社労士定期便


前回から引き続き、「いかにして、従業員のやる気を高めるか」をテーマに、お話ししたいと思います。

◆ 夢をもつ会社は成功している?
先日、ある製造業の社長さんの取り組みについて、本で読むことがありました。
その社長さんは、従業員数20名ぐらいの会社で、
全国の各市町村に取引先をもつことを目標にしておられました。
先見的な会社を研究した「ビジョナリーカンパニー」という本にも、
大きな目標をもつ会社は成功していることが書かれています。
それも、会社としては少し大きすぎる目標(=夢)です。

◆ 大事なのは“ワクワク”感
目標というと、すぐに売上や利益を思い浮かべられるかもしれませんが、
ここでいう目標は、そういったものとちがいます。
その目標を聞くと、「えー、できるの? でも、実現したら面白そうじゃなあ」と、
聞いた人が“ワクワク”するようなものです。
例えば、冒頭の会社の例でいえば、全市町村に取引先をもち「日本中でお役に立ちたい」という思い。
売上は会社にとってもちろん重要なものですが、
それらは人でいえば、空気や水のように絶対に必要なもので、
「空気や水をたくさん摂るのが私の夢です!」と語っても、
周りの人はあまり“ワクワク”しませんよね。

◆ 経営に参画している実感
トップリーダーが夢を語ると、初めはそっぽを向かれたり、鼻で笑われたりするかもしれませんが、
そのうち夢に共感する人が現れ、少しずつ協力者が増えていきます。
一人ひとりが経営に参画している実感を得ることができれば、
モチベーションアップにつながります。

非正規雇用問題に対する取り組みの一環として、有期契約労働者、短時間労働者、
派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(正社員待遇を受けていない無期雇用労働者を含む。)
有期契約労働者等の企業内でのキャリアアップ等を支援する事業主に対する
包括的な助成制度(有期契約労働者等の正規雇用への転換、人材育成、処遇改善など)が
平成25年度から創設されました。

詳しくは、こちらをどうぞ↓
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

賃金編①「固定残業代」

【就業規則の例】
(給 与)
第○条 従業員の給与は次のとおりとする。
   ① 基本給
   ② 固定残業代
   ③ ……

(固定残業代)
第○条 固定残業代には時間外割増賃金分を含むものとする。
2 固定残業代に含まれる時間外割増賃金の時間については、個別に通知するものとする。
3 時間外労働が前項の時間を超えた場合は、その時間に対する割増賃金を支払う。
(以下、略)

【解 説】
今回より賃金編をお送りします。
固定残業代は、あらかじめ時間外労働に対する賃金を固定的に支払うもので、
割増賃金不払いの防止、時間外労働の抑制、
仕事の効率化(早く終わったらその分だけもらえる)、
給与計算業務の効率化などを目的としています。
「固定」残業代とあるため、いくら残業をしても、
残業代は定額でよいと勘違している方もおられます。
固定残業代を超えた時間外労働分は、当然、その差額を支払わなければなりません。
逆に、固定残業代に満たない時間外労働のときは、
返還を求めることができるかというとそれはできません。
納得がいかない場合は、初めから固定で支払わず残業をした分だけ
支払うようにしたほうがよいでしょう。

従業員さんのやる気(モチベーション)を高めたい、
あるいはもっとやる気を出してほしいととお考え、お悩みの経営者の方って、
結構いらっしゃいますよね。

今回から、「いかにして、やる気を高めるか?」をテーマにお話ししたいと思います。

◆ お金を出せばやる気が高まる?
私が前職のとき、インセンティブ(金銭的報酬)を出せば、
人はやる気を出すという考えの方がおられました。
でも、結局、そのやり方はうまくいきませんでした。
なぜでしょう。
もちろん、仕事を達成したとき金銭的報酬が得られれば、嬉しいに違いありません。
それは、非金銭的報酬(=心の報酬)を与えなかったからです。

◆ 心の報酬
“心の報酬”とは、何でしょうか?
例えば、会社から表彰された、上司から誉めてもらった、
仕事を通じて自己の成長を感じることができる、
仕事の進め方に裁量権がある、人間関係の調和などです。

