就業規則

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【就業規則と個別雇用契約の関係】

法令 > 労働協約 > 就業規則 > 雇用契約

・上記図は、左にいくほど効力が強くなる
・したがって、雇用契約の内容が就業規則を下回っていると、
就業規則で定めている内容へ引き上げられる

・就業規則と個別の雇用契約の関係では、就業規則に記載がなく、
雇用契約のみで定めている箇所は、雇用契約が契約の内容となる
・したがって、基本給の額など個別の雇用契約へ記載し、就業規則に記載がないと、
基本給を変更する場合は、就業規則の変更で行うことはできず、
雇用契約で個別に変更することになる。(契約の相手方である社員の合意が必要)

【ワンポイント解説】
前回からの続きです。
就業規則を詳しく書きすぎると、従業員に権利を主張されるのではと心配されて、
あまり書き込まれていない規則を時々、拝見します。
しかし、基本給を人事評価により変更(とくに降給)したい場合や、
一律に支給している手当(通勤手当など)を引き下げたい場合、
就業規則に金額の記載がないと、個別の労働契約で合意しなければならなくなります。
前者であれば、規則に資格等級表やピッチ表の記載があり、
きちんと運用(本人が予見可能である等)がなされていれば、
合意を得なくても基本給を下げることは可能であると考えます。
また、通勤手当など多くの社員に影響がある手当を変更する場合、
あらかじめ通勤手当の計算方法を定めておき、変更は就業規則で行ったのちに、
個別に同意を得たほうが、実務の点では便利でしょう。

原則編「就業規則は最低限の内容にした方がよいか?」

【就業規則がなくても定めておくべきルール】
●配置転換
 同一勤務地内の勤務箇所(所属部署)の変更が「配置転換」、勤務地の変更が「転勤」と称される
●始業終業時刻、休憩時刻の繰り上げ、繰り下げ
 例えば、1時間遅刻した者に対し、その日の終了時刻を1時間遅く設定することにより、
本来の終業時刻後1時間の労働を時間外労働の扱いとしなくてよい
●振替休日、代休
振替休日…事前の振替。休日を労働日に変えること
代休…事後の振替。休日労働の疲労を回復させるもの
●解雇事由
解雇とは会社による労働契約の解約のこと。紛争になったとき、
就業規則に定める解雇事由が問われる
●懲戒処分
何が懲戒処分の対象となるのかを明示し、かつ、
その場合の処分の内容をあらかじめ特定しておくこと

【解 説】
就業規則を詳しく書きすぎると、従業員に権利を主張されるので詳しく書かないでほしいという
要望をいただくことがあります。
それでもよいのですが、書かなければ効力が生じないこともありますので、
あまりお勧めできません。
例えば、懲戒処分や解雇、服務規律等の項目が少ないと違反を問うことが難しくなります。
また、何かあったときはそのとき対処するという考えで、就業規則を曖昧にしておくと、
思い切った指導ができなくなります。
労働基準法は「労働者保護の法律」です。
どちらかといえば事業主が主導で作成できる就業規則でバランスをとることは、
労務管理上、必要なことではないでしょうか。
曖昧に記載すると、曖昧な指揮命令しかできなくなるため、
就業規則の条文は、現実に即し、具体的に書くことが重要です。

採用編「マイナンバーの本人確認について記載する」

【就業規則に本人確認について記載する例】
(●)番号利用法に定める個人番号カード、通知カード又は個人番号が記載された
住民票の写し若しくは住民票記載事項証明書(個人番号カード又は通知カードについては提示の場合は原本の提示、
送付の場合は写しの送付によること)
(●)前号の通知カード又は個人番号が記載された住民票の写し若しくは
住民票記載事項証明書に記載された事項がその者に係るものであることを証するものとして
番号利用法に定める書類(但し、対面で本人確認を行う場合は原本を提示すること)
(※マイナンバー提供への協力依頼)
● 採用された者は、会社が行う従業員からの個人番号の取得及び本人確認(扶養親族等に係るものを含む。)
に協力しなければならない。この場合において、協力しなかったことによる不利益は本人が負うものである。

