Q.従業員から「家族の介護のために休みたい」と相談がありました。介護休業は、どのような場合に取得できるのでしょうか?
A.介護休業は、「誰が」「どの家族のために」「どんな状態のときに」取得できるかという3つのポイントを整理すると理解しやすくなります。以下で順にご説明します。

■ 取得できる従業員の範囲

介護休業を取得できるのは、要介護状態にある対象家族を介護する労働者です。
日々雇用される者(日雇労働者)を除き、無期・有期・パートを問わず、雇用形態にかかわらず対象となります。

ただし、労使協定を締結している場合には、次の従業員を介護休業の対象から除外することができます

  • 同一の事業主に継続して雇用された期間が1年未満の従業員
  • 申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

この範囲を超えて(例:男性従業員のみ一律に除外する等)、対象から除外することはできません。

有期雇用の従業員については、申出時点において、「介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までの間に、労働契約(更新後の契約を含む)が満了し、更新されないことが明らかでないこと」が必要条件となります。

もっとも、会社の裁量で、上記の要件に該当しない場合であっても、対象とすることは構いません。

■ 対象となる家族の範囲

介護休業の対象となる「家族」は、法律上、次の範囲とされています。

  • 配偶者(婚姻届をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)
  • 父母(養父母を含む)
  • 子(養子を含む)
  • 祖父母、兄弟姉妹、孫
  • 配偶者の父母(事実婚の配偶者の父母を含む)

もっとも、会社の裁量で、上記の範囲に該当しない家族であっても、対象とすることは構いません。

同居や扶養の有無は問いませんので、別居している親や祖父母、配偶者の父母なども、上記の範囲に該当すれば介護休業の対象家族となります。
事実婚の場合には、社会通念上、婚姻関係と同様といえる実態があるかどうかを確認しておくことが望ましいとされています。

■ 「要介護状態」の考え方

介護休業が認められるのは、対象家族が「要介護状態」にある場合です。
「要介護状態」とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。

ここでいう「常時介護を必要とする状態」とは、厚生労働省の判断基準に基づき、概ね次のいずれかに該当する場合を指します。

  • 介護保険制度における要介護状態区分が「要介護2以上」である場合
  • 介護の状態に関する12項目のうち、レベル2が2つ以上、又はレベル3が1つ以上該当し、その状態が継続すると認められる場合

介護保険で「要介護2以上」であれば、原則として育児・介護休業法上の要介護状態に該当すると考えられますが、介護保険の要介護認定を受けていない場合や、要支援・要介護1と認定されている場合でも、上記の判断基準に照らし「常時介護を必要とする状態」に該当すれば、介護休業の対象となり得ます。

なお、「2週間以上」とは、対象家族が介護を必要とする状態が少なくとも2週間以上続く見込みであることを意味しており、従業員が2週間以上連続して休業しなければならないという趣旨ではありません。

■ 実務上の確認・書類の取扱い

事業主は、申出があった際に、対象家族が要介護状態にあること等を確認するため、介護保険の要介護認定結果通知書や医師の診断書などの提出を求めることはできます。ただし、これらの証明書類の提出を介護休業利用の「絶対条件」とすることは適切ではないとされています。

■ 介護休業の利用日数・回数(参考)

対象家族1人につき、通算93日まで、3回を上限として分割して取得することができます。会社の就業規則等で、これを「1回限り」などと制限することはできません。

日数(93日)は暦日でカウントしますので、土日祝日などの公休日も含まれます。

【まとめ】

  • 介護休業は、要介護状態にある対象家族を介護するための制度であり、日々雇用を除くすべての従業員(無期・有期・短時間労働者を含む)が対象。有期雇用については契約満了時期に関する要件がある
  • 労使協定を締結している場合には、入社1年未満、週所定労働日数が2日以下、申出から93日以内に雇用が終了することが明らかな従業員など、法律で認められた範囲に限って適用除外とすることができる
  • 対象家族の範囲は広く、配偶者(事実婚含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母が含まれ、同居・扶養は要件ではない
  • 要介護認定の有無自体は取得要件ではなく、介護保険で要介護2以上であれば原則対象となり、認定を受けていない場合でも厚生労働省の判断基準に照らして「常時介護を必要とする状態」と判断されれば対象となる
  • 証明書類の提出を利用の絶対条件とすることは適切ではないとされている