心の報酬は、陽の光のようなものです。
冷たい風が吹く、殺伐とした職場(組織風土)では、
いくら肥料や水(金銭的報酬)をたくさん与えても、
なかなか満足を感じることはありません。

◆ お客さんの声を届ける
整備工や製造職などの内勤者は直接、お客さんの声を聞くことが少ない職種です。
お客さんと直接、接する社長や営業は、お客さんから誉められたら、
内勤者にもその声を届け、お役立ち感を伝えるようにすると、
モチベーションアップにつながっていきます。

休職編③「復職の基準を明確にする」

【就業規則の例】
(復 職)
第○条 従業員の休職事由が消滅したと会社が認めた場合、
 又は休職期間が満了した場合は、原則として、休職前の職務に復帰させる。
 ただし、旧職務への復帰が困難な場合又は不適当と会社が認める場合には、
 旧職務とは異なる職務に配置することがある。
2 休職中の従業員が復職を希望する場合には、
 所定の手続により会社に申し出なければならない。
3 傷病休職者は復職の際、医師の診断書を提出しなければならない。
4 休職期間が満了しても復職できないときは、原則として、
 休職期間満了の日をもって退職とする。
(以下、略)

【解 説】
前回、前々回に引き続き、休職規定についての3回目です。
「休職」は「復職」を前提としていますが、復職してすぐまた休職する、
断続的な勤務を繰り返されると、仕事の流れや業績に影響を及ぼしかねません。
そこで、復職については、基準を定めることで、治療に専念してもらい、
また復職できないようであれば「自然退職」としていったん退職してもらうことを
就業規則に定めておくことが必要です。
復職で間違いやすいのが、医師の診断書を基準にするというもの。
しかし、休職規定はあくまで任意規定なので、「会社が復職を認めた場合」とし、
会社に判断の権限があることを明確にしておきます。

前回は、効果的な求人広告の作り方について。
今回は、その2回目です。

◆ ハローワークの役割
ハローワークの紹介でよく聞くことは、「よい人材の紹介がない」です。
ハローワークの機能は、なるべく多くの求人を受け、求職者へ就業の機会を提供すること。
求人・求職者双方が望む結果となるマッチング機能はありません。
ハローワークは公共機関ですので、そのことをまず理解しておきましょう。

◆ メリット・デメリット
ハローワークへの求人票の掲載依頼はもちろん無料です。
一般的に新聞折込み求人広告に掲載すると、そこそこ目立つ枠の大きさで3~4万円かかります。
デメリットとしては、先ほどのハローワークのもつ役割からマッチング機能がないこと、
大量の求人が毎週掲載されるため、目立たないことです。
しかし、最近はマッチング機能を高めるため、窓口での紹介もきめ細かくなっています。
年齢、性別以外の能力的な要望であれば、考慮してくれます。

◆ 求人票の活用
ハローワークには、毎週たくさんの求人票が出るため、求人票の出し方にも工夫を加えます。
よく目立つ職種の欄には、営業、販売、事務など職種のみ書くのではなく、
簡単な仕事内容の説明、就業場所、
「新規オープンスタッフ募集」など、求職者が興味を引く言葉を盛り込みます。
職種欄は、仕事の検索をしたとき、最初に目に入る項目なので、上手に使いましょう。

前回まで小さな会社の面接における具体的な質問事項についてお話ししてきました。
今回は、効果的な求人広告の作り方について。

◆求人広告を出すタイミング
せっかく費用を払って求人広告を出すのであれば、効果の高いほうがいいですよね。
一般的に、GW、お盆など連休前は人が動きにくい時期であるため、
出すのであれば連休明けに求人を出すほうがよいでしょう。
近隣で大規模な離職があったときで、会社都合の場合、
雇用保険の失業給付の期間が通常より長くなりますので、時期は3ヶ月ほどずれこむでしょう。
あくまで一般的な動きであるため、業種、雇用形態、地域を勘案して出すタイミングを考えます。

◆求人広告はやるべきことをやってから
求人広告会社の方には申し訳ないですが、広告はやるべきことをやってから出すべきです。
ハローワークへ求人を出す、自社ホームページなどで告知する、
店舗へ求人チラシを貼る、紹介を依頼するなど、費用のかからない方法から始めます。
また、求職中の方は、求人広告だけを見て応募するわけではありませんので、
いろいろな所で目にふれるようにすることが必須です。