【解 説】
本人確認は、マイナンバーを運用するうえで重要な作業になります。
本人確認をきちんとすることで、「なりすまし」を防ぐことになるからです。
意図的な「なりすまし」ではなくても、うっかり家族のマイナンバーを受け取る等、
間違えないようにしたいものです。
また、本人確認の方法ですが、先日、厚労省からその方法が発表されました。
(1) 入社時などに運転免許証等により本人であることの確認をしている場合であって、
本人から直接対面で個人番号の提出を受ける場合は、身元確認のための書類の提出は不要です。
(2) 上記に該当しない場合は、①個人番号カード(顔写真付きのカード)②通知カード(最初に各世帯に届くもの)
または個人番号の記載がある住民票の写し・住民票記載事項証明書+各種証明書(免許証等)と、
①または②の方法で確認を行います。

各種規程編「マイナンバー取扱フロー」

【マイナンバーを社員から受け取ってはいけない】
マイナンバーを従業員さんから受け取る前にしておくべきことがあります。
それは「安全管理」です。
適切な「安全管理」を講ずる前に、マイナンバーを収集(取得)すると、なりすましや漏えい事故につながることがあります。
【安全管理の方法】
安全管理を考えるとき、「マイナンバー取扱のフローとリスク」を考えてみるとイメージしやすいでしょう。
(※は、考えうるリスクです)
①取得…従業員から預かる ※提供の拒否
②保管…番号の保管    ※鍵のかけ忘れ
③利用…番号を使って書類作成 ※机へ放置
④提供…行政官庁への提出 ※移動中の紛失
⑤廃棄…不要な番号を廃棄 ※廃棄忘れ

【解 説】
10月下旬から随時、マイナンバー(12ケタの個人番号)の発送が開始されました。
また、同月、マイナンバーを取り扱ううえで、実務上、2つの重要な発表がありました。
① 本人へ交付する源泉徴収票や支払調書へ番号は記載しなくてもよい
 本人へ交付する源泉徴収票にマイナンバーを記載する必要がなくなったことで、印刷後の管理が不要に。
 ただし、帳票そのものは個人情報になるため取扱いは今までどおり厳重にすること。
② 扶養控除等申告書の個人番号欄に「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨を記載をすることで、
 個人番号の記載に代えることができる
 扶養控除等異動申告書の安全管理措置が不要となったため、
 安全管理措置をとるべき対象物が減り事務負担が軽減することになります。

各種規程編「マイナンバー取扱規程」

【マイナンバー取扱規程の例】
(組織的・人的な安全管理措置)
・事務取扱責任者・担当者の役割と責任
・漏えい等の事故があった場合の連絡体制

(取得の段階)
・個人番号の提供を受ける際の本人確認措置

(利用・保存の段階)
・特定個人情報ファイル作成の制限

(提供の段階)
・法19条各号の範囲内で提供できること

(削除・廃棄の段階)
・利用が不要になった場合の措置、保管年数

【解 説】
今月から通知される「マイナンバー(12ケタの個人番号)」ですが、
それに関連する法改正で重要な法案が可決されたのをご存知でしょうか?
それは「個人情報保護法」の改正です。
改正の内容は、これまで法律の対象外だった
「個人データの取扱数量が5,000人分以下の中小・零細企業も規制対象にする」というもの。
実は、この改正がマイナンバーの取扱いに大きな影響を与えます。
マイナンバーを取扱うには、安全管理措置をとらなければなりませんが、
従業員100人以下の事業者にあっては、緩和された安全管理措置でよいとされています。
ただし、100人以下であっても、個人情報取扱事業者は除かれます。
今回、法改正により、すべての事業者が個人情報取扱事業者に該当するため、
大企業並みの措置をとるようになります。(施行は公布から2年内)

番外編「マイナンバーで必要な規程」

【マイナンバー社内管理制度構築で必要な規程】
①「基本方針」を定める
・従業員100人以下の中小規模事業者も定めること
・基本方針は届出や外部に公表する必要はない
・基本方針の内容は自由。ガイドラインを参考に

②「取扱規程」を作成する
・従業員100超の企業は作成が必須
・フローチャートを入れるなどして工夫する
・従業員100人以下でも作成することが望ましい

③「就業規則」を変更する
・採用時の提出書類に個人番号を追加する
・個人番号の提出に協力することを記載する
・服務規定で個人番号の取り扱い注意を喚起する
・個人番号を漏えいした場合の懲戒処分を記載する

