れることが期待できそうです。

次にブログです。
ブログは、求人内容をメインにするのではなく、あなたの事業の普段の様子を伝えることで親和性を高めるようにします。
ブログ×ハローワーク求人票の掛け合わせは、意外と効果がありますので、ぜひ試してみてください。

《ワンポイント》

求人は無料の媒体から始めて、考え得る媒体はすべて使う

2 求人案内に書くべきこと

求人案内には、最低限、以下の情報が必要です。

    • 仕事内容(できるだけ具体的に)
    • 勤務地(異動の可能性の有無)
    • 勤務時間・休日(シフト制の有無)
    • 給与・待遇(時給・日給・月給制など)
    • 雇用形態(常勤、パート、契約期間の定めの有無)
    • 応募方法・連絡先

    ※ハローワークの求人票の場合、さらに細かい記載が必要になりますので、一度は採用に強い社会保険労務士等の専門家に相談したほうがよいでしょう。

    でも、ただ情報を並べるだけでは、応募は来ません。
    大切なのは、「なぜこの仕事が必要なのか」「どんな人に来てほしいのか」を、あなたの言葉で伝えることです。

    たとえば…

    「事務スタッフ募集」

    ではなく、

    「お客様とのやりとりをスムーズにするための、縁の下の力持ちを探しています」

    と書くだけで、印象は大きく変わります。

    求人案内には、当たり前なのですが、ついしてほしい仕事内容や労働条件を中心に書いてしまいがちです。
    ですが、あなたが事業を通じ、どのような「成果」を顧客にもたらしたいのか、から始めたほうが実は求職者の心に響くことを忘れないでください。

    《ワンポイント》

    「誰に向けて書いているか?」を意識すると、表現が変わる

    3 魅力が伝わる書き方

    求人案内は、求職者に宛てた“ラブレター”のようなものです。

    だからこそ、以下のようなポイントを意識してみてください。

      まずは、どんな人に応募してもらいたいかを想定しましょう。
      「こんな人本当にいるのかな」と思ったとしても、対象者が明確であったほうが“ラブレター”は書きやすいと思います。

      • 職場の雰囲気や価値観を伝える
      • どんな人が働いているかを紹介する
      • 誰が、どのように仕事を教えてくれるかを伝える
      • 可能な限りスタッフの写真やSNSのリンクを載せる
      • 「この仕事のやりがい」を言葉にする

      たとえば、

      「未経験OK」

      と書くよりも、

      「未経験からスタートしても、段階的に仕事を覚えていただくため安心です」

      といった具体例を出すと、ぐっと伝わりやすくなります。

      このように求職者が知りたいと思う内容を優先的に伝えることが、まず第一です。
      いわゆる「求職者目線」で考え、求人案内を通じて言語化していきましょう。

      上記にプラスして、キャッチフレーズも工夫することです。

      いくら誠実な求人案内であっても読んでもらえないといけません。
      そのため、できればワクワクさせるような魅力的なワードを意識して加えてください。

      《ワンポイント》

      「求職者目線」で言語化する

      4 応募が来ないときの見直し方

      せっかく求人を出しても、応募が来ないこともあります。
      そんなときは、以下の点を見直してみましょう。

      • 求人案内のタイトル(職種)や冒頭文(90文字)が魅力的か?
      • 採用条件が厳しすぎないか?
      • 職場の雰囲気が伝わっているか?
      • 出している媒体が、ターゲットに合っているか?

      また、応募が来ないのは「タイミング」の問題もあります。

      私の感覚ですが、5・6月は求職者が動く時期です。
      とくにパート・アルバイトの採用のタイミングは、ゴールデンウィーク明けがよいでしょう。

      正社員等の中途採用は、7月・12月などの賞与支給後が転職するタイミングと捉えられています。
      ただ、転職後に給与が下がってまで転職することはありませんので、やはり今後は給与額は同業他社・地域相場より高めに設定することが必要になってくるでしょう。

      とにかく焦らず、定期的に求人案内を見直しながら、改善していくことが大切です。

      《ワンポイント》

      「応募が来ない=失敗」ではない。改善のチャンスと捉えよう
       
      ✅ この章のポイント

      • 求人は無料の媒体から始めて、考え得る媒体はすべて使う
      • 「誰に向けて書いているか?」を意識すると、表現が変わる
      • 「求職者目線」で言語化する
      • 「応募が来ない=失敗」ではない。改善のチャンスと捉えよう

      《まとめ》

      求人は、ただ出せば人が来るわけではありません。
      あなたの言葉で伝えることが大切です。

      次の章では、いよいよ「面接と選考」について見ていきます。
      せっかく応募してくれた人と、どう向き合えばいいのか、を一緒に考えていきましょう。