◆近隣の同業他社を意識する
求人広告を出している会社は自社だけではありません。
営業と同じで、近隣の同業他社がどのような条件で求人を出しているかリサーチすることが必要です。
会社は「商品」、求職者はそれを買う「お客」と考えると、
常に近隣の同業他社と比較検討されていることがよくわかると思います。

休職編②「対象者、理由、期間を明確に」

【就業規則の例】
(休 職)
第●条 従業員が、次のいずれかの場合に該当するとき、
所定の期間休職を命じる場合がある。
また、本制度は会社が任意に設置できる規定であるため、
復帰の見込みがある場合にかぎる。
ただし、入社1年未満、パートタイマー等を除く。
(1)私傷病による欠勤が1ヵ月を超え、
なお療養を継続する必要があるため勤務できないと認められたとき
…勤続年数1年以上の者 2ヵ月以内
(2) 前号のほか、特別な事情があり(出向など)
休職させることが適当と認められるとき
…必要な期間
(以下、略)

【解 説】
前回に引き続き、休職規定についての2回目です。
「休職」とは、仕事以外で病気やケガなどを理由に就業が困難になったとき、
会社に在籍したまま一定期間、就労義務を免じる制度でした。
休職規定を導入するときは、「①誰に」「②どういった理由」で「③どの程度の期間」
休職できるのかを明確に決めておかなければなりません。
また、前回もお話ししましたが、法的には会社が休職規定を設置する義務はありませんので、
あくまでも会社側の判断で休職規定が適用されることも定めておく必要があります。
たまに、休職事由に該当すると、申し出るだけで適用を受けることができると
勘違いしているケース(会社、社員双方ともに)もありますので注意が必要です。

改正労働契約法も4月1日施行されました。
同じ職場で5年を超えて働く有期契約社員が希望した場合、企業に無期雇用への転換を義務付けるものです。

長期間働いているパートはモチベーションが高く、今回の法改正は安定した雇用の維持につながる。
と前向きな意見もでており、無期転換に応じる企業も多い。

しかし、体力のない中小企業を中心に、5年未満で有期契約を解除する
「雇い止め」が増える懸念が一方ではあります。

4月1日から厚生年金の支給開始年齢が61歳に引き上げられるのに合わせて
企業に希望者全員を65歳まで雇用するよう義務づける改正高年齢者雇用安定法が施行されます。

高年齢者雇用安定法は定年を過ぎた60歳以上の雇用を確保するため、
これまでも(1)定年の廃止(2)定年の引き上げ(3)継続雇用制度の導入のいずれかを導入する義務がありました。

(3)継続雇用制度では、労使協定を締結すれば再雇用基準を独自に決めることができたため、
65歳まで希望者全員が働ける制度ではありませんでした。

改正法では労使協定で再雇用者を独自に決めることができる基準を撤廃しました。
希望者全員を雇用しない場合は企業名を公表されることがあったり、助成金を支給しないなどの措置も講じます。

継続雇用の対象外となるのは、解雇事由に該当する場合や健康上の問題を抱えるなどの一定の場合に限ります。

ホームページリニューアルに伴い、ブログもホームページ集約する事になりました。

今までの「労務コストを削減する井原・笠岡・福山の社会保険労務士せのじむ(妹尾悟)定期便」は
以下より閲覧可能です。
http://senojimu.blog48.fc2.com/

事業年度中に雇用者(雇用保険一般被保険者)数を5人以上(中小企業は2人以上)かつ
10%以上増加させるなど一定の要件を満たした事業主に対する税制優遇制度が創設されました。
雇用者の増加1人当たり20万円の税額控除が受けられます。
この優遇措置を受けるために必要な「雇用促進計画」は、ハローワークにおいて受け付けしています。

厚生労働省HP
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudouseisaku/koyousokushinzei.html