【解 説】
来年から運用される「マイナンバー(個人番号)」の準備はされていますでしょうか?
いよいよ、来月10月から随時、マイナンバーが送付されてきます。
まずは、従業員さんにマイナンバーを受け取れる状態にしておいていただくことが必要です。
マイナンバーは、住民票のある住所へ届きますので、現住所と住民票住所を一致させること、
住民票が実家にある一人暮らしの学生さんは代わりに受け取る対応が必要でしょう。
また、ガイドラインにマイナンバーを扱う部屋には、
「人の入退室にあたってICカードやナンバーキーを取り入れた設備が必要になる」とあるため
会社の建物改修等が必要と思われるかもしれませんが、あくまでガイドラインのため、
とくに従業員100人以下の中小規模事業者はそのとおりにする必要はありません。

採用編「内定者の入社取消を行うときのポイント」

【個人番号漏えい防止に備えた就業規則の記載例】
(服務規律)
第〇条 従業員は他の従業員や職務上知り得た第三者の個人情報(個人番号を含む)について、
漏らしてはならない。

(懲 戒)
第〇条 従業員が次の各号に該当する場合は、〇〇処分とする。
但し反省が見られ特別に情状が認められたときには前項の処分に留めることがある。
 〇号 従業員の過失で個人番号が漏えいした

(損害の賠償)
第〇条 従業員が、故意または過失によって番号法等に違反し、
個人番号を漏えいするなどして会社に損害を与えた場合には、
その全部または一部を賠償しなければならない。

【解 説】
6月号でマイナンバー法を反映した就業規則の規定例をご紹介しました。
ナンバー法では、個人番号の利用目的を最初に特定し通知しなければなりません。
6月号には掲載しておりますが、会社が利用する個人番号には、従業員の家族の番号も含まれ、
従業員ではない家族のことについて就業規則に記載することはいかがであるかという結論にいたり、
私自身「現在」は、就業規則に利用目的を掲載することをお勧めしておりません。
ですが、従業員さんが会社に対し、個人番号の提供を拒否するケースも考えられるため、
個人番号の提供について協力を求める規定を就業規則へ記載しておく必要はあるでしょう。
ただし、提出がない場合、会社として懲戒処分を行うなどは、
提出しない従業員がマイナンバー法違反になるわけではないなどから行き過ぎの感はあります。

採用編「内定者の入社取消を行うときのポイント」

【入社承諾書】
※内定者からは、必ず入社承諾書を得ておきます。
入社承諾書(例)
 私は貴社に入社することを承諾するとともに、入社日である〇月〇日までに、
 下記の事由が生じた場合には、内定が取り消されることに同意します。
1 入社日までに現在在籍している学校を卒業できないことが判明したとき
2 提出された書類の内容や入社面談時に確認した事項が事実と異なるものであったとき
3 傷病により正常な勤務ができないと判断されたとき
4 貴社から指示された書類を指定期日までに提出しなかったとき
5 その他、貴社で就労が継続できない事由が発生したとき

【解 説】
面接後に採用の内定を出し者(内定者)に対する入社取消しを行うときは、
注意すべきポイントがありますので押えておきたいところです。
まず、内定を出したあとの取消しは、実は「解雇」と同じ扱いになります。
したがって、解雇をするときと同じように「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当である」
と認められることが必要です。
「本当は高卒なのに大卒と偽った」「経理経験がないのにあると言った」など学歴や経歴を詐称しても、
そのことがわかっていれば絶対に採用しなかったという重大な内容でなければ、
内定者に対する解雇は認められないというのが判例から導き出された考えです。
ところで、解雇なので30日前予告が必要であるのか、という疑問がわきますが、
内定者に対してはないと考えてよいでしょう。

