給与計算

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□ 給与の支払日や昇給月、賞与の支払月に変更はないか?
□ 7月1日現在の被保険者(6 月1 日以降に取得した人を除く)が
 全員分記載されているか?
□ 4月・5月・6月の各月に記載されている報酬は、
 各月に支払われた給与となっているか?
□ 日給者・時給者は支払いの対象となった実日数を記載しているか?(年休・休出注意)
□ 原則として支払基礎日数17 日以上の月の平均額を記載しているか?
□ パートの場合で4 月~6 月の全ての月の支払基礎日数が17 日未満の場合、
 15 日以上の月を対象としているか?
□ 4~6月の平均と前年7月~6月までの平均で2等級以上の差がある被保険者はいないか?
□ 月額変更予定者を確認したか?
□ 賞与支払届の提出漏れはないか?

【社労士せのサポのワンポイント!】
●算定基礎届とは?
7 月1 日現在で使用している全ての被保険者にその年の4~6 月に支払った賃金を届出し、
厚生労働大臣は、この届出内容に基づき、毎年1 回標準報酬月額を決定します。
このとき使用する用紙のことを「算定基礎届」といいます。
算定基礎届の提出の対象となるのは、7 月1 日現在の全ての被保険者です。
ただし、以下の(1)~(3)のいずれかに該当する人は算定基礎届の提出が不要です。
(1)6 月1 日以降に資格取得した方
(2)6 月30 日以前に退職した方
(3)7 月改定の月額変更届を提出する方
また、注意点として、算定基礎届を提出した後に、
8 月改定および9 月改定の月額変更に該当した人については、
月額変更が優先されますので、
別途「月額変更届」の提出が必要となります。
忘れないようにしましょう。

★年度更新とは
年度更新とは、年に1 回(6 月1 日~7 月10 日の間)、
昨年度の労働保険(労災・雇用保険)の保険料を確定(精算)し、
本年度の保険料を概算で申告する作業をいいます。

★年度更新チェックリスト
□ 労働保険の対象者の範囲は正しいか?
・原則、代表者(社長)、役員は労災・雇用保険ともに対象外
(ただし、兼務役員等の例外あり)
・事業主と同居している親族は対象外
(ただし、一般の労働者と同様の雇用管理をしている等の例外あり)
・出向労働者の労災保険は、出向元の賃金を含めて出向先で計算すること
□ 賃金とするもの、しないものを区分しているか?
(賃金としないものは、保険料の算定に含めない)
・労働基準法に基づき支払う休業手当は賃金とする
・解雇予告手当金は賃金としない
□ 労災保険と雇用保険の対象者を区分しているか?

【ワンポイント解説】
●高年齢者の雇用保険料の計算に注意
年度更新において注意するべき点として、
労災保険料と雇用保険料の計算のもととなる賃金総額が違うことがあげられます。
労災保険は、一部例外はありますが、アルバイトを含め賃金を支払った者全員の賃金総額が対
象となります。たまにアルバイトは労災保険をかけなくてよいと勘違いしている方もおられますので、
お気をつけください。
雇用保険は、雇用保険に加入している被保険者の賃金総額を対象とします。
したがって、雇用保険に加入していない方の賃金は計算しなくても構いません。
また、雇用保険に関しては、毎年4 月1 日時点で満64 歳以上である高年齢者の保険料は免除されていますので、
最終的に高年齢者分を引いてから雇用保険料を計算することになります。
平成28 年度は、昭和27 年4 月1 日までに生まれた人が高年齢免除の対象となります。

★給与計算における控除について
給与計算の原則は、支給すべきものを支給し、
控除すべきものを控除することです。
毎年4~5月は控除すべき保険料の変更時期にあたります。
正確に控除して、間違いのないようにしましょう。

★控除チェックリスト
□ 雇用保険料率の変更
4月分給与から変更。4月支給分の給与か、4月分給与(5月支給分)か、
会社により異なるので注意
□ 健康保険料率の変更
□ 介護保険料率の変更
3月分の保険料から変更。3月分の保険料を何月分の給与から控除しているかで
控除するタイミングが異なる。
□ 住民税の変更
6月分の住民税から変更。健康保険・介護保険と同じ。
変更するタイミングに注意すること。

【ワンポイント解説】
●控除の計算には順番がある
給与計算において、控除する対象として、雇用保険、健康保険、
厚生年金保険などの公的保険料(労災保険は全額会社が負担するため対象外)や
所得税、住民税などの税金、食事代、積立金、団体保険料など事業所により異なる協定控除
(協定を結ぶことで控除することができる)があります。
これらを控除し、計算するときは順番に気をつけなければいけません。
控除する順は、①公的保険料→②税金→③協定控除になります。
②税金のうち、所得税は公的保険料を控除した後の額に課税されるため、
とくに注意が必要です。
③協定控除のうち、団体保険料(自動車保険等)は、
保険であっても民間の保険になりますので、いちばん最後に控除します。
公的な項目から先に引いて、私的な項目は後にすると覚えておけばわかりやすいでしょう。

★新入社時の給与について
Q:4月に新入社員を迎えます。給与計算をするうえで、
どのようなことに注意し、確認すればよいのでしょうか?
A:4月だけでなく中途入社もあるのであれば、チェックリストを作成して、
チェックすることで漏れやミスを防ぎ、確認もできます。

★入社時チェックリスト
□ (計算期間で途中入社の場合)
固定項目は日割りされているか?
□ (計算期間で途中入社の場合)
通期手当は日割りされているか?
□ 社会保険料は控除しない(当月支給の場合)
□ 社会保険料の控除開始(翌月支給の場合)
□ 雇用保険料の控除
□ 住民税の引き継ぎ(任意)

【ワンポイント解説】
●日割り計算の方法
計算期間の途中で入社があった場合の月給者の給与は、
通常、日割り計算をして支給します。
日割り計算の方法は、就業規則や賃金規程に定めがあれば、
定められた方法にしたがいます。
規則や規程に記載されていない場合は、一定のルールを決めて、
その後はどの社員にも同じ方法で計算します。
●日割り計算する際の豊後
日割り計算する際の分母(分子は基本給、諸手当になる)は、
通常、所定労働日数を使います。
所定労働日数には2種類あり、「計算対象月」の所定労働日数と
「年平均」の所定労働日数です。
どちらも一長一短あり、計算対象月の所定労働日数を分母にすると、
1日あたりの単価が変動してしまいます。
年平均の所定労働日数を分母にすると、1日あたりの単価は変動しませんが、
「加算する方法」と「控除する方法」とで、
月によって不具合が生じますので注意が必要です。

(Q&A)社会保険料の通知について
Q:年金事務所の調査で、社会保険料の変更通知を行っているか確認されました。
社会保険料の変更は社員に通知する必要があるのでしょうか?
A:はい。社会保険料が変更されたとき、会社はそのことを社員に通知する義務があります。
★社会保険料の変更に関する通知文の例
   社会保険料変更に関する通知
貴殿の標準報酬月額および社会保険料の個人負担額が、〇年〇月分(○月支給分)より、
下記のとおり変更となります。
   記
① 標準報酬月額
健康保険 ○千円 厚生年金保険 ○千円
② 個人負担分保険料
健康保険料 ○円 厚生年金保険料 ○円
③ 変更の事由 定時決定
               以上

【ワンポイント解説】
●3月は保険料率改定の時期
毎年3月(4月納付分保険料)は、健康保険と介護保険の保険料率が改定される時期です。
この時期、新しい保険料率が発表されていますので、
給与計算の際は変更のし忘れがないよう気をつけましょう。
●保険料の変更通知は会社の義務
また、年金事務所の調査がある場合、社会保険料の変更の通知を行っているかどうか、
必ず確認されます。
これは、健康保険法、厚生年金保険法に基づくもので、会社の義務だからです。
ただし、通知についての詳細な方法までは決まっていません。
「今月から変更しています」という通知だけでも違法ではないようです。
しかし、詳細な変更情報を通知するほうが、社員にとっても親切で、
安心を与えることにつながりますので、
右の通知文を参考に文書で通知を行ってください。

【平均賃金について】
Q:平均賃金は、どのように計算するのでしょうか?
A:労働基準法等で「平均賃金」とは、給与の世間相場ではなく、
法律に定められたルールにもとづき計算します。
【平均賃金計算のルール】
①事由の発生した日以前3ヵ月間に、
②その人に支払われた賃金の総額を、
③その期間の総日数
(歴日数)で除した金額(労働基準法12 条)
なお、
①「事由の発生した日」とは、労災事故が起きた日や解雇の通告をした日など
②賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日からさかのぼって3 ヵ月間
③日給制、時給制等の人には最低補償額があり、総日数ではなく、
実労働日数で除した額に100分の60 を掛けて計算します

【ワンポイント解説】
平均賃金は、労務管理の様々な場面で使用します。
例えば、①解雇予告手当、②休業手当、③年次有給休暇で平均賃金を用いる場合、
④業務上負傷したときの災害補償、⑤減給の制裁を計算するときです。
通常は、算定事由の発生した日以前3 ヵ月間の平均から求めるようになりますが、
入社して間がなく、3 ヵ月の期間がない場合は、
雇入れ後の期間とその期間中の賃金で計算することになります。
また「通勤手当も平均賃金に含めるのか」ということについて、
賃金は労働の対価ですが、直接、労働したことに限定されず、
通勤手当のように実費に関わる費用であっても就業規則等で明確に
定められているとすれば、労働者に権利として補償されており、
使用者に支払い義務があるため、賃金であると考えられ、
平均賃金の算定基礎に含めなければなりません。

【みなし残業手当の欠勤控除について】
Q:現在、欠勤の際、基本給から欠勤控除を行っているので、みなし残業手当についても同じように控除の対象に含めたいのですがよいでしょうか?

A:みなし残業手当についても、欠勤控除の対象とすることは可能と考えますが、その場合は、就業規則に固定残業手当を欠勤控除の対象とすることや、控除する場合の計算方法を明確にしておくとよいでしょう。

【就業規則に定める場合の例】
第●条 (みなし残業手当の欠勤控除)
1 賃金計算期間中に欠勤があった場合のみなし残業手当は、出勤日数が所定労働日数の半分を下まわる場合は半額とする。
ただし、期間中の割増賃金が欠勤控除後の額を上回る場合は、その差額を支払う。

【ワンポイント解説】
みなし残業手当は、残業があってもなくても支給し、実際の時間外労働が例えば月30 時間を超えた場合には、
超えた時間分について、別途時間外労働手当を支払います。
ただし、欠勤控除された後のみなし残業手当は、月30 時間分の時間外労働手当とはならないことに注意が必要です。
ある対象月に、欠勤が何日かあり、実際の時間外労働が30 時間だったケースで考えると、まず、欠勤があったので、
就業規則の定めに基づき、みなし残業手当から欠勤控除を行います。
この対象月の実際の時間外労働が30 時間ちょうどであれば、本来は、みなし残業手当を支払うことで足りるわけですが、
欠勤控除を行ったことにより、控除後のみなし残業手当は時間外労働30 時間相当ではなくなっています。
控除後のみなし残業手当と、実際の時間外労働の額との差額に注意し、未払いが生じないようにしましょう。

【管理監督者に残業代はつかない?】

●管理監督者には残業代を支払わなくてよい?
労働基準法第41 条には「労働時間、休憩及び休日に関する規定は、
次の労働者については適用しない」とあり「管理監督者」の立場にある人がその対象となるとしています。
つまり、管理監督者に対しては、残業代を支払わなくてよいのです。

●法律上の管理監督者とは
管理監督者とはどういう人のことでしょうか。
それについては、行政通達が出されており、次の3つの要件を総合的に勘案します。
① 経営者と一体的な立場であること
② 労働時間に関して自己の裁量があること
③ 職務の重要性にふさわしい待遇を受けている

●管理監督者は実態で判断する
肩書きが部長、工場長等であっても、管理監督であるかどうかの判断は、
実態に即して行います。安易に管理監督者とするのは、危険です。

【ワンポイント解説】
先日、インターネットニュースを見ていると、弁護士への相談に
「社員全員を管理監督者にすれば残業代を支払わなくてもよいのでは?」という質問が寄せられており、
目が点になりました。
法律上の管理監督者とは、名称だけでなく、実態をともなっていなければ管理監督者としてみなすことはできません。
少し前のマクドナルドの「名ばかり店長」が参考になる例です。
どのような要件をみたしていれば、法律上の管理監督者とみなすことができるのか、
具体的な基準はありませんが、マクドナルド等の判例や厚労省から通達が出ていますので、
現在はそれらを参考に検討することが無難です。
ちなみに、管理監督者であっても、午後10 時以降の深夜労働に対する割増賃金は
支払い義務があります。
また、年次有給休暇も取得できます。

【固定(定額)残業代とは?】

●固定だから残業代を支払わなくてよい?
固定(定額)残業代制とは、実際の労働時間の有無にかかわらず、
一定時間分の時間外労働に対する割増賃金を定額で支給する制度です。
ただし、この制度を採用していたとしても、
固定(定額)残業代分の時間外労働として設定された時間を超える時間外労働については、
使用者は別途残業代を支払わなければなりません。
逆に、固定(定額)残業代分の時間外労働まで満たなかったとしても、
原則、差額分の返金を求めることはできません。

●固定(定額)残業代を上手に運用する方法
① 基本給と固定(定額)残業代等を区分する
② 就業規則、賃金規程等に記載する
③ 労働条件通知書で固定(定額)残業代に相当する残業時間を明示する
④ 残業時間の管理を怠らない

【ワンポイント解説】
固定(定額)残業代に対する誤解やわかりにくさはあるかもしれませんが、
面接時や採用時に労働条件通知書や就業規則等で誠実に労働者に伝える意思があれば、
ほとんどの労働者に理解してもらえるのではと考えます。
固定(定額)残業代については、
近年、その制度を揺るがすとても重要な判例があります。
その判例によると、固定(定額)残業代を支払っていたとしても、
設定した時間を超える残業代は支払わなければなりませんが、
仮に支払いをしていなかった場合、その差額を支払えば足りるのではなく、
その固定(定額)残業代として設定していた手当そのもの(全額)が残業代として認められず、
差額どころか、すべての残業代が未払いとなるものです。
そのように捉えらないために、手当の名称を「残業見込み手当」等わかりやすくする、
残業時間管理を本人まかせにしない等、運用面にも目を向けましょう。

●100万円と120万円でシュミレーション
前提:夫の年収500万円
(子どもは中学生以下が2人)
夫が支払っている税金32万円
(所得税10万7,500円、住民税21万2,500円)

試算:妻の収入でどのように変わるか
①妻年収100万円の場合→世帯収入100万円増
②妻年収120万円の場合→世帯収入114万3千円増(税負担5万7千円増)
(出所:All About)

【ワンポイント解説】
よくパートの収入は税法上の扶養範囲内(103万円)にしたほうが
「お得である」と思われがちですが、
税金を支払いたくない、配偶者の会社から扶養手当が支給され、
その要件が103万円である等という事情があるなら別ですが、
所得税を支払っても、世帯の収入は間違いなく増えるため、
理由もなく103万円に固執することは「お得」ではありません。
ちなみに130~150万円付近は最も世帯収入が少なくなり、
160万円以上から世帯収入が増えます。
また、本年10月より社会保険の適用対象者が一部(大企業)の
パートにも拡大されます。
これにより税金を考慮することがなくなり、
パートであっても“103万円の壁”にとらわれず働く人が増えるでしょう。
大手トヨタ自動車では、配偶者手当を廃止し、
子ども手当を引き上げました。
バブル期以降、共働き世帯は急増しています。
今後も配偶者から子どもへと支給を変える企業が増えてくることでしょう。
また、配偶者控除の廃止等の議論もされています。
そうなると“103万円の壁”も崩壊するかもしれません。お

【社員旅行の積立金を給与から控除したい】
●まず賃金控除に関する労使協定を結ぶ
社員旅行の積立金を給与から控除するためには、
従業員の過半数を代表する者と、会社が労使協定を結ぶ必要があります。
所得税、社会保険料、住民税は法定控除といい、
労使協定を結ばなくても、給与から控除することができます。

●労使協定とは
本来であれば、労基法に抵触する措置を、法に基づき緩和するため、
従業員の過半数を代表する者と会社との書面による締結をいいます。

●従業員の過半数を代表する者とは
「従業員の過半数を代表する者」(過半数代表者)とは、
従業員を代表して会社(使用者)と交渉を行う者をいいます。
過半数代表者には、法律上の管理監督者は就任できません。

【ワンポイント解説】
税金や社会保険料については、法令に定めがあるため、労働者に承諾を得ず、
賃金から控除することができますが、社員旅行の積立金や生命保険料、共済会、
会社の貸付返済金などは、過半数労働組合または代表者との書面による
協定がなければ控除することはできません。
社員旅行の積立金について、以前、質問をお受けした中で、
旅行に参加できなかった社員から積立金の返金を求められたがどうすればよいかというもの。
事業主は、あくまで社員からお金を預かっているだけのため、返金に応じなければいけません。
また、事業主として、預かったお金をどのように保管しておくかという実務上の疑問がありますが、
個人名で開いた口座に預金してもよいですし、現金を金庫等で保管しても構いません。
いずれにせよ「預かったお金」であるという意識を持つことです。

【主な賞与額の決め方】
●基本給ベース
各人の基本給に支給月をかけて決定する方法。
多くの会社で使われている。支給月は全員同一であり、
基本給により差が生じるため、説明しやすい。

●ポイント制
人事評価、または目標管理をして、各社員の獲得ポイントを決める。
合計したポイントで賞与の原資(金額)を割り、1ポイントあたりの単価を算出。
その単価に個人の獲得ポイントをかける方法

●基本給ベース+ポイント制
前述の2つを組み合わせた方法。例えば、基本給の1ヵ月分は必ず支給し、
残り1ヵ月分をポイント制で支給

●基本給×係数制
基本給に役職や資格等級に応じて、係数をかけることで、配分比率を変える方法

【ワンポイント解説】
賞与の支給時期になると、鉛筆をなめなめされて
賞与の額を決定されている経営者の方が多いかと思います。
賞与の額は、最低賃金のように支給額に下限も上限もなく、非常に悩ましいところですね。
賞与の額を決める一般的に多い方法が、基本給の○ヵ月分という決め方です。
この決め方は、社員に説明がしやすい、
世間相場を意識し決定しやすいというメリットがあります。
その反面、社員一人ひとりの頑張りを反映しにくいというデメリットがあり、
最近、見直しを図りたいと考えている経営者が多いのが現実です。
でも、最終的には、社長さんの頭の中で計算される
「カンピューター」がいちばん公平公正なのではないかと思っています。

【割増賃金の基礎賃金の計算方法】

●月給制の場合
 所定内賃金を1ヵ月の所定労働時間で除した金額。
 ただし、毎月の所定労働時間が変動する場合は、
 1年間における平均所定労働時間で除した金額

●時給制の場合
 基礎賃金は時給そのままの金額

●日給制の場合
 日給を1日の所定労働時間で除した金額。
 ただし、日によって所定労働時間が変動する場合は、
 1週間における1日の平均所定労働時間で除した金額

※ちなみに、欠勤、遅刻早退に対し、
 就労していない時間分を給与より控除(引く)する制度を日給月給制という。

【ワンポイント解説】
・月給者の割増賃金の算出方法        1.25
(基本給+諸手当)-(除外可能な手当) × 1.35
1ヵ月における平均所定労働時間       0.25

・1.25→時間外労働、025→深夜労働、1.35→休日労働時間の場合の割増率

・1ヵ月平均所定労働時間とは…
365(366)日-年間所定休日×1日所定労働時間
       12(ヵ月)

・割増賃金から除外できる手当は7つあります。
①家族手当、
②通勤手当、
③別居手当、
④子女教育手当、
⑤住宅手当、
⑥臨時の手当、
⑦1ヵ月を超えるごとに支払われる賃金(賞与等)

・ただし、①②⑤は、家族の人数、通勤距離、
住居費の多寡に関係なく支給している場合は除外不可。

●なぜその手当を支給しているのですか?

給与の項目は、大きくわけて、基本給と手当の2つに分類されます。
手当には、残業や休日出勤をしたときに支給しなければならない時間外や休日手当と、
会社で任意に設定ができる役職手当、精皆勤手当などがあります。
ところで、なぜ、その手当を支給しているのか、
考えてみられたことがおありでしょうか?

「役職手当」を例にとると、役職手当は役職者に対し、
期待する役割を果たしてほしい、あるいは役職者は残業が多くなるため、
ある程度の残業代を含むという意味づけで支給されているかもしれません。
どのような理由にしろ、現在支給されている手当は、
手当のもつ目的・効果を果たしているでしょうか。
「手当は会社から社員へのメッセージが込められている」ととらえ、
定期的にチェックしてみられるとよいでしょう。

●納得が得やすい基本給の決め方

基本給と手当を支給している会社で、そ
れぞれの額はいくらにするのがよいのかという議論がなされることがありますが、
中小企業の場合、基本給を先に議論していくことは、
結論を導き出すのに判断が難しいのではと思います。
社長さんの頭の中に、この社員はこれぐらいの給与で、
という考えがおありのはずです。
その給与額は基本給でしょうか。
おそらく、総支給額であると思います。
そうであれば、まず個別に総支給額を決めて、
そこから全社員に共通する手当を引くと、残りが基本給になります。
やや乱暴かもしれませんが、中小企業の場合、基本給ではなく、
総支給額で考えていく方が、会社も決めやすいですし、
社員も納得が得やすいのではないでしょうか。

●賞与の決め方

賞与の決め方にはいくとおりかの方法があります。
一般的に多いのが基本給の○ヵ月分という決め方。
この決め方は、社員さんにも支給額が予測できるため、
生活設計が立てやすくなります。
その他に、ポイント制があります。ポイント制とは、
まず人事評価をして、各社員の獲得ポイントを決めます。
合計したポイントで賞与の原資(金額)を割ると、1ポイントあたりの単価が出ますので、
その単価に自分の獲得ポイントをかけるという方法。
ただし、この方法は、今まで基本給×○ヵ月分という決め方をしていた会社がいきなり導入すると、
生活設計を立てにくくなり、不満の種となることがあります。
そこで、例えば基本給の2ヶ月分を今まで賞与として支給していたのであれば、
1ヵ月分は固定給のように支給し、もう1ヵ月分をポイント制にするやり方もあります。

●通勤手当の決め方

通勤手当を支給する場合、額をいくらにするのかは会社の自由です。
また、法律上、支給してもしなくてもよいことになっていますが、
現在、多くの会社で通勤手当が支給されています。
例えば、月額で〇円とする方法や1 日の単価を〇円とし、
単価×出勤日に応じて支給する方法があります。
また、通勤手当は、一定額まで非課税とされていますので、
給与計算する際には、所得税の対象としないよう注意しなければなりません。
昨年より「通勤手当のマイカー通勤者」に対する非課税の範囲が拡大されていますので、
詳細は国税庁のホームページ等でご確認ください。

●103万円は本当にお得か?

よくパートの収入は扶養範囲内103万円にしたほうがお得であると思われがちですが、
次のようなデータがあります。(出所:All About)
夫の年収500万円(子どもは中学生以下が2人)、
夫が支払っている税金32万円(所得税10万7,500円、住民税21万2,500円)とし、
妻の収入でどのように変わるかシュミレーションしたものです。
①妻の年収100万円の場合→世帯収入100万円増
②妻の年収120万円の場合→世帯収入114万3千円増(税負担5万7千円増)
 この結果をみると、1円でも税金を支払いたくないというなら別ですが、
そんなに税負担は多くないことがわかります。
ちなみに130~150万円付近は最も世帯収入が少なくなり、
160万円以上から世帯収入が増えます。

●厚生年金保険料率の改定と定時決定

9月は厚生年金保険料率の改定と、7月に提出された算定基礎届に基づき、
新たな標準報酬月額を定時決定する時期です。

まず、保険料率ですが、9月分(10月保険料納付分)から厚生年金保険料が変更になり、
0.354%引き上げになります。
そして、定時決定結果の反映ですが、新しい標準報酬月額に基づいた保険料も、
9月分(10月保険料納付分)からになります。

従業員さんの給与から、新しい社会保険料額で控除するタイミング(翌月控除か当月控除か?)は、
会社の取り扱いにより異なりますので、ご確認ください。
給与からの控除間違いのないよう注意してください。

●賞与の支払いと各種控除額の計算方法

賞与における控除項目と計算方法は、毎月の給与とは異なります。
(1)健康保険・介護保険・厚生年金保険料
 標準賞与額(千円未満の端数切捨て)×保険料率
(2)雇用保険料
 賞与(総支給)額×保険料率
(3)所得税
 賞与用の税率表を用いて税額を算出する(例外あり)
(4)住民税
 控除しない
(5)協定控除
 労使協定に基づいて、控除する
 また、健康保険、厚生年金保険の被保険者は、賞与の支払い日から5日以内に賞与支払届を作成し、
提出するようになりますので、忘れないようにしましょう。