前回まで、中小企業の面接の原理原則についてお話しました。
今回より、具体的にお話しします。

◆「予想外」の質問を準備
応募者は、面接に臨むとき、あらかじめ受けそうな質問について準備しています。
例えば、「前職を辞めた理由」「応募の動機」などは面接時に必ず受ける質問であると広く認識されているため、
ある程度、面接官を納得させることのできる回答を準備しているはずです。
そのような質問だけをしても、会社にとって必要な人材かどうかを見抜くことは難しいといえます。
(ただし、必須の質問は必ず行って、確認することを怠ってはいけません。)
しがって、応募者にとって「予想外」の質問をすることで、本当の人物を見抜くことができます。

◆「自分にキャッチコピーをつけるとしたら?」
「自分にキャッチコピーをつけるとしたら?」、
「当社で活かせるあなたの強みはなんですか?」(※)
という質問を投げかけてみましょう。
前者の回答がすぐに出てくる人は、普段から自分自身についてよく考えている人です。
後者は、回答内容が実績や結果を意識したものであれば高く評価できますが、
「誰とても仲良くなれる」など、態度や人柄についての回答は、
中途採用者に求める「即戦力化ができる人物かどうか」においては、低い評価となります。

(※引用 「この1冊でもう間違えない人材採用」石塚毅著)

会社の面接の目的は、「イイ人材」より「自社の価値観にあう人」を採用することでした。
そのための原理原則は、面接時間の十分な確保、採用したい人物像を明らかにする、
実技試験・適正検査の実施でした。
今回は、さらに深くお話ししたいと思います。

◆ 面接の質問集を用意する
よくありがちなのが、面接のときに相手の雰囲気にあわせて質問を変えるケース。
質問事項はあらかじめ準備しておき、全員に同じ質問をすることです。
それ以外の聞きたいことを個別に質問するようにします。
質問に対する回答については、さらに掘り下げることでより深く応募者のことが見えてきます。

◆選ぶのではなく「選ばれている」意識
小さな会社は選んでいるのではなく、選ばれているという意識を持ちましょう。
「選んでいる」と思うと、面接のやり方や求人の方法を変えることは難しいでしょう。
「選ばれている」と思うと、面接のやり方、求人の方法はこれでよいのかを常に考えますので、
結果的に自社の価値観にあった人材を採用することができます。
私は求人も経営といっしょで、お客さんから選ばれるような魅力を考え、伝えなければと思います。

◆人数を集めるならある程度費用をかける
応募者が少ないという場合、応募者の目に触れていない可能性が考えられます。
ハローワークだけでなく、求人誌、新聞折り込みなど他の求人媒体も検討しましょう。
ただし、その場合も採用したい人物像を明らかにしてから媒体を選び、
求人広告のコピー(文章)も求人会社に任せきりにせず、自社で考えましょう。

前回の続きです。小さな会社の面接の目的は、
「イイ人材」より「自社の価値観にあう人」を採用することです。
では、どうやって自社の価値観にあう人を見抜くかについてですが、
その前に面接における原理原則について少しお話ししたいと思います。

◆ 面接時間を確保する
まずは、自社の価値観にあった人を見抜くテクニックの前に、
面接時間が圧倒的に短い場合があります。
私自身も前職以前、採用面接を受けてきたなかで、
長くて1時間ぐらいであったような気がします。

ある人事担当者に聞いたアンケートによると、
面接にかける時間として15分~30分が多いようです。
かりに30分ぐらいであったとして、
その時間で自社にあった人材であるかどうかを判断することは難しいと思います。
2次面接などを実施し、なるべく面接者と多くの接触時間をもつようにしてみてください。

◆ 採用したい人物像を明らかにする
次に、こちらも小さな会社には多いケースで、
採用したい人物像が明らかになっていないこと。
行き当たりばったりの「フィーリング面接」をしていることです。
「フィーリング面接」は、その場の雰囲気で採用を決めることになりますので、注意が必要です。
面接の対応だけは上手な応募者がいますので、
相手のペースに巻き込まれないためにも、人物像を明らかにしておくことが大事です。

◆ 実技試験と適正(性格)検査を実施する
例えば、ある程度のパソコンスキルが必要な場合、実際に操作してもらってください。
また、適正(性格)検査を実施し、面接の補完的な資料にしてください。
面接では見抜けなかった特性がわかるかもしれません。