採用編「マイナンバーに対応した就業規則」

【マイナンバーに対応した就業規則の例】
1 従業員は採用の際、次の書類を提出しなければならない。
(1)……(略)
(5)個人番号カードまたは通知カード(提示)
2 在職中に上記提出書類の記載事項で、個人番号、氏名、現住所、家族の状況等に
  異動があった場合は速やかに会社に申告すること。
3 第1項第5号で取得する個人番号の利用目的は、次の各号の目的のために利用する。
  なお、社会保障や税の定められた書類に個人番号を記載することは法令で定められた義務であるため、
  従業員は提出及び利用を拒むことができない。
(1)給与所得・退職所得の源泉徴収事務
(2)健康保険・厚生年金保険届出・申請事務
(3)雇用保険届出・申請事務
(4)雇用関連の助成金申請事務

【解 説】
いよいよマイナンバー制度が来年1月から実施されます。
内閣府世論調査によると、マイナンバーについて内容まで知っている人は約30%ぐらいだそうです。
マイナンバー制度は個人情報保護法と違い、すべての事業者が対象となりますので、
大企業も小規模事業者も何らかの準備をしておく必要があります。
マイナンバーは、まず従業員から個人番号を預かることから始まります。
その際、個人番号の提供を拒まれることがあるかもしれません。(強制できない)
そこで、就業規則等で、個人番号の提供と、その利用範囲を明確にしておくことでスムーズな制度への対応が
できるのではないでしょうか。

原則編「“思い”を伝え10年使える規則を作る」

【10年使える就業規則の作り方】
●前文に会社の理念を掲載する
・自社が何のために存在するのかを表したものが会社理念。理念と行動指針、
就業のルールがつながるため何のために仕事をするかを伝えることができる
●ですます調で柔らかい言葉にする
・就業規則は労働条件の一部であるため、法律上の権利と義務を明確にしておく必要がある。
そのため、難しい言い回しをすることで威厳を演出しているが、
職場のルールブックとしての役割を果たすために「ですます」調でわかりやすくする
●条文に会社の“思い”を注釈する
・なぜ、この条文を記載したのか、できれば右側に注釈を入れる。
今までの会社の積み重ねを伝えることで、自らの役割を理解してもらう

【解 説】
ご存知のとおり、就業規則は法律で常時使用する労働者が10名以上の事業所に作成と届出が義務付けられています。
また、作成の際、法律で決められた内容を記載しなければなりません。
その後、職場全体の労働条件(時間、休日等)を変更するときや法改正があったときは、
その都度、修正し、社員に意見を求め再度、届出をしていきます。
このようなことから、どうしても作成や手続きのほうについ目が向きがちです。
しかし、会社が発展するには、社員の成長や協力が欠かせません。
就業規則は、例えば、経営者と社員とで読み合わせをしたり、確認をしたりすることで、
「職場のルールブック」としての役割を果たすこともできますので、作るときより、
作ったあとを大事にしていただければと思います。

服務編「入社時に役立つ職場のルールブック」

●職場のルールブックとは
・職場で守るべきルールを明らかにしたもの。
 就業規則では表現しにくい「思い」の部分を伝えることで受け入れやすくなる。
●就業規則との違い
・就業規則は法律上、記載すべき事項が決まっているが、職場のルールブックに定型なし
・職場のルールブックは、イラストや図解で説明するため理解しやすい
●職場のルールブックの活用法
・入社時教育に使うことで、会社で守るべきマナーや価値観の浸透に役に立つ
・教育や指導の際の資料として使用できる
・上司が変わっても同じ内容で指導できる

【解 説】
職場のルールブックとは、職場で守るべきルール(規則)を明らかにしたものです。
就業規則との大きな違いは、「職場のルールブック」には、法律的な決まりがないことです。
したがって、職場のルールについて、重要なことや伝えたいことに絞って、
自由に表現することができます。
職場のルールブックでは、図解やイラストを多用するという特徴があります。
そのため、文章が中心の就業規則より読みやすく、ビジュアルで伝えることができるため、
理解を促すことができます。
また、新入社員教育や部下指導の際にも役に立たちますし、上司が異動や退職のため後任者と交代しても、
以前と同じ指導をすることができるのも職場のルールブックならではの特徴でしょう。

服務編「服務規律が労務管理の要」

●服務規律は職場のマナー、ルールを示すもの
・禁止事項「~してはいけない」
・義務事項「~しなければならない」
・推奨事項「しましょう」の3つを使い分ける

●服務規律の部分だけ独立させる
 ・服務規律の箇所を抜き書きして、「職場のルールブック」として、配布する。
 ・全社で統一した労務管理ができる、新入社員の研修にも使用できる活用法あり

●服務規律にお客様対応を加える
 ・服務規律に、お客様への対応を盛り込むことで、業績向上にもつながる

【解 説】
服務規律とは、ひと言でいえば、「職場のルール」を定めたものです。
ルールは会社によって様々であるため、その会社の独自色がよく出る箇所でもあります。
服務規律を定める目的は2つあると考えます。
①最低限のルールを記載することで、社員が懲戒事由にあたる行為をしないようにし、
職場全体の秩序を保つ防波堤としての役目
②働く環境をよくし、やる気を醸成する。敷いてはお客様への対応など会社全体の業績へつながる
もちろん、「やる気の醸成」は、服務規律の作成だけで向上するものではありませんが、
アメリカのホーソン工場の実験で、人間関係が作業能率向上に影響したという結果もあるように、
服務規律を作成し、運用することで職場風土を作る素地にはなるでしょう。

原則編「就業規則の種類と改正パート法」

【 パート就業規則に定める内容 】
●労働条件通知書で通知義務のある「昇給」「賞与」「退職金」の有無を記載する

●今回の改正前からある「正社員への転換制度」について記載する

●今回の改正で加わる、「賃金の決定方法」「教育訓練の実施」「福利厚生施設の利用」
などの雇用管理制度と「相談窓口」について記載する

●正社員とパートとの「人事異動」「責任の度合い」の違いなどを明示しておく

●正社員とパートで異なることが多い「休職」「特別休暇」の違いなどを明示しておく

【解 説】
前回、「10人未満でも就業規則は作ったほうがよいか」という質問についてお話ししました。
さて、今回は就業規則の種類のお話しです。
通常10人以上の事業所では、就業規則の他に賃金規程や育児介護休業規程など別規程を作成されていることと思います。
それらの「規程」は名称は違っても、法律上の就業規則と同様に扱われます。
4月に改正パートタイム労働法が施行されます。
今回の改正のポイントは、雇用管理制度の説明義務が加わったことです。
今までは、パート社員から要望があれば説明する義務がありました。
今回から採用する側から説明しなければなりません。
小規模の事業所であれば、就業規則は1つの規則を正社員もパートも使っています。
今回の改正をふまえ、パート社員用の就業規則を作成したほうが説明義務を果たすのに使いやすいかもしれません。

原則編「就業規則は必要なのか?」

【 就業規則に定めることで効力があるもの 】
●行方不明となった場合の退職の扱い
※左の記事を参照してください
●法定内残業の計算方法
・所定時間を超え法定労働(8時間)までの計算方法は法律に明記されていません。
 就業規則に記載することで任意に決定することが可能
●時給者の有給休暇の計算
・有給休暇を取得した場合の賃金の算出方法には3つあります。
 このうち「平均賃金」を用いる場合は就業規則への記載が必要
●残業・休日労働の命令
・判例は、就業規則に記載することで時間外労働義務が発生するという説をとっている
●懲戒処分
・あらかじめ就業規則に記載がなければできないという考えのほうが無難である

【解 説】
以前にも一度、このコーナーで紹介しましたが、たまに「就業規則は作ったほうよいのでしょうか?」
という質問をいただきます。
法律上、就業規則は10人未満の事業所では作成、届出義務がありません。
必要ないから作らなくてよい、というのは短絡的な考え方です。
というのも日々の労務管理において、就業規則へ記載しておくことで効力があり実務に役に立つものがあります。
例えば、急に社員が出社しなくなり、連絡がとれなくなったとき。
解雇しようにも解雇の通告は相手に到達しなければ効力がありません。
裁判所で公示する方法で、それに変えることができますが、それも手間です。
そういうとき、就業規則の退職事由に「音信普通となり、30日を経過したとき退職とする」
という内容を記載することで、裁判所の手続きを経ることなく退職扱いとすることが可能となります。

業務編「クレーム対応規定」

【 クレーム対応規定作成のヒント 】
●クレームに対する自社の考え方を明確にする
・クレームは大切な財産である
・クレーム発生に対し社員を責めることはない
●クレームのレベルを決める
①軽微…その場で解決するもの
②一般…その場で解決せず、原因の解明が必要
③重要…原因の解明と全社的な対応が必要
●レベルに応じた処理を決める
①軽微レベル…その場で対応、パートが受けた場合正社員へ引き継ぐ
②一般レベル…担当部署が対応する
③重要レベル…速やかに社長に報告し
担当する特別チームを編成する

【解 説】
クレームは貴重な「情報収集源」であり、お客様との信頼関係を深めるチャンスにもなります。
そのように捉えれば、会社にとって決して不利益なことではありません。
ただし、クレーム対応をする社員が委縮してしまったり、部署内でたらい回しにしたりすると、
お客様の不満をあおることになりますので、クレーム対応に関する会社の姿勢を明確にするため、
規定をしっかり定めておくことが大切です。
クレーム対応は、初期対応が重要です。最初に対応する社員がパートや契約社員であっても、
クレームの内容によって対応できるのであれば、したほうがよいでしょう。
会社がバックアップすることを約束すれば社員も前向き対応することができるでしょう。

人事編「資格取得を支援する規定」

【 資格取得を支援する規定のヒント 】
①金銭的支援
・資格を取得した暁には一時金としてお祝い金を支給するか、手当として毎月支給するか
・資格を取得した場合に限り受験費用を出すか、1回目の受験費用のみだすか
②時間の支援
・試験当日や前日、模擬試験の日などを特別休暇とする
③精神的支援
・上司や周囲の協力が得られるようチームとして支援することができないか
※社員の希望なども聞いて、検討されるとよいでしょう。

【解 説】
とくに医療、介護、建設業等、有資格者の配置が必須のものがあります。
配置が必須の業種ではなくても、業務に関連する有資格者が多く在籍する会社は、
イメージアップにつながります。(お墓ディレクター、野菜ソムリエなど)
有資格者を採用できるにこしたことはありませんが、人手不足の状態にある冒頭の業種ではそうもいきません。
今、いる社員に資格を取得してもらうことも一つの方法です。
そんなとき、資格取得を支援する規定が社内にあると、
自発的、内発的なやる気につながりやすくなります。
資格取得支援に対する規定は、会社の考え方が色濃く出ます。
差別化しやすい規定でもあります。

秩序編「会社の備品を貸し出すときの規定」

【 会社の備品・機器を借りるときのルール 】
・本規定の対象者を決める、社員のみか、パートなどすべての社員も可能か
・貸し出しの条件を決める。利用目的を、地域のイベント、地域ボランティア、
 災害援助などに利用できる、など
・営利目的でないことを原則とする。イベントの模擬店等は会社の判断で許可する
・貸し出し可能な会社所有物をリストアップする
・貸し出しするときのルールを規定する
・借主の義務として、紛失、破損があった場合の損害賠償などを決めておく
・会社の備品を使ってどのようなイベントに参加したか、写真とレポートを提出する

【解 説】
個人では所有できない、もしくは使う頻度が少ないため所有することが少ない備品や機器を
会社で所有していることがあります。
それらのものを社員が個人的な理由で借りたいというとき、貸し出したいのはやまやまだが、
何かあった場合を考えると貸しにくいということもあります。
そのような場合、あらかじめ規定を決めておくと、会社も社員も貸しやすく、借りやすくなります。
ルールを作るときのポイントは、個人的な利用であるため、利用目的をはっきりさせておくことです。
例えば、地域のイベントやボランティア、災害援助などに限定するなど。
また、利用したあとは、どのようなことに使ったのか、写真と簡単なレポートの提出を求め、
社内に掲示すると、交流を深めることにもつながります。
(参照・引用:「社員がよろこぶ会社のルール・規程集」かんき出版 有限会社人事・労務著)

秩序編「マイカー通勤は許可制としリスクを軽減」

【 マイカー・自転車通勤の規定 】
・通勤中の事故であっても、使用者責任として会社の管理責任を問われる場合がある
・そのため、マイカー通勤は許可制とする
・運転免許証の提出と任意保険への加入を義務づける。
・したがって、毎年、保険証の写しと更新の度に免許証の写しを提出してもらう
・任意保険の保険金額を確認する。少なくとも対人・対物ともに無制限としておきたい
・自転車による損害賠償が増えているため、自転車も車同様に許可制とする
・自転車も厳密にいえば車両となるため、任意保険への加入を促す

【解 説】
最近「自転車事故によって損害賠償」という記事を目にします。
自転車通勤をする社員がいる場合、どのような点に注意するべきでしょうか。
道路交通法では、自転車は「軽車両」と定義しているため、
厳密にいえば自転車も車両ということになります。
通勤・通学途上の自転車が歩行者と衝突事故を起こし、数千万円の損害賠償を求められるケースもあります。
そのため自転車での通勤を許可する際には、マイカー通勤同様の管理(保険加入等)が必要となります。
帰宅途上において事故を起こし、加害者側となると、会社には民法第715条に定める「使用者責任」を
問われるリスクが潜んでいます。
運行供用者が、その自動車の運行によって人身事故を発生させた場合、損害賠償の義務を負うことが定められており、
これは民法上の使用者責任よりもかなり広い範囲で考えられています。
ここでいう「運行供用者」の認定基準は、「その運行を支配していたか否か」
「その運行によって利益が帰属していたか否か」が判断材料とされますので、
広範囲なリスクを必然的に抱えてしまうことになります。

休暇編「有給休暇の基準日を統一し事務負担を軽減」

【 有給休暇と基準日の統一 】
●中途入社の社員が多い中小企業にとって、年次有給休暇の発生日(基準日という、
 通常は入社から6ヵ月経過日)がまちまちとなり、各人の有給休暇の日数管理が煩雑になる
●年次有給休暇の管理を少しでも簡単にする方法として、「基準日の統一」という方法がある
●異なる入社日でも、例えば毎年4月1日に一斉に有給休暇が発生するにするように決めると人によって
 異なる基準日を管理しなくてよい
●入社日によっては不利益になったり、有利になったりしないよう配慮する必要がある
●基準日を年2回(4・10月等)設けることが入社日による違いを緩和できる一つの方法

【解 説】
年次有給休暇は、入社日から6ヵ月経過し、
その間の出勤率が8割以上であれば原則として、10日間発生します。
ちなみにパートには有給休暇はないと思っておられる事業主さんがいらっしゃいますが、
間違いです。週の所定労働時間が30時間未満かつ5日未満の場合、日数に応じ比例付与されます。
パートの勤務日数、時間は勤務表によって定められているため、
有給休暇を使う機会そのものがないためいつの間にか、労使双方、
パートに有給休暇はないという認識に至ったのではないでしょうか。
ところで、従業員数が多くなると、個別に入社日が異なる有給休暇の発生日や
休暇日数の管理が煩雑になってきます。
そのようなときは、パソコンを使って管理するとある程度、事務負担が軽減できます。
最近はフリーソフトもありますので、ぜひ活用してみてください。

休暇編「特別休暇は社風を表す」

【 特別休暇を定めるポイント 】
●年次有給休暇の取得だけでも悩まされるのに、さらに特別休暇を創設することに抵抗を感じる会社は、
 年次有給休暇の計画的な取得から始めるとよい
●年次有給休暇の計画的取得は、労使協定を結ぶことで可能となる
●年に1回、取得日を選択してもらうだけでも社員にとっては嬉しいもの
●ユニークな特別休暇を創設したら、求人票をはじめ広告宣伝物などにも書く
●ユニークな特別休暇は、ユニークな会社、面白そうな会社として肯定的にとらえてもらえる
●そのため、求人募集でプラスの作用に働く

【解 説】
前回より休暇編として、休暇規定の定め方についてお話ししています。
休暇には、法定休暇と、会社が任意で定めることのできる任意休暇の2つがあり、
法定休暇の代表として、年次有給休暇があることはお伝えしました。
今回は、任意休暇について取り上げてみたいと思います。
任意休暇ほど、社風がよく現れるものはありません。
しかし、私が知るかぎり、小規模の会社では慶弔休暇以外、
あまり見かけることがありません。
慶弔休暇以外では、「誕生日休暇」「リフレッシュ休暇」などを見受けますが、少数派です。
ユニークな休暇として、ボランティアを奨励する「ボランティア休暇」、
セールなど行きやすくするため金曜日の午後、休暇がとれる「おしゃれ休暇」があります。
このように、会社の方針が色濃く現れるのが、特別休暇といえます。