給与計算

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●通勤手当の決め方

通勤手当を支給する場合、額をいくらにするのかは会社の自由です。
また、法律上、支給してもしなくてもよいことになっていますが、
現在、多くの会社で通勤手当が支給されています。
例えば、月額で〇円とする方法や1 日の単価を〇円とし、
単価×出勤日に応じて支給する方法があります。
また、通勤手当は、一定額まで非課税とされていますので、
給与計算する際には、所得税の対象としないよう注意しなければなりません。
昨年より「通勤手当のマイカー通勤者」に対する非課税の範囲が拡大されていますので、
詳細は国税庁のホームページ等でご確認ください。

●103万円は本当にお得か?

よくパートの収入は扶養範囲内103万円にしたほうがお得であると思われがちですが、
次のようなデータがあります。(出所:All About)
夫の年収500万円(子どもは中学生以下が2人)、
夫が支払っている税金32万円(所得税10万7,500円、住民税21万2,500円)とし、
妻の収入でどのように変わるかシュミレーションしたものです。
①妻の年収100万円の場合→世帯収入100万円増
②妻の年収120万円の場合→世帯収入114万3千円増(税負担5万7千円増)
 この結果をみると、1円でも税金を支払いたくないというなら別ですが、
そんなに税負担は多くないことがわかります。
ちなみに130~150万円付近は最も世帯収入が少なくなり、
160万円以上から世帯収入が増えます。

●厚生年金保険料率の改定と定時決定

9月は厚生年金保険料率の改定と、7月に提出された算定基礎届に基づき、
新たな標準報酬月額を定時決定する時期です。

まず、保険料率ですが、9月分(10月保険料納付分)から厚生年金保険料が変更になり、
0.354%引き上げになります。
そして、定時決定結果の反映ですが、新しい標準報酬月額に基づいた保険料も、
9月分(10月保険料納付分)からになります。

従業員さんの給与から、新しい社会保険料額で控除するタイミング(翌月控除か当月控除か?)は、
会社の取り扱いにより異なりますので、ご確認ください。
給与からの控除間違いのないよう注意してください。

●賞与の支払いと各種控除額の計算方法

賞与における控除項目と計算方法は、毎月の給与とは異なります。
(1)健康保険・介護保険・厚生年金保険料
 標準賞与額(千円未満の端数切捨て)×保険料率
(2)雇用保険料
 賞与(総支給)額×保険料率
(3)所得税
 賞与用の税率表を用いて税額を算出する(例外あり)
(4)住民税
 控除しない
(5)協定控除
 労使協定に基づいて、控除する
 また、健康保険、厚生年金保険の被保険者は、賞与の支払い日から5日以内に賞与支払届を作成し、
提出するようになりますので、忘れないようにしましょう。

●社会保険料適正化(節減)5つの方法

社会保険料を適正化(節減)する方法は限定されているといってよいでしょう。
①4、5、6月の残業を減らす
・保険料は4~6月に支給した給与で決定されます
②昇給月を7月にする
・上記から4~6月の期間を外して昇給します
③標準報酬月額保険料表の幅におさめる
・保険料は等級により給与月額に幅があります
④賞与を給与に加算する
・厚生年金保険料は62万円が上限です。
 つまり、この額以上であれば保険料は変わらないということです。
⑤賞与を年1回の支給にする
・賞与にも上限額があります。これを利用します
 なお、④⑤は役員等限られた社員にしか適用しにくいため、
 一般社員には①~③がやりやすいでしょう。

●労働保険料の正しい計算方法

毎年6~7月は、労務関係の2大申告(届出)業務「労働保険料の年度更新」と
社会保険(健康保険・厚生年金)料の見直しを行う「算定基礎届」があります。
労働保険料の年度更新は、毎年4月1日~3月31日までを単位とし、
保険料は今年の分を前払いし、昨年前払いした分を精算する手続きを一度に行います。
労働保険料を正しく計算するうえで大事なことは、
雇用保険と労災保険の対象者となる人を把握することです。
とくに雇用保険では、保険年度の初日(4月1日)に64歳以上である一般被保険者は、
保険料が会社、本人ともに免除されるため区分しておきます。
また、取締役部長など取締役でありながら労働者身分を残している人(兼務役員といいます)は、
労働者として支払われている給与のみが対象となります。

● 社会保険料を適法に抑える方法

社会保険料の額は、毎年4・5・6月の間に支払った総支給額の平均額により決定されるため、
この時期の給与額はとても重要になります。
よく間違えられるのが4・5・6月「分」と思われている方が多いということ。
例えば、末締めで、翌月支払いの場合、4月分は5月中に支払います。
社会保険料の額を決定する際に算定する月は、
4・5・6月の間に支払った給与の総支給額になります。
末締め翌月支払いの場合、計算対象月でいうと
前月の3・4・5月分になりますので、注意しましょう。
また、4・5・6月の給与額で、今年9月以降の一年間の保険料が決定するため、
この時期の給与額を一定額に抑える(残業や休日出勤をしない、昇給時期をずらす等)ことで、
社会保険料の抑制につながります。

● 社会保険料の控除のタイミング

質問:「新入社員の社会保険料を引かなければいけませんが、
   最初の給与から引いてもよいのでしょうか? 
   ちなみに当社は、20日締めの末日支払いです」

回答:社会保険料には4種類あります。
   即ち、雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険。
   このうち労災保険は全額会社負担なので給与から引くことはありません。
   また、雇用保険については、取得した日に対する給与から引くようになります。
   さて、問題は健康保険、厚生年金保険ですが、
   締日と入社日により差し引くタイミングが変わってきます。
   例えば、末日締めの翌月10日支払いですと、入社日にかかわらず、最初の給与から引きますが、
   20日締めの末日払いの場合、1日入社の場合は、次月の給与より引き、
   21~末日入社の場合は、最初の給与から健康保険、厚生年金保険を引くのが原則になります。

●日割り計算の方法

質問:「月給制で、計算期間の途中で入社もしくは退社した場合の
   計算方法について教えてください。」

回答:はい。月給制の場合、途中入社・退社があった場合、
   通常、日割り計算することになりますが、
   この日割り計算の方法について、法的に明確なルールはありません。
   就業規則に計算方法があれば、それ従うことになります。
   ただし、分母は、次の3つの方法のいずれかになります。 
   1ヵ月の所定内賃金  
   ―――――――――――――――  = 日割り額
   1ヵ月の所定労働日数
   (or 1年の平均所定労働日数 or 1ヵ月の歴日数)
   日割り計算の注意点としては、日割り額を控除する場合、
   労働者に不利とならないようにします。
   (具体的には端数を切り捨てます)

●年俸制は残業代が不要?

「うちは年俸制で給与を決めているから、残業代はいらんよ」
ということを、たまにお聞きします。
年俸制は、1年間の所定労働時間に対して、給与を決めるもので、
1ヵ月の所定労働時間に対して、給与を決める月給制と制度として大きな違いはありません。
対象となる期間が1年か1ヵ月かという違いだけですので、
年俸制であっても時間外労働があれば、残業代は必要となります。
また、年俸額を月給12ヵ月分、賞与年4ヵ月分の計16に分割して支給する場合でも、
残業代を算出する際の基礎賃金は、
年棒額を12ヵ月で割った額を1ヵ月の所定内賃金相当額として計算します。
原則として、年俸制は年間で成果を出す管理者向けであり、
新入社員や一般職には向かない方法です。
導入にあたっては、残業代のことも考慮しましょう。

●給与から控除できるもの、できないもの

賃金支払いの5原則から、給与を支払うときは、その全額を直接、
本人に支払わなければならないとされています。
ただし、法令に定めがある税金や社会保険料は、給与から控除(差し引くこと)できます。
その他、昼食代、旅行の積立金等は、労使協定を結ぶことで控除することができます。
ところで、資格取得費用を会社が負担し、
資格を取得した直後に自己都合退職を申し出た社員の給与から、
資格取得にかかった費用を控除することはできるのでしょうか?

結論からいいますと、労基法第16条「賠償額予定の禁止」に触れるため、無理でしょう。
ただし、賃金から直接控除するかどうかは別にして、個別にその社員と契約をしている、
その研修が業務に直接、役に立つものではない等、一定の要件を満たすことで、
例外的に認められる場合もあります。

●賞与の決め方

賞与の決め方にはいくとおりかの方法があります。
一般的に多いのが基本給の○ヵ月分という決め方。
この決め方は、社員さんにも支給額が予測できるため、
生活設計が立てやすくなります。
最近、お客様からの要望で、ご提案しているのが、ポイント制です。
ポイント制とは、まず人事評価をして、各社員の獲得ポイントを決めます。
そのポイントを合計して、賞与の原資を合計ポイントで割ると、1ポイントあたりの単価が出ます。
その単価に自分の獲得ポイントをかけるというやり方です。
ただし、この方法は、今まで基本給×○ヵ月分という決め方をしていた会社がいきなり導入すると、
生活設計を立てにくくなり、不満の種となることがあります。
そこで、例えば基本給の2ヶ月分を今まで賞与として支給していたのであれば、
1ヵ月分は固定給のように支給し、もう1ヵ月分をポイント制にするやり方もあります。

●賃金の決め方

賃金をどのように決めたらよいか、お悩みのご相談を受けることがあります。
そこで、簡単に賃金を決める方法をご紹介したいと思います。
まず、現在のその人の総支給額を書き出します。
その総支給額が地域や業界の世間相場に比べ、多いのか少ないのかを確認します。
比べるデータは、政府が公表している「賃金構造基本統計調査」を利用します。
業種別、規模別、地域別などに分類されており結構、役に立ちます。
他にハローワークの求人情報や地元商工会議所の調査結果なども参考になります。
労働市場が売手(仕事を探している人)市場になり、
中小企業の人材確保はますます困難になってきた感があります。
まずは、世間相場を意識しましょう。

●通勤手当の決め方

通勤手当は、法律上、支給しても、しなくてもよいことになっていますが、
現在、多くの会社で通勤手当が支給されています。
支給する場合、額をいくらにするのかは会社の自由です。
例えば、月額〇〇円とする、1日の単価を〇円とし、
単価×出勤日に応じて支給するなど。
また、通勤手当は、一定額まで非課税とされていますので、
給与計算する際には、所得税の対象としないよう注意しなければなりません。
ところで、「通勤手当のマイカー通勤者」に対する非課税の範囲が
先月10月20日から拡大されることが官報に公告されました。
具体的には、片道通勤距離の限度額が引き上げられました。
また45km~55kmと55km以上の区分が新たに追加されました。
(※詳細は国税庁のHPをご覧ください。)

定時決定を受けて、社会保険料を改定する月になりました。
(9月分の保険料を10月中に支払う給与より控除している場合)

事業主は、厚生労働大臣(日本年金機構)から次の決定等の通知があった場合は、
その内容を速やかに被保険者又は被保険者であった者に通知しなければなりません。
(1)被保険者の資格取得又は喪失
(2)標準報酬月額の決定又は改定
(3)標準賞与額の決定
(4)適用事業所以外の事業所が認可を受けて適用事業所となったこと
(5)上記(4)の適用事業所が認可を受けて適用事業所以外の事業所となったこと
(6)適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者が認可を受けて厚生年金保険の被保険者となったこと
(7)上記(6)の被保険者が認可を受けて被保険者の資格を喪失したこと。

この通知義務に対して正当な理由なく通知しなかった場合には、の罰金が科されます。
ご注意ください。

通知の内容、書式の見本など詳しくはこちらをご覧ください↓
http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=1990df

●最低賃金を確認しましょう

パート等雇用形態に関わらず、日本国内で働く全ての人に最低賃金が適用されます。
最低賃金には「産業別」と「地域別」があり、
①まず各都道府県の産業別の金額を優先して適用し、
②どの産業区分にも該当しない場合、地域別の金額を適用します。

【最低賃金の計算方法】
・時間給の場合 時間給≧最低賃金額(時間額)
・月給の場合 1ヵ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
なお、次の給与は最低賃金に算入しないことになっています。
①精皆勤手当、通勤手当、家族手当、②臨時に支払われる給与、
③賞与など1ヵ月を超える期間ごとに支払われるもの、
④時間外、休日労働、深夜労働に対して支払われるもの。
※最低賃金が変更されます。岡山県…719円(10月5日~)、広島県…750円(10月1日~)

●労働時間と割増賃金の端数処理

時間外労働や休日労働の時間数には、1時間未満の端数が生じることがあります。
1ヵ月単位で端数処理するときは、
「30分未満を切り捨て、30分以上1時間未満は1時間に切り上げる」とすることはできます。
1日の時間外労働や休日労働時間数について、
「30分以上1時間未満を1時間に切り上げる」と定めることはできますが、
「30分未満を切り捨てる」と定めることはできません。
また、割増賃金の計算においても、1円未満の端数が生じることがあります。
この場合も「50銭未満を切り捨て、50銭以上1円未満を1円に切り上げる」とすることはできます。
その他、労働者に有利となる方法であれば、何も問題ありません。

●標準報酬月額の決定方法

月額算定基礎届の提出時期となりました。
さて、健康保険・厚生年金の標準報酬月額を決定する方法には、5通りあります。
①資格取得時決定
 初めて被保険者となる時に決定する方法です。
②定時決定
 月額算定基礎届を提出して、標準報酬月額を見直し、再決定することです。
③ 随時改定
 昇給、降給などで固定給に変動が生じ、標準報酬月額に2等級以上差がついたときに行います。
④ 育児休業終了時の決定
 育児休業終了後に行うものです。
⑤ 保険者算定
 上記①~④の方法により算定することが困難な場合等に保険者が行います。

●労働保険料の正しい計算方法

毎年6~7月は、労務関係の2大申告(届出)業務「労働保険料の年度更新」と
社会保険(健康保険・厚生年金)料の見直しを行う「算定基礎届」があります。
労働保険料の年度更新は、毎年4月1日~3月31日までを単位とし、
保険料は今年の分を前払いし、昨年前払いした分を精算する手続きを一度に行います。
労働保険料を正しく計算するうえで大事なことは、雇用保険、労災保険の対象者となる人を把握すること。
とくに、雇用保険では、保険年度の初日(4月1日)に64歳以上である一般被保険者は、
保険料が免除されるため区分しおきます。
(今、誰が被保険者なのか不明の場合、安定所へ行くと台帳で確認できます。)
また、取締役部長など取締役でありながら労働者身分を残している人(兼務役員といいます)は、
労働者として支払われている給与のみが対象となります。

●社会保険料を抑える方法

毎年4・5・6月に支払った社会保険料の額により
9月から1年間の社会保険料が決まるため、
この時期、勤務時間数が多くなり、残業代などが増えると、
その分、社会保険料が増える可能性があります。
この時期の勤務時間を他の時期と同等に抑えることは、
社会保険料を適法に抑える手段の1つです。
また、社会保険料を決める元になる、“標準報酬月額”は、
総支給額のいくら(下限)からいくら(上限)までを
標準報酬月額〇〇円とするという決め方をしていますので、
なるべく上限の額の手前に収まるよう給与(総支給額)を決めることが、
上手な標準報酬月額の設定方法になります。
この方法は、日給や時間給制など給与が毎月、変動する方への適用は難しいので、
あらかじめ月の就労時間を決めておくとよいでしょう。