今回は、面接の際にどのような質問をすればよいのか。
「上手な質問、下手な質問に」ついてお話しします。

◆ 面接で配慮すべき質問
「上手な質問、下手な質問」の前に、まずは面接(採用選考)で配慮すべき質問を整理しておきましょう。
1つ目は「本人に責任のないこと」として、戸籍謄本や住民票の写しを提出させたり、
家族の職業や住宅の種類について尋ねたりすることが該当します。
また「本来自由であるべきこと」として、
宗教や政治に関することの把握や「採用選考の方法」として身元調査を実施することは、
就職差別につながるおそれがあります。

◆ まず、答えやすい質問から
質問にはイエス・ノーで答えられる質問と「自由に答えることができる質問があります。
この2つの質問方法を上手に使いこなしましょう。
すなわち、面接の最初は、緊張した雰囲気であることが多いので、
「(面接)場所はすぐにわかりました?」「車で来られました?」など、
イエス・ノーで答えられる簡単な質問から始め緊張をほぐしていきます。
次第に、さまざまな回答が得られる質問をしていき、応募者の本来の性格や特性を確認していきます。
応募者が緊張する前に、面接官が緊張したり他の仕事であせったり、
気持ちが昂っているとよい質問や判断ができませんので、
心を平静(フラット)にできる自分なりのやり方を見つけておきましょう。

◆ 質問はあらかじめ準備しておく
面接の目的は、自社の価値観や方針、理念などに沿った(沿うことができる)人材を見抜くかです。
面接のたびごとに聞く内容が変わってくると、自社にあった人材を採用することが難しくなります。
質問の内容はあらかじめ準備しおくことが大事です。
(次回につづく)

前回に引き続き、面接をするときに陥りやすい「罠」についてお話しします。

◆ 自分をモノサシにして評価しない
面接時に面接者の評価基準を作ったとします。
この場合、その人を評価基準によって評価すればよいのですが、
評価する人が自分自身を基準にして評価してしまうことがあります。
これを「対比誤差」といいます。
「例えば評価者が几帳面な場合、
通常であればそれほどルーズでもない被評価者をルーズとみてしまったり、
評価者がルーズであった場合、
被評価者がそれほど几帳面でもないのに几帳面とみてしまったりすること」。

◆ 採用したい人物像を明らかにする
「対比誤差」があると正当な評価ができていないことになるため、
会社にとって必要な人材を採用できないことになりかねません。
そこで、そうならないための対策として、
まず評価者自身の問題をクリアにしておく必要があります。
すなわち、評価する人が自分自身の性格をよく知っておくことです。
自分は几帳面なのかルーズなのか、厳しいのか甘いのかをよく理解したうえで、
評価すること。
2つ目の対策として、採用したい人物像を明らかにしておくことです。
「我が社にふさわしい人材とは」を、
イメージでなく具体的に言葉で書き出しておくことです。

◆ 具体的な「行動」も書き出す
採用したい人物像を明らかにする場合、
やる気があるといった能力だけでなく、行動についても書きだします。
能力の評価は主観が交じってしまいますが、
行動は見た目だけの判断ですので、
主観が入りにくく評価者が自分自身をモノサシとする「対比誤差」があっても気づきやすいからです。
(「一次評価者のための人事評価入門」日本経済新聞社 石橋薫著参照)

面接をするときに陥りやすい「罠」は知っておくだけでも、
面接の結果が変わってきます。

◆ ハロー効果に注意
例えば、陥りやすいところで「ハロー効果」。
「ハロー」とは、太陽や月のまわりにぼんやりできるかさ(暈)のこと。
1つよい点があると、他のことについても実態以上によく見えてしまうことから、
その名前がつきました。(その逆に悪い所がより悪くもありますが…)
例えば、有名な大学、大きな会社の出身であると、
その人の実績に関わらず、高く評価してしまうので、要注意。
これを防ぐには、誰もできなかったことで、
自分の力で成し遂げた実績があるかを尋ねてみるとよいでしょう。
よく似たものに「寛大化傾向」があります。
面接者が、知人や恩師の紹介であったりすると、甘めに評価したりしますので、
紹介者への断りを恐れず、事実に基づいて評価することが必要です。

◆ 脳にはクセがある
最近の大脳生理学の研究で、脳は「同一性」を好む傾向があることがわかってきました。
ある人に、初めによい印象を持つと、よい印象になる理由を探し始めるので、
よい評価になります。逆に、悪い印象を持つと、すべてが悪く見えてしまうのです。
これは、脳のクセの1つで「同一性」によるものと言われています。

◆ なるべく複数人による面接が好ましい
人間ですから間違うこともあります。
これを防ぐには、2人以上の人で面接官をする、男性が面接官で女性を面接する際は、
女性にも立ち会ってもらうなど、複数人でチェックすることも1つの方法です。
面接時間に余裕がないと、誤った判断をすることもあるため、
履歴書は事前に送ってもらってもよいでしょう。

3月から始まったこのコーナーは
「自社にあった人材を採用するにはどうすればよいか?」をテーマに人を募集、
採用する際のポイントをご紹介していきます。

◆ 免許・資格は必ず原本で確認を
前回、「面接シート」は面接時に、面接する人によって質問のもれがないよう、
また面接時間を面接する側、される側、双方にとって濃い時間にするための
ツールとして有効であるとご紹介しました。
さて、面接当日、面接者には何を準備してきてもらえばよいのでしょうか?
履歴書は当然として、職種によっては一定の資格が必要なものもあります。
車を運転してもらう場合は、運転免許がいります。
この場合、免許・資格は原本で確認することをおススメします。
応募の段階で原本確認を、採用の段階でコピーをとるなど、
あらかじめ確認の方法を決めておくとよいでしょう。

◆ 応募書類チェックリストにしておく
履歴書の他に職務経歴書を提出してもらうとよいでしょう。
職務経歴書は自己PR文も兼ねています。
適正だけでなく、応募者の意気込みがわかります。
応募書類はあらかじめチェックリストにしておくと、面接の際もれがなく、便利。
また、就業規則に面接時と採用決定時とで、それぞれ必要な書類を記載しておくと
担当が変わって、書類が変わったということがなくなります。

◆ 採用選考時の健康診断は適法か?
採用選考時に健康診断書をとってもよいか、という質問をお受けしますが、
適正と職務遂行能力を判断するうえで、誰が考えても、
健康の確認が必要であると思われる範囲に限定して行うべきでしょう。
なお、3ヵ月以内の健康診断書であれば、法定の雇入れ時の健康診断にかえることができます。

◆ 聞いてはいけない質問事項
面接の目的は自社にふさわしい人材を採用すること。
そのため、直接、面談し選考する場が面接です。
その際、質問する内容には気をつけましょう。
本人の本籍地や家族の職業など、本人ではどうすることもできないようなこと、
宗教や政治など憲法で保障されていることです。
また、彼氏、彼女がいるかなど男女雇用機会均等法に触れるためダメです。
このあたりは常識でご理解していただいていると思います。
血液型や服のサイズを聞くときも、注意が必要です。
血液型は社員証を作るため、サイズは服の発注のためと、
あらかじめ理由を伝え、承諾を得てから行います。
聞いてはいけないことはリストにして、
それを面接前に読み返すようにするとよいでしょう。
面接をするのが初めての人や面接の雰囲気をリラックスさせるためにうっかり聞いてしまった、
ということもありますので、十分に注意しましょう。

◆ 面接シートの活用
口頭だけの面接ですと、記憶に頼った面接で尋ね忘れが発生したり、
面接官ごとに面接内容にばらつきが生じます。 
そこで「面接シート」の活用をおススメします。
面接シートの内容は、仕事をしてもらうために必ず確認しておくこと
(経験、資格、免許など)を盛り込みます。
また、後日のトラブルを防ぐため、採用後の条件の伝達もれがないかのチェックにも使えます。
退職した人から聴取した退職の理由に基づき、
そのような可能性がないかを判断するための質問事項を用意し面接シートで確認もできます。
面接経験がない人にとって質問事項があらかじめ準備されているため、
安心して面接ができますし、面接の進め方のチェックとしても活用できます。
(参照:「採用の教科書」グラフ社 稲田行徳